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[地学分野]火山・地震問題で押さえておくべきポイント|なるほどなっとく 中学受験理科

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2020年12月11日 水溜 兼一(Playce)

学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

入試理科では、私たちにとって身近な事象として火山や地震の問題が出題されることがあります。今回は、火山・地震の問題を解くために押さえるべきポイントを紹介します。

基礎固めに加え、入試対策に図表読解と時事問題を

火山・地震を題材とした問題で、知識を問う一問一答型の問題は、難関校を中心に徐々に減少傾向にあります。その分、近年の入試理科は、火山や地震に関する表・グラフの読解問題が目立ちます。表・グラフの読解問題はある程度、出題傾向が絞られるので、まずしっかり基礎を固めたうえで、過去問を使って実践的な問題にチャレンジしていくのが定石です。

また、火山と地震は時事問題と絡めて出題されることがあります。近年ニュースになったことは確認しておきたいところです。入試では、節目の年の出来事を取り上げる “周年問題”が出題されることもあります。2020年は、1990年の雲仙普賢岳の噴火から30年、1995年の阪神淡路大震災から25年になります。事細かく暗記する必要はありませんが、それぞれどのような災害だったかを振り返っておけるとよいでしょう。

図表読解にせよ時事問題にせよ、基本的な事柄をまず理解することが大事です。こうするとたくさんの暗記事項があるように思えますが、実は覚えるべき事柄はそれほど多くありません。

火山:マグマの性質と火山の形、火成岩の種類は必ず覚える

火山の問題を解くために覚えるべき基礎知識として主なものは、「マグマの性質と火山の形」、そして「火成岩の種類」です。噴出したマグマの性質によって、できる火山の形が異なります。また、マグマが冷えてできた岩石を火成岩といいますが、火成岩は、地表付近で急に冷えてできる「火山岩」と、地下深くでゆっくり冷えてできる「深成岩」に大別されます。それぞれ含まれる鉱物の種類や割合によって3種類ずつに分かれ、色の濃さが違います。なかでも「花こう岩」や「玄武岩」など、代表的な岩石に関してはよくチェツクしましょう。

火山は社会科との融合問題が出ることがあります。社会科では、日本の火山の分布を習いますが、理科では日本地図にいろいろな火山の位置が示され、説明文を読んでどの火山かを答える問題が出題されることもあります。日本の主な火山の場所と特徴は覚えておきたいところです。

地震:P波とS波の特徴、発生の仕組みを理解する

地震は、初期微動(地震のはじめに起こる小さなゆれ・P波)と主要動(あとに続く大きなゆれ・S波)、初期微動継続時間(P波が到着してからS波が到着するまでの時間)を取り上げた問題が定番化しています。地震計が記録した波形グラフや、ある地点の初期微動や主要動が始まった時刻の表・グラフが示されたうえで、これらを読み解いて問いに答えます。具体的には次のようなものが出題されます。

  • P波やS波の速さを答える問題
  • 震源までの距離を計算する問題
  • P波やS波の到達時刻を考える問題
  • 地震の発生時刻を答える問題

これらの問題を解くためには、①P波とS波の特徴 ②震源からの距離と初期微動継続時間が比例すること ③テキストなどでよく取り上げられる図・グラフの3つの理解が大事です。

なお、以前まで地震波の速さは、P波が秒速8㎞、S波が秒速4kmという前提で問題作成されるケースが多く見られました。しかし、実際に起きる地震は波の速さが微妙に異なります。そのため今は、問題毎にリード文で地震波の速さが示されていたり、データから計算して速度を出して考察する場合が多いので、丸暗記した情報で解答するのではなく、リード文やデータを落ち着いて読み取り、条件整理をすることが必要です。

前述のように地震波の問題は聞かれることがある程度決まっていますが、近年は学校によって、これまでになかったタイプの問題が出題されているのも注目したい点です。たとえば2020年の普連土学園中学校の問題では、ある地震について、3つの地点で記録したP波とS波のグラフと説明文を読んだ後、グラフ用紙(解答用紙)にコンパスを使って震央を求める問題が出ました。栄東中学校では、地球内部の地震波の伝わり方に関する問題が出ました。実はこれらの問題もリード文やグラフを丁寧に読み込むことが、正解するためのカギになります。

地震については、次のような発生の仕組みも理解しておきましょう。

  • 地震には海溝型と直下型があること
  • 日本列島付近では4枚のプレートが相接していること
  • 海溝型地震はプレートが跳ね上がるときに起きて、津波が起こることが多いこと
  • 直下型地震は活断層で発生すること。
  • 断層の両側の地層の様子から、力がどのように加わったか(押す・引く)がわかること

プレートがもぐりこんでいるところは火山ができやすいので、プレートの動きは火山活動にも関連しています。プレートを題材に火山の問題が出ることがあれば、地震と火山を融合した問題が出ることもあります。

火山や地震の問題に強くなるには、普段のニュースにも目を向けて、親子で一緒に話してみることも大事です。噴火活動が続く西之島のことを話したり、緊急地震速報のしくみを考えたりすることなどは、子どもの興味関心を高める機会です。また、住んでいる地域のハザードマップを調べ、子どもといろいろな話をするような機会をぜひつくってください。


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小川眞士
小川眞士 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。