連載 中学受験の「新」常識

アフターコロナで受験勉強もオーダーメイドの時代に?|下剋上受験著者 桜井信一さんに聞く 中学受験の「新」常識【3】

専門家・プロ
2021年1月25日 ハルカ

中学受験は賢い子だけのものではない。普通の子こそチャレンジすべき。この連載ではいままで当たり前だと思ってきた中学受験の常識を見つめ直します。著書『下剋上受験』や『下剋上受験塾』で多くの受験生とその保護者から支持を集める桜井信一さんに、中学受験の常識についてお話をうかがいました。
桜井信一

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」では、のべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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下剋上受験塾

塾では下剋上が難しい

――単刀直入にうかがいますが、中学受験をするなら通塾は必須でしょうか。

私は中学受験に通塾は必須ではないと考えます。以前は塾へ通ったほうが良いと考えていましたが、コロナ禍でオンラインの下剋上受験塾へ来る人を見て考えが変わりました。とくに下位から中堅クラスにいるけど難関校を受験したい、つまり下剋上を狙っている人にとっては、塾へ行かない選択肢も有効なのではないでしょうか。

――難関校を目指すなら塾は必須というのが常識だと思っていましたが……。

塾にも合う人合わない人がいるんですよ。塾は実力を維持する場所です。中堅クラスの子は中堅校を受け、上位クラスの子は難関校を受けるということに不満がなければ良いと思います。家では集中力がもたない子にも塾は合っていますね。

でも塾で下剋上を目指すのは難しい。同じ塾でもクラスによって使用する教材やプリントを変えることがあります。上位クラスに入れなければ難関校を目指すための授業は受けられずプリントも手に入りません。塾としてはできないのに渡してもしかたがないということでしょうが、これでは夢がないですよね。オンラインの下剋上受験塾を始めてみて、下剋上を考えるなら、塾よりオンラインのほうが向いていると実感しています。

――オンラインのメリットとはどんなことでしょうか。

塾は授業時間が決まっているため前後にムダな時間ができてしまいます。オンラインなら通塾時間がいらないので時間をうまく使えます。下剋上をするということは現時点で学力が足りないということで、学力が足りないなら勉強時間が必要です。使える時間を増やせば無理なく勉強時間を増やせます。

さらにオンラインなら自分のレベルにかかわらずハイレベルな難問にもチャレンジできます。かつてオンラインは塾に行けない人がしかたなく選ぶものでしたが、今では塾と対等な選択肢になってきていると感じています。

学力差なんてない。あるのは“だらだら差”

――塾なしで難関校を狙えるというのは想像がつきませんが……。

たしかに中学受験で必要な勉強内容は多いですが、受験直前期を除けば1日2時間で足りる量だと思うのです。驚かれるかもしれませんが、私は下剋上受験塾を始めるにあたって改めて全単元を分析し、算数は限られた本質を学ぶだけで全体につながる教科だと実感しています。

平凡な子がイチから難関中学を目指すとしても、週末に少し増やせばそれだけで足りると考えています。

ただしキビキビ動ければの話です。中学受験では学力差は頭の良さではなく“だらだら差”だと思うのです。だらだらする子は塾へ行ってもぼーっとしているしオンラインでも動画を見ません。キビキビ動く子は塾ですきま時間使って宿題を済ませるし、動画もしっかり集中して見ます。下剋上受験塾で予想以上に成績が伸びたという反響もいただくのですが、共通点はしっかり動画を見ている子ということでした。時間の使い方の差がそのまま学力の差になるということではないでしょうか。

アフターコロナは自宅学習が増える

――学力アップのカギは時間の使い方ということですね。

コロナで塾へ行かない時期ができたことで、時間の使い方を見直した人も多かったように思います。塾がオンラインになってしまったと嘆くだけの人もいれば勉強時間の使い方を見直した人もいる。この差は大きいですよ。1日は思ったより長く、受験に必要な知識は思ったより少ない。だからアフターコロナはオンラインなどを使って自宅で学習する子が増えると予想しています。

勉強もオーダーメイドの時代がくる

――塾かオンラインか、選択肢が増えて迷ってしまいそうですね。

塾へ行くとしても重要なのはどの塾へ行くかではなくどんな先生、どんなクラスメートにあたるかです。でもそれは選べません。どこの塾に入るかに正解不正解はないし、そもそも塾に面倒を見てもらうという意識ではいけないんです。

時間を管理しモチベーションをコントロールするのはあくまで親。重要なのは何を使うかではなくどう使うかです。下剋上受験塾に申し込んでいる人にも大手塾の志望校対策授業は勧めています。必要があればオンラインで学びながら塾の講座もオーダーメイドで組み込んでいけばいいんですよ。

――中学受験もオーダーメイドができるんですね。

さらに言えば、塾でもオンラインでも効果を見てやり方を変えてもいいんです。親って自分は効果がないとすぐやめるのに子供には続けさせようとしてしまうじゃないですか。でもずっとしがみついても時間とお金が流れていくだけです。

学力を分けるのは、塾でも家でもどれだけキビキビ動いて時間を効率的に使えるかです。塾でやってみてダメだったらオンラインに切り替え、模試で現在地を確認しつつ志望校別の講座だけは塾で受ける。一部の人はそんな新しいやり方に気づいて動いていますし、私もオンラインというかたちでそれにこたえようと思っています。もしかしたら受験勉強もオーダーメイドの時代がくるのかもしれませんね。

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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ハルカ
この記事の著者

大手進学塾で6年間国語講師を務め、塾では主に5,6年生を担当。偏差値20台の勉強しない子供から、御三家に合格するレベルの子供まで幅広いレベルを受け持ちました。モットーは「無理なく楽しく効率的に」。

現在は中学受験を応援する個人サイトを運営。教育系webライターとして教育系、子育て系サイトでの活動も行っています。

中学受験アシストブック
https://assist-book.com

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