中学受験ノウハウ 中学受験をするかどうか

中学受験なんて優秀な子だけのものでしょ、と考える人が知らない事実

2021年3月24日 吉崎 正明

首都圏など特定の地域で特に高い人気を誇る中学受験は、世間では「優秀な子だけのもの」というイメージがあるようです。私自身、中学受験指導に携わる前は正直同じようなイメージを持っていました。しかし、当然ながら中学受験は“優秀な子”だけのものではありません。むしろ「さまざまな子にチャンスがあるもの」ということを、多くの子を指導していくなかで実感してきたのです。

中学受験を目指す思いはさまざま

中学受験を目指す子には、さまざまな思いがあります。

・公立以上にハイレベルな授業を受けたい
・憧れの部活に入って学校生活を楽しみたい
・新しい“居場所”を見つけたい

そのほかにも、さまざまな子が中学受験を目指しています。

勉強に自信がない子

勉強に自信がない子が中学受験の勉強に取り組むケースは多々あります。「勉強ができる子が目指すもの」といったイメージとは裏腹に、中学受験を経験した子が最初から全員勉強ができたかというと実はそうではありません。合格という目標を掲げ、それに挑むなかでできることを少しずつ増やし、勉強の自信をつけていく子が多いのです。

問題を起こしがちな子

小学校や地域などで少し問題を起こしがちな子が、塾などに通い受験勉強に励んでいるケースもよく見られます。学校やクラスメイトと上手く馴染めず、いわゆる“トラブルメーカー”のような扱いをされてしまう子でも、塾の教室では勉強にコツコツ励む姿を見せてくれるものです。その子にとって「落ち着いて過ごせる場所」が塾だったのでしょう。ちなみにその子の学校での様子を聞いて、塾とのギャップに驚いてしまう塾の先生も少なくありません。

「グレーゾーン」と伝えられている子

医師から「グレーゾーン」と伝えられている子が中学受験をめざすケースも珍しくありません。算数が得意だったり、社会の地名や電車などの知識が大人顔負けだったりと、特に勉強面で才能を発揮する子が多い印象です。私は「発達障害」と診断された子と中学受験の合格を目指した経験がありますが、その子は得意な算数を見事に生かし、第一志望の学校に合格。ほかにも難関校合格を勝ち取った子の受験に携わった経験もあります。

どんな子にも「合う学校」はある

首都圏だけでも300を超える中高一貫校があり、雰囲気や学習環境もさまざま。そのため、どんな子にもぴったりの学校がきっと見つかるはずです。そしてそれぞれの学校が特色ある教育方針で生徒指導にあたっており、共学か別学か、宗教教育を取り入れているかといった点でもバラエティに富んでいます。

共学・別学

共学では、男女一緒に学校生活を送ります。小学校もほとんどが共学のため、中学進学後も環境のギャップを感じずに済みます。異性と過ごす時間を長く過ごすため、社会に出て必要とされる適応性の面でも成長が期待できるでしょう。

一方で別学は、共学とは対照的。中学生は「思春期」という繊細な時期を過ごすため、同性に対してのコミュニケーションは自然と取れても、異性に対しては必要以上に意識してしまう場面が出てきます。その点、別学であれば異性の目を意識せずに過ごせるため、子供によっては別学のほうがのびのびと成長できる可能性もあるのです。

宗教校・無宗教校

私立の中高一貫校のなかには、宗教教育を実践している学校も多くあります。それぞれの学校は「思春期の教育の一環」として、そして「人格形成の一環」として宗教教育を取り入れています。「入学にあたって、宗教のことがわからなくても大丈夫です」と学校説明会などで話す学校も多く、これまで宗教に触れたことがない子でも安心して入学できる学校もあります。不安な場合は学校説明会などに行き、質問してみましょう。なお、日本では「信教の自由」が保障されています。そのため宗教教育をおこなう学校に入学したからといって、その宗教を信仰しなければならないということはありません。

一方、無宗教の学校では宗教教育の機会は多くありませんが、独自のプログラムやイベントなど、さまざまな体験の機会を提供することで生徒の人格形成に励んでいます。語学教育に力を入れたり、課外活動や伝統行事に力を入れたりと、学校によってその特色はさまざまです。

マンモス校・少人数校

学校の規模感にも違いがあります。たとえば大人数の学校、いわゆる「マンモス校」は校内に活気が生まれやすく、学校行事も大規模で盛り上がります。多くの友人と触れ合えるのもメリットです。

少人数の学校は先生や友人と距離が近く、アットホームな雰囲気が特徴です。人数が少ないぶん、学校行事などで活躍するチャンスも多く回ってくるでしょう。

さまざまな子にチャンスがある

学校の良さは偏差値だけではわかりませんが、「ウチは偏差値〇以下の学校は受けさせない」と話す保護者の方も少なからずいらっしゃいます。たしかに、偏差値の高い学校に入学させたいという気持ちは十分に理解できます。しかしそもそも偏差値は、一般的に入試の難易度を「模試のデータ」で表しているものに過ぎません。ある模試を受けた受験生の志望校情報などをもとに、入試の難易度を数値化しただけのものなのです。そして偏差値は、その学校の“良さ“を表す指標でもありません。

偏差値自体は高くなくても、面倒見を重視する教育でたしかな進路指導実績を残している学校は多いものです。中学受験では第一志望の学校に入れなかった子が、高校卒業後に「この学校に入学したからこんなに楽しい学校生活が送れた!」と話すことも珍しくありません。

中学受験はさまざまな子にチャンスがあり、色々な思いを持った子が挑戦しています。「優秀ではないから」という理由で中学受験をあきらめる必要はありません。チャンスがある限り、ぜひ前向きに挑戦してみてほしいと思います。

※記事の内容は執筆時点のものです

吉崎 正明
この記事の著者

都内の中学受験専門塾で社会・国語担当として活躍。12年間在籍した大手進学塾では難関選抜講座担当を歴任、社内数千名が出場する「授業力コンテスト全国大会」において優勝経験あり。その後家庭教師を経験し、2019年より現在に至る。全国トップレベルの授業技術と多彩な戦術眼を駆使し、御三家中などの最難関校から幅広い成績層まで、多くの受験生の第一志望合格をサポート。茨城県行方市出身。