学習 算数

【算数の応用問題】子供が苦手に感じる3つの理由と家庭学習の注意点

2021年4月19日 石井知哉

多くの中学受験生が苦労するのが、算数の応用問題。「子供は家でがんばっているのに点数がなかなか上がらない」という親御さんの悩みもよく聞きますが、こうした悩みや不安を解消するためには、そもそもどうして応用問題が苦手なのか、その理由を知っておかなければいけません。

応用問題を苦手に感じる理由

文章題や複雑な図形の問題など、算数の応用問題を子供が苦手に感じてしまうのは次の3つの理由が考えられます。

算数の応用問題を苦手に感じる理由

  • 自分で式を立てなければならない
  • 正解までに複数のステップが必要
  • 特殊算の解き方を知らないと対応できない

応用問題が苦手な場合には、まずは3つの理由のどれに当てはまるかを確認してみてください。原因を知ることで、苦手克服に向けて効率良く家庭学習に取り組めるようになります。

理由【1】自分で式を立てなければならない

基本的な計算問題とはちがい、多くの応用問題は自分で式をつくるところから始める必要があります。そのため立式に慣れていない子の場合には「どんな式を立てればいいかわからない……」と始めの段階からつまずいてしまうことが多いのです。

理由【2】正解までに複数のステップが必要

ほとんどの応用問題はひとつの式だけでは解答が出ません。多くの場合、あるひとつの計算結果をもとに次の式を立てることが必要です。そして、そこで導き出された結果からまた次の式を立てる ―― といったように、正解までにいくつかのステップが必要になります。このとき、計算の途中で行き詰まり、「そもそも何を求める問題だったっけ?」と混乱してしまう子が多いのです。

理由【3】特殊算の解き方を知らないと対応できない

「つるかめ算」や「和差算」など、中学受験の算数では特殊なタイプの文章題がよく出題されます。なかには、中学受験を経験していない大人では太刀打ちできないような問題が出されることも。こうした問題は、問題文を正確に理解し、それに合った特殊算の解き方を身につけておかないと歯が立ちません。つまり、そもそも特殊算を知らない子は応用問題が解けず、結果として「苦手」と感じてしまうことがあるのです。

家庭学習の注意点

応用問題を前にして苦しんでいる子供の様子をみて、「なんとかしないと……」と不安に感じる親御さんは多いことでしょう。しかし、焦りは禁物です。次にお伝えするような注意点を意識せず、闇雲に子供に接してしまうと、子供は算数の応用問題を余計に遠ざけてしまいます。

家庭学習の注意点

  • 教え過ぎない
  • 「わかった」状態で終わらせない

教え過ぎない

子供の家庭学習に付き添う場合に気をつけたいのが、教え過ぎないことです。子供が受け身の姿勢になってしまうと、応用問題を自分で考える力が伸びにくくなるからです。

家庭学習の際は、親が一方的に説明するよりも、子供に問いかけつつ、正解するまでの考え方を引き出してあげるような付き添い方をしてあげましょう。解説したあとで、考え方の道筋を子供に説明させるのもおすすめです。子供自身に考え方をアウトプットさせると理解が深まり、解き方の定着も期待できます。親としても、子供が正確に理解できているかを確認できるので一石二鳥です。

ちなみに子供が問題を解く様子を近くで見ていると、ついつい正しい解き方に誘導したくなる親御さんも多いかもしれません。しかし、ここでも我慢が必要です。途中で親が助けたのでは、子供が自力で正解したことにはならないからです。

中学入試で大切なのは、子供が自分でミスを発見して、自分でそのミスを直せるようになること。そのためには、親の忍耐も必要です。あえて間違えさせて子供に悔しい思いをさせることが、長い目で見ればプラスに働くことも多いのです。

「わかった」状態で終わらせない

算数は「わかった」と「できた」の差が大きい教科です。特に応用問題の場合、解き方がわかっていても式を立てて計算する段階でつまずくことが多いものです。そのため「わかった」で満足せず、「できた」と納得するまで解き直すことが、応用問題の得点力をアップさせるコツといえます。

繰り返しにはなりますが、親からの解説やヒントをもとに正解できたとしても、それは子供が自力で解いたことにはなりません。もちろん入試本番では、子供を助けてくれる人はまわりにいません。頼れるのは、子供自身の頭だけ。入試で役立つのは、誰の助けもなしに子供が自分ひとりで問題を解いていく、その力なのです。

ですから、もしも解説やヒントを子供に途中で与えた問題があれば、そのあともう1度子供だけで解かせてみましょう。子供ひとりで「できた」となるまで解き直すのが、応用問題の苦手克服につながる勉強法です。

「パターンリピート演習」の落とし穴

「パターンリピート演習」という学習法を聞いたことはありますか? 似たようなパターンの問題を繰り返すことで「考え方」や「式の立て方」を身につけていく学習法で、たとえば「過不足算」が苦手な子の場合には過不足算の問題パターンを反復練習するのが効果的です。

応用問題の苦手克服にもつながる「パターンリピート演習」ですが、実は落とし穴もあります。それは、広い範囲からさまざまなタイプの問題が出題されると対応できなくなる可能性があることです。そして「パターンリピート演習」だけに頼り過ぎてしまうと、問題にまともに向き合わない子も出てきます。

「パターンリピート演習」に頼り過ぎてしまうと……
「さっき教わったのはこのやり方だから、次の問題も同じやり方で解けるはず」
「このページは全部このやり方で解けるだろう」

塾の授業で出された問題や宿題は解けている。単元テストでも点を取れている。それなのに実力テストや模試になると点数が伸びない……。こうした子は「パターンリピート演習」がマイナスに働いてしまっている可能性があります。そもそも中学入試本番では、さまざまな問題がランダムに出題されます。そのため「解法のパターンだけ押さえておけばなんとかなる」といった考え方は少し危険です。

「シャッフル演習」を取り入れてみる

実力テストや模試になると点数が伸びない場合には、「シャッフル演習」を家庭学習に取り入れてみてください。「シャッフル演習」とは、複数のパターンの問題を一度に解く学習法で、「パターンリピート演習」と組み合わせることで家庭学習の効果を上げることが期待できます。

パターンリピート演習:特定の単元の理解度・定着度アップに効果的
シャッフル演習:さまざまな単元への対応力アップに効果的

一例ではありますが、次のスケジュールも参考にしてみてください。

応用問題の苦手克服スケジュール(例)
● 月曜日:パターンリピート演習(出会い算)
● 火曜日:パターンリピート演習(追いこし算)
● 水曜日:月・火のシャッフル演習(出会い算、追いこし算)
● 木曜日:パターンリピート演習(通過算)
● 金曜日:パターンリピート演習(流水算)
● 土曜日:木・金のシャッフル演習(通過算、流水算)
● 日曜日:1週間分のシャッフル演習(出会い算、追いこし算、通過算、流水算)

家庭学習がカギを握る

多くの中学受験生が算数の応用問題を苦手としています。逆にいえば、応用問題を克服できればほかの受験生に差をつけられ、合格を引き寄せることができます。そのカギを握るのは、家庭学習です。親御さんとしては、今回お伝えした注意点、そして効果的な家庭学習を意識しつつ、応用問題の苦手意識克服に向けてサポートを続けてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

石井知哉
この記事の著者

株式会社QLEA教育事業部部長。教育系Webサイト「School Post」を主宰。2000年、早稲田大学第一文学部 哲学科卒業。東京都の塾業界にて指導歴20年以上。現在は、東京都大田区で個別指導塾2校舎の教務・運営を統括する傍ら、千代田区麹町に超少人数制個人指導道場「合格ゼミ」を開設。豊富な実践経験に裏付けられた独自の理論とメソッドに基づき、小学校低学年から中・高・大学受験生、就職試験対策の指導にあたっている。幅広い学年・学力層・教科を対象に、個々の成長を最大限引き出す指導を得意とする。