連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

【学校選び】“出口”は意識していますか? ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2021年10月14日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

通学時間や部活、特色のある学校行事など、学校選びのポイントは各家庭によってさまざま。その基準のひとつとして、「大学の進学実績」を気にする親御さんも多いことでしょう。中高一貫校の6年間で、どれだけ深い学びを得たのか。その真価が問われるのが大学受験ともいえますが、実は今、「推薦入試」が主流になってきていることをご存じでしょうか? そこで今回は、高校卒業後の進路を左右する“出口”の考え方、そして推薦入試の現状をお伝えします。

教育の特色は、進学実績から見えてくる

まず、学校選びで「大学の進学実績」に注目する場合には、学校ごとの大まかな傾向を掴んでみるのがおすすめです。たとえば医学部に進学する生徒が多い、芸術系に進む学生も結構いるんだな、といったことですね。そもそも高校卒業後の進路は、学校の教育の賜物ともいえるもの。医学部を目指す「特進クラス」をつくっていたり、指導力のある先生が揃っていたりと、こうした取り組みが生徒の進路に影響することは珍しくありません。つまり進路をチェックすることで、その学校の教育の特色が見えてくるのです。そのため学校説明会などでは、「どうして進学先にこのような傾向があるのでしょうか?」と質問してみても良いでしょう。

ちなみに学校というのは、校長先生が変わったり、いわゆる“名物先生”が他校に移ったりすると、その取り組みが大きく変わってしまうものです。場合によっては中学に入学してすぐに校長が変わり、学校の進路指導に変化が生じる可能性もあるため、現時点での進路の傾向はあくまで参考程度として捉えておくことも大切です。

「推薦」が大学受験のトレンド

近年、「推薦」で進学先を決めるのが大学受験のトレンドになっています。その理由として挙げられるのが、都内の私立文系大学の定員が抑えられてしまったことです。背景には「地方の大学にも生徒を分散させたい」という文部科学省の狙いがありますが、結果として首都圏の文系大学の一般入試はこれまで以上に熾烈な競争になり、受験生たちは少ないイスをめぐる戦いを強いられることになったのです。

そこで改めて注目され始めたのが、「学校推薦型選抜」です。2019年度で見ると、実に全体の4割以上(※)が利用しているなど、通常の一般入試を凌ぐ勢いとなってきています。推薦を狙う場合、基本的には一般入試のような厳しい競争に巻き込まれることはありません。そのため生徒のみならず、これまでは一般入試の対策をガンガンおこなっていたような学校であっても、推薦入試の対策に舵を切り始めています。

※マイナビ進学「学校推薦型選抜って何?基本的な仕組みを知ろう

推薦入試の注意点

推薦入試が注目されていることに伴い、中学受験での志望校選びでも、学校ごとの推薦状況を意識する家庭も増えています。特に、合格率が比較的高い「指定校推薦」に注目する親御さんは多いですね。

指定校推薦
大学が指定する高校の生徒だけが出願できる入試。一般的に「推薦枠」が少ないため、狭き門と言われるが、推薦枠を獲得すれば進学はほぼ約束される

なお、学校が持つ推薦枠は毎年変わる可能性があります。たとえば、指定校推薦で進学した卒業生の成績が芳しくないと、出身校の推薦枠が見直されることもあるのです。そのため「この学校に入学できれば、指定校推薦を使って〇〇大学に絶対入れる!」と安易に考えてしまうのはNG。前述した「進路状況」と同じく、指定校推薦枠の数や、指定されている大学などについても、あくまで現時点での参考程度に捉えておきましょう。

大学付属校にも人気が集まる

ちなみに、一般入試の競争の激化、そして推薦を目指す場合でも成績を高くキープし続けることが必要であるため、「子どもにはノビノビと中高6年間を過ごしてほしい」と考える家庭を中心に、中学受験では「大学付属校」を志望する家庭が増えています。こうした流れに伴い、これまでは「GMARCH(※1)」以上の付属校を志望する家庭が多い傾向にありましたが、近年は日大をはじめ、いわゆる「日東駒専(※2)」レベルの付属校を志望する家庭も増えていますね。

※1「GMARCH」……学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の総称
※2「日東駒専」……日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学の総称

勉強の「下地」をつくっておこう

推薦を目指す場合には、まずは高校3年間の評定平均を高いレベルでキープしておくことが必要です。一般的には、高1から高3の1学期まで、二期生であれば高3の前期までの評定平均が求められます。このとき、ひとつでも評定の悪い教科があるとそれが足を引っ張ってしまうため、中学生の段階から勉強の“下地”をつくっておくことが欠かせません。具体的には、学校の授業をちゃんと聞いて理解する、提出物を期日までに提出する、定期考査では高い点数を目指すなど、中学生の間から勉強の習慣をつくっておきましょう。

中学入学前は「知的好奇心」を育てる

高い評定平均を高校でキープするためには、中学生の間に学習習慣を身につけておくことが大切とお話しました。そして、これから中学生を目指す子でもおこなえる対策があります。それは、「知的好奇心」を養っておくことです。たとえば、日常生活の中で「見たい・聞きたい・知りたい」といった気持ちを持っている子は、本を読んだり、テレビを見たり、電車の広告を見たりするだけでも、どんどんと知識を身につけていきます。そして、そうした“好奇心の芽”を持っている子は、中学以降だんだんと難しくなっていく勉強に対しても、むしろ楽しみながら学習を進めていくものです。

一方で、小学生の頃から勉強だけに追われていたり、塾に来ないと勉強ができなかったりする子は、本来は日常生活で培われるはずの知的好奇心が十分に養われていきません。さらに子どもは、中学生になると本格的に思春期を迎え、親に心を開かなくなってきます。そのため親御さんとしては、お子さんが小学生の間に、たとえばテレビを見ながらわからないことを一緒に調べてみたり、同じ本を読んで感想を共有したりと、知的好奇心を高められるようなコミュニケーションをぜひ意識してみてください。

子どもの未来を見据えた学校選びを

子どもにどんな進路を歩んでほしいのか、どんな大人になってほしいのか ――。中学受験では、このように子どもの将来をイメージすることが欠かせません。その上で、学校ごとの進路状況や、指定校推薦枠など、高校卒業後の“出口”の部分に関しても情報収集を重ねてみてください。

一方で、「6年間をどう過ごしてほしいか」を考えることも学校選びでは大切なポイントです。部活や友達付き合い、日々の学校生活を楽しむことも将来の大きな“財産”になるため、進学実績だけに偏ることなく、バランスよく学校の情報を集めることも意識してみてくださいね。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。