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算数が苦手で、受験まであと少しのこの時期になっても足を引っ張っています。第一志望校は諦めるべきでしょうか?|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

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2021年10月22日 桜井信一

『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は小6のお子さまをもつ親御さんからの相談です。

今回の相談

首都圏大手塾に通う小6男子の親です。偏差値64の中学校を第一志望としていますが、小4のころから算数が苦手で、いつも足を引っ張っています。

算数は偏差値53~55、その他が55~60前半くらいで、4科で57くらいです。

塾の志望校別クラスにはなんとか入れましたが、志望校別の模試では算数が30~40程度しか取れないため、クラスのなかでも1番下か下から2番目の下位にいます。土日両方とも志望校別クラスの講座に通い、頑張っていますが、算数が全く浮上しない状態です。

中学受験においては算数が大切と聞きますが、あと3か月と少しというこの時期になっても算数が足を引っ張り続けるのであれば、第一志望はあきらめたほうが良いのでしょうか。

もしあきらめずに頑張るとすると、算数はどのように勉強を進めていけばよいのでしょうか。現在は、平日は中の上のクラス、土日は志望校別クラスで志望校対策の授業を受けています。アドバイス、どうかよろしくお願いいたします。

相談者:こはる
お子さまの学年:小6


桜井さんの回答

こはるさま、こんにちは。

一番良いときの偏差値で考えて第一志望校を選ぶだけでも無謀なのに、大幅にジャンプしていますね。結果がどうなるかはお母様もわかっておられることでしょう。それでも最後まで頑張りたい。高望みが正しい選択と信じ込んでしまうのが中学受験の厄介なところです。

私なら、この時点で「ただ頑張る」だけしか残っていないのであれば第一志望は諦めます。「ここからやり直すとして、ここまでやれるとして、ここを中心にやるとして、もしそのあたりが出題されれば何とか届く」そう考えたら粘ります。

3か月ということはわかっているけれど、いまお子さんがどういう状況なのかが偏差値だけではわからないので、私の想像で書いてみます。

算数というのは今までどおりのやり方では伸びないと思います。よくわかっていないのに解き方をまる覚えして、一週間後に復習して……そんなことを繰り返していたら思考力は伸びません。なぜなら、まったく同じ問題が出ない限り解けないからです。過去問を2回目に解いたら合格最低点を超えたと喜んでいるケースと同じです。それは覚えているから解けただけで、初見が解けないという問題は解決していないでしょう。

算数で得点するには、初見に対応する力が必要なのです。この問題は相当算だ、つるかめ算だ、とわかることではなく、その問題文を条件整理して答えまでの道筋を想像できるようになることが重要なのです。最難関校の入試問題は、問題文の条件からは直接答えまでの道が見えていないことが多いので、寄り道する最適な場所を探すこと。こんなことが出来ないといけないのです。「普段の勉強とはまるで違ったよ」なんてこともあるかもしれません。

今の偏差値が53~55ということは、あと3か月の間、勉強時間を増やすということで解決することはないと思います。何が足りないのか、お子さんの解いている様子から親が探り出すしかないでしょう。

ちょっとクイズのようなことをしてみましょう。立体図形の問題にこんなのがあります。

問題)直線ℓのまわりを回転する図形があります。その体積を求めなさい。

これを解いてみると、その式が、半径×半径×3.14×2/3でした。どんな形の立体図形でしょうか。

答えは、円柱から円すいをくりぬいた形です。偏差値64の子ならあっさりと答えたでしょう。

半径×半径×3.14で円柱。半径×半径×3.14×1/3で円すいなんですね。

円すいは最後に1/3することは知っているはず。だけど、2/3なんてみたことがない。つまり自分の知っている式しか通り道がない子がここで止まってしまうのです。知っているか知らないかで判断する子は、「必ず答えがある」ということを忘れています。そして、優秀な子との差は、「実はちょっとしたトリックのようなものでそう対して難しくない」ということにまだ気づいてない。

この差を埋めることが親にできるかどうかです。3か月しかないのですから、つきっきりで見られるのは親しかいません。それが無理なのであれば、志望校を下げるべきかもしれませんね。

わざわざ不合格の経験をする必要はありません。第一志望校が高すぎると、第二志望校まで高くなります。すると、進学先はどこ?という事態が起きてしまいます。出願する時期に、親だけでも冷静に判断したいものです。

注)大事な時期です。私の意見は、ご質問に書いてある情報しかみえていませんので、他の要因があり大きく伸びることもあります。参考程度にしてください。


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※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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