
メタ認知と受験勉強 ―― 中学受験との向き合い方
自分を客観視して分析することを意味する「メタ認知」は、中学受験勉強においても重要です。受験生が自らを伸ばすためには「強みを伸ばすこと」「弱みを補うこと」の2点が必要ですが、この強化にもつながるからです。
離見の見
メタというのはギリシャ語で「高次の」という意味です。メタ認知は「高次の認知」という意味となりますが、それは「より高い視点から自分を認知する」ということ。心理学としてメタ認知が研究対象となったのは1980年ごろですが、自分を客観視するという考えは古来より存在していました。
たとえば1637年に出版された『方法序説』でデカルトが記した『我思う、ゆえに我あり』という命題は有名ですよね。日本でも室町時代に能を大成させた世阿弥が『離見の見』という言葉を残しています。観客の目線をイメージして、客観的に自分の姿を考えてみるということです。では、メタ認知の能力を高めて受験勉強に役立てていくためには、なにを意識するべきなのでしょうか。
親も自らを客観視する姿勢を
前提として、子供のメタ認知を鍛えるには、親が子供に鍛えられる環境を用意できるかが重要になります。そのためにも、まずは親自身が子供のためにどう振る舞うか、自分を客観視して冷静に行動する必要があります。
感情をぶつけるだけの行動は、嫌気を誘発しかねない
たとえば「子供が宿題をしながら、居眠りをしていた」とします。親として、起こすべきなのか、そっとしておくべきなのか、迷うかもしれません。当然、子供の性格やシチュエーションによって行動は異なるわけですが、どのような行動を起こすとしても、重要なことは「感情的になってはいけない」ということです。
たとえば「のんきにうたた寝をしているなんて!!」と怒りに身を任せて叩き起こしてしまったり、そのまま放っておいて、後になってから「宿題が終わらないのは、居眠りしているからじゃないの!」などと嫌味を言ってしまったり。
これらの言葉を受けた子供は不機嫌になったり、寝ぼけてボーっとしたりするかも知れませんね。そうすると、その後の勉強で集中力が30分も続かないかもしれません。親御さんとしては「子供にはしゃっきりとした状態で勉強を続けてほしい」という気持ちがあるのかも知れませんが、感情をそのままぶつけるだけの言動は、やる気の対極である「嫌気(いや気)」を誘発しかねません。もちろん、こうした言動でお子さんが「そうだよね!」と納得して変わればよいですが、感情のままに動いても良い結果は生まれないことのほうが多いでしょう。
そもそも、子供を親の思い通りに動かすことは難しいものです。沸き起こるイライラ・モヤモヤした感情はあるかもしれませんが、そこで一時停止して『離見の見』です。
- 今、この子はどういった状況なのか?(私が見えてないものはないだろうか?)
- 親として、自分の状態はどうか?(感情は?)何を願っているか?(欲求は?)
- この子に対してどういった声かけや振る舞いをしたほうが効果的だろう?
といった視点をもつことです。
とじる
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