試験中に緊張にのまれないために ―― 中学受験との向き合い方
受験本番や模試の会場で問題を解いているとき、「できるはずなのにできない……」という状態に陥ることがあります。そして、帰り道や家に帰ってから思い出して悔しい気持ちになることも。親御さん自身も何かの試験を受験されたときに同様のご経験をなさったことがあるかもしれません。こうした事態を防ぎ、それまで培った力を十全に発揮するためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
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試験会場での「ど忘れ」と、スポーツの「イップス」
スポーツの世界では「イップス」と呼ばれる現象があります。まっすぐにボールを投げたいのにとんでもない方向に飛んでいってしまう、意図せずしてスイングが途中で止まってしまうなど、技術はあるはずなのに思うように体が動かなくなってしまうといったものです。
現在でもアマチュア・プロ問わず多くの人が苦しめられていて、彼らの「できるはずなのにできない」という焦りと苦しみは、受験生が試験会場で「わかるはずなのにわからない」「覚えているはずなのに思い出せない」と苦しむのに似ています。
「こんなはずでは……」という想いが招く泥沼
あるスポーツの選手が試合前に「あの相手に自分は勝てないはずがない」とインタビューで答えたことがあります。相手選手は世界ランキングでは格下でしたが、試合が始まってみると、彼は本来の実力を出し切ることなく、敗北を喫してしまいました。
これはおそらく劣勢になった際に、彼の心の中では「こんなはずはない……」と事実から目を背けた想いばかりが渦巻いていたのではないでしょうか。「このままでは負けてしまう」「ああいう展開を予想していたのに」という仮定の未来に頭を使ってしまうと、泥沼にはまり込んでしまいます。
そうならないためには「目の前の問題に“専念”する力」が必要です。この選手も事実を受け入れ、そのうえでこの事態をどう攻略すべきかに専念していたら、結果はまた違っていたかもしれません。
同じように子供たちも、目の前の問題に集中できなくなることはよくあります。正解が何なのか悩み過ぎたとき、「不合格になったらどうしよう」「こんな出来栄えではお母さんに叱られちゃう」などの不安が心の中でむくむくと育ってしまうのです。
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