
新5年生の母です。一生懸命やっているのに「できない」原因が、いくら探しても分かりません……|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室
今回の相談
新5年生の子供の母です。2月より、新5年生のカリキュラムが始まりました。
私も子供と一緒に勉強しているのですが、理解していると思っている単元でも、なぜか得点ができません。
問題用紙の解いたあとを見ても、何をどうすればいいのかが、親の私にも分からないのです。
子供は勉強をしていないわけではなく、しっかりとやっていると思います。一生懸命やっているのに「できない」原因が、いくら探しても分からない場合、どうすればいいのでしょうか?
子供も辛そうです……。
相談者:小5はは
お子さまの学年:小5
桜井さんの回答

小5ははさま、こんにちは。
子供が得点できないと親も辛い。わかります。私も苦しみました。
なぜできないのでしょう。パッと思いつくのは算数の解き方を丸暗記していることです。解法暗記というのは賢い子がやることであって、みんなに通用する勉強法ではないのです。よくある話ですが、「この方法が良いらしい」というのは万人に対しての話じゃない。ある子には良い方法で、それ以外の大多数には不向きな方法だったりするのです。
解き方を暗記する方法で勉強すると、当然いつかは忘れます。私の経験では一週間程度で忘れます。習ったあとに別の解き方を頭に入れますから、先に習った方から「忘れた箱」の中に入っていくのです。それが付箋。テキストが付箋だらけになっても繰り返す。全然先に進まなくて、本人のやる気を疑うことになるのです。
道を覚えるとき、ただ左で右でと暗記しているわけではありません。無意識のうちに景色を感じ、目印に家や看板を見ながら自然と覚えやすくしているのです。算数も同じ。こうやって解く「理由」。それがわかっていないと忘れてしまいます。
例えば「旅人算」。ふたりが向かい合って歩くとき、ふたりの速さの和を使います。どうして速さの和になるのか。これはすごろくで考えるととてもわかりやすい。最初はふたりの間が140マス離れている。こちらから6マス進んで、同時に向こうから8マス進んでくると、ふたりで14マスずつ近づきます。これを10回繰り返すとふたりは出会う。こうして、仕組みを理解したとき、ようやく定着するのです。
また、算数を「覚える」のは、多くの子供にとって現実的ではありません。塾では毎週新しいことを習ってきます。量が多すぎて消化できないのです。ところが、実はそんなに量はないと気づいている子もいます。速さで習う逆比と平面図形の等積変形は同じ仕組みです。また、仕事算も速さと同じ仕組みです。そうして同じ仕組みのものに分けていくと、そんなにパターンはないのです。
しかし、塾ではそのことを教えてくれません。短い授業時間と限られたコマ数ではそんな丁寧なことをやっていられないんです。ついて来ることができる子供が毎年一定数いるわけですから、塾的には問題ないのです。
何割かは必ず賢い子がいる。なんだかずるく見えますが、「親が二人三脚で勉強する家がわずかである以上、塾の授業時間では限界がある」というのが言い分でしょう。私もそう思います。
「マズい!うちの子はできない!」と気づいた時点で、親が完全につきっきりにならない限り、子供は開花しません。これが実際に中学受験を勉強してみての本音です。
多くの家が、つきっきりという方法を取らず、塾に預けます。それは現状を目の当たりにしなくていいからです。毎日横で見ているとストレスで参ってしまいます。だから見ない方法を選択し、テストの結果だけであーでもないこーでもないというのです。月謝を払っているわけですから、言う権利があると思っている人も多いでしょう。塾も親がストレスで参ってしまい、塾をやめてしまうことくらいわかっていますから、「親は口を出さないでください」というのです。
さて。逆にこう考えてください。「競争相手」がそういう状況です。もし、子供をつきっきりで見てあげられるならば、大いに勝ち目があると思いませんか。
あとは、ご家庭の事情にどう折り合いをつけるかです。
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