中学受験ノウハウ 連載 桜井信一の中学受験相談室

志望校を選ぼうとすると「どこでもいい」と言う息子。親が志望校を決めてしまって良いものなのでしょうか?|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

専門家・プロ
2022年3月29日 桜井信一

『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は小5のお子さまをもつ親御さんからの相談です。

今回の相談

新小5の息子がいます。わが家は上の子も中学受験を経験しているので、本人も「自分も中学受験するのが当然」と思っていて、当たり前のように小4から塾に通いはじめました。

ところが、いざ志望校を選ぼうとすると「どこでもいい」「家から近いほうがいい」といった感じで、一向に本人の目標が定まりません。

今年も実際に学校を観に行く機会は限られてしまうかもしれませんし、本人のモチベーションが上がるのを待たずに、親が志望校を決めてしまって良いものなのかどうか、悩んでいます……。

相談者:ぽこ
お子さまの学年:小5


桜井さんの回答

ぽこさま、こんにちは。

受験をするにあたり、5年生から志望校を決めないといけない理由って、限られたケースになると思います。

女子の話になりますが、たとえば桜蔭学園の場合、国語がかなり特殊です。ところが桜蔭を受験する子どもたちは、当然ほかの学校も受験するわけです。桜蔭対策だけで受験に臨むのは現実的ではありません。そして、その桜蔭対策も6年生の夏からが一般的でしょう。5年生のうちから志望校向けの対策している子は、おそらくいないと思います。

ほかにどんなケースがあるかといいますと、パッと思いつくのが公立の中高一貫校を志望するケース。そして、2教科受験など教科数が少ない学校ばかりを受験するケースですね。

それでも、5年生のうちは普通に皆と同じで良いと思うのです。5年生の場合、この先どう考えが変わるかわかりませんし、学力もどんなふうに推移していくかわからないので、広く構えておくべきだと思います。

次に学校見学ですが、簡単にいうと学校側のプレゼンテーションですよね。これは上手下手がありますから、どうしても子どもが見ておかないといけないものではないと思います。言うなれば「遠足」のようなものですよ。「たまには授業を休んで学校に出かけましょう」っていう感じです。

上のお子さんのときに経験されていらっしゃるかもしれませんが、成績面や人間関係の問題や、ときには先生とうまくいかないケースなど、親が学校に出向く機会は意外と多いんです。その点も考慮しながら、通学距離はどうか、学費に見合う指定校推薦を持っているかどうかなど、親にしか判断できないことを検討する方が重要かもしれません。ほかにも特進クラスの有無も重要なポイントです。

「志望校への憧れ」をモチベーションに使えるかどうかも個人差があると思います。たとえば、A校合格を目標として頑張っていたとします。でも、受験勉強はダラダラ。ゲームもしたいしユーチューブもみたい……。そんなとき、志望校へのこだわりが強くなければ「別にA校じゃなくてもいい」と言えばすむわけです。「目の前のラクを選んではいけない」こんなの大人でもなかなかできません。自律することをこれから練習していく年齢ですから、できなくて普通なのです。

まだ5年生。あまり神経質にならずに広くゆったりと構えましょう。焦る気持ちはわかりますが、周囲に「焦ってワイワイ言って成績が上昇した子」がいるでしょうか?いないですよね。

中学受験は「手法」なんです。どんな手でどうやって成績を上げさせるか。算数をわかるようにするためにどうするか。理科社会を暗記させるためにどうするか、どんな工夫ができるのか。ここを悩むことが、最も重要なんだと思います。


これまでの記事はこちら『下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室


『下剋上受験』の著者 桜井信一さんが、中学受験の相談にお答えします。ご相談はこちら!

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

[関連]

父娘の記念受験(公式ブログ)
下剋上受験塾