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【前編】2022年中学入試 理科を振り返る ―― 化学、物理、生物、地学分野の傾向|なるほどなっとく 中学受験理科

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学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

今回から2回にわたり、2022年理科の入試問題の特徴を小川先生が解説します。前編は、化学、物理、生物、地学の各分野の問題傾向についてお伝えします。

化学分野:例年通り、水溶液の問題が中心

例年同様、水溶液に関する問題が目立ちました。水溶液の性質、気体の発生、中和について問う問題は定番です。

問題を解くためには、水溶液についての基本的な事項(酸性・中性・アルカリ性、水溶液に溶けているもの「溶質」の名前やにおい、リトマス紙やBTB溶液といった指示薬の変化など)を正確に覚える必要があります。

気体の発生や中和については、気体の発生量や固体のできる量などに関して、表やグラフを絡めた問題が中心となります。

実験データを踏まえてさまざまな問題に答えるのですが、データの数値は必ずしもきれいに揃えられているわけではなく、誤差を含んだ数値が示される場合もあります。数字の変化を的確に捉えてデータを処理し、規則性を見つけることが問題を解くカギになります。

水溶液に次いで目についたのは燃焼です。燃焼は、まず「ろうそくの燃焼」をきちんと理解することが問題を解くために欠かせません。今年も「ろうそくの燃焼」を扱った学校がいくつか見られました。

ほかにも燃焼では、気体を燃やしたときの体積や重さを考えさせる問題が近年、見られるようになっています。たとえば女子学院中では、メタンとプロパン、それぞれを燃焼させたときに発生する二酸化炭素と水蒸気の量を示したうえで、メタンとプロパンの混合気体を燃焼させたときの水蒸気量や、燃焼前のメタンとプロパンの量を考える問題が出題されました。

化学分野では問題の導入部分で、実験器具の扱い方や実験のやり方について問われることもあります。小学校の実験は、実際に器具に触れ、自分の手を動かして体験できる貴重な機会ですから大切にしてください。

物理分野:力学の問題が増える傾向に

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小川眞士

小川眞士

  • 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

水溜 兼一(Playce)

  • この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。