
ゴールデンウィークの過ごし方 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」
慌ただしい4月が終わりに近づくと、いよいよゴールデンウィーク(以下、GW)が訪れます。大手の塾では特訓や合宿でスケジュールが埋まってしまうことも珍しくないですが、難関校を目指していない場合にはそこまでガツガツと取り組まなくても大丈夫。しかし、だからといって目標もなくダラダラと過ごすのは禁物です。
ふたつの目標をクリアしよう
私の塾(進学個別桜学舎)は、今年のGWは4月29日から10連休の予定です。先生たちもお休みですから、基本的には塾も開いていません。宿題ややるべきことをきっちりこなしていれば、友達と遊んだり、ゲームをしたりしてもOKと生徒たちに伝えてはいますが、一方でこの期間に達成してほしい目標がふたつあります。
GWでクリアしたい目標
- 苦手な単元を克服しよう
- ひとりで勉強できるようになろう
苦手な単元を克服しよう
GWは、これまでの勉強を総復習できるチャンスです。特に、自分の弱点や、取りこぼしている単元と向き合う時間をつくるのがおすすめです。
2月から新学年がスタートし、駆け足で授業を受けてきた子も多いでしょう。受験勉強を始めたばかりの子の中には、地に足がついていない子も多いかもしれません。そんな中でのGWは、しばしの“休憩時間”。自信がない科目や、苦手意識のある単元を復習できる良い機会のため、まずはいったん落ち着き、「弱点の克服」を目標としてみましょう。
ひとりで勉強できるようになろう
「塾がないと勉強が進まない……」と不安になる親子は少なくありませんが、少し厳しいことを言うと、半年や1年ならまだしも、GWで1週間ほど塾がないくらいで勉強できなくなってしまうようでは今後の受験生活が心配です。
私は「GWは塾で自習もできないよ」「自分の家で、自分で勉強するんだよ」と生徒たちに伝えていますが、その理由は、受験勉強は「子どもがひとりで勉強できるようになること」を最終目標とすべきだと考えているからです。もちろんサポートは必要ですが、一方で“突き放す”という意識を周囲の大人が持たないと、自分のことは自分でやる、自分の力で計画を立てる、といった姿勢はいつまで経っても子どもに身につきません。
ちなみに私の塾では、GWに多くの宿題を出します。「遊んでもいいけど、受験生としての生活はしっかり続けておいてね」という意図もあり、あえて一日では終わらない量を出しているんですね。なかには宿題や勉強がはかどらず、GW明けの授業で先生からお説教を受ける子もいますが……。いずれにせよ、子どもがひとりで勉強する習慣を身につけさせたいのであれば、GWはその目標を叶える最適な期間といえるでしょう。
GWが終わったあとに気をつけること
GWを終えて日常生活に戻ると、なんとなくグダグダしてしまう時期が訪れます。そして、こうした“停滞ムード”を目の当たりにして「やる気がないなら受験をやめてしまえ!」と親御さんが声を荒げ、実際に中学受験をリタイアしてしまう……、といったケースはよく見られますが、そもそもこうしたスランプは仕方のないこと。GWをどんなに上手に過ごした子でも休み明けはペースが落ちるものですし、同じテンションのまま受験勉強を続けられる子はいません。そのため仮にグダグダしている様子が見られても、まずは「そういうものだ」と割り切ることが大切です。
また5月後半~6月になると、多くの塾で夏期講習の申し込みが始まります。「夏期講習が始まる!」という雰囲気は塾に活気が戻るひとつのきっかけでもあるため、子どもたちの気持ちも少しずつ上向いていきます。このようにモチベーションというのは、色々な要因によって上がったり下がったりするものです。「GWのあとは気持ちが落ちてしまうことは普通」と捉えておくことで、子どもの様子に過度に一喜一憂しなくて済むかもしれませんね。
子どもの表情は見ていますか?
GWの過ごし方についてお伝えしてきましたが、ここで注意したいのが、子どもによって状況は異なるということ。「〇〇をするべき」といった固定観念にはまってしまうと、子どもにとって本当に必要なサポートが行き届きません。たとえば「GW明けはスランプが訪れやすい」と先ほどお伝えしましたが、100人いたら100人に当てはまるかというとそうでもなく、GW前にスランプが訪れる子もいますし、全く来ない子もいます。
つまり親御さんに必要なのは、私たち塾講師がお伝えするような情報をもとに予測を立てる一方で、あくまでそのときの状況ごとに、子どもの表情をよく観察した上で対応を考えることです。「がんばれ!」と親が励ましたとき、子どもはウキウキした様子で勉強に取り組んでいるか、それとも暗い表情をしているか。子どもがGW後に勉強をイヤがっている素振りだけをもとに息抜きばかりを認めてしまうのか ―― 。
私たち塾講師は多くの子を見てきていることもあり、GWの過ごし方をはじめ、ある程度のアドバイスはお伝えできます。しかしそれがお子さんに当てはまらないケースもあるので、良い意味で「参考程度」に捉えておくのが情報との健全な向き合い方ともいえるでしょう。こうした意識のもと、GW中、そしてGWが終わったあとも、変わらずお子さんの様子に目を向けることを最優先にしてほしいと思います。
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これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」』
※記事の内容は執筆時点のものです