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入試理科の文章量に負けないためには?|なるほどなっとく 中学受験理科

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2022年5月10日 水溜 兼一(Playce)

学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

中学入試の理科の問題は、ひと昔前に比べて変わってきています。なかでも大きな変化は、文章量が増えたことです。では “読み負けない”ためにはどうしたらいいのか? 文章に慣れるコツを小川先生に伺いました。

理科の問題の文字数はどうなっている?

2022年入試において、難関校の理科の問題は、総文字数(リード文や問い、選択肢などを含む)が平均約5000字でした。

ひと昔前に比べると文字数が増加しています。その理由の一つは、受験生にとって初見の問題が多くなっているからです。

近年の大学入試の傾向を反映して、中学入試でも受験生が未知の問題に対して、いかに理科的視点を持って考えられるかを調べようとしています。受験生が初めて触れるテーマを扱うことが多くなるので、問題のリード文でその内容を詳しく説明する必要があります。そのため、文字数が多くなりがちなのです。この傾向はこれからも続くでしょう。こうした長い文章を読んで問題を解くには、内容を理解して要点を整理する必要があります。

ただ、そのために理科の高度な知識が必要かと言うとそうではなく、これまで塾や学校で学んできたことをベースにして内容を把握できれば解ける問題がほとんどです。

しかし、問題を見た瞬間に圧倒的なボリュームに動揺してしまったり、細部まで読み取る力が足らず、内容をつかみ切れなかったりすることがあります。

文章に慣れるためには?

長文問題を解くには、与えられた文章を集中して読む力と内容を理解する力、そして要点を把握する力が必要です。

ところが普段の学習では受動的に知識をインプットする傾向が多く見られます。「これはこうなるものだから、解き方を覚えておく」「YouTubeなどの動画で実験を見る」といったように、見聞きすることだけで完結しがちです。

しかし入試は読んで考えることが基本ですから、文章を読んで考える習慣をつけておきたいところです。そのためには、やはり読書をして文章に触れることが大事です。

しかし子どもは、自分の興味のない本を無理やり読まされる状況では、自ら進んで読もうとしないことがありますし、強制されることが続くと本が嫌いになってしまうこともあります。

子どもに本を勧める際は、好きなものを選ぶことが大事です。植物、昆虫、動物、化学の実験、天体など、理科にはさまざまなテーマがありますから、まずは子どもが好きな単元や興味を持っているテーマのものを見つけてください。

読書が苦手なら全部読む必要はなく、関心を持った分だけでよいのです。日頃から文章に触れて、読むことに慣れることが優先です。最初は漫画でもよいでしょう。子どもに合ったものを選ぶことが大事です。

理科的な内容を扱う漫画や本を5つ紹介

理科や自然を扱った本はたくさんありますが、私が考える受験生におすすめのものをいくつか紹介します。図版や写真が多いものや、漫画を中心に、比較的取り掛かりやすそうなものを選びました。

『昆虫のふしぎ』(講談社)

クワガタ、セミ、蝶、カマキリなど、さまざまな昆虫の生態を漫画で楽しみながら学べます。まずは文章を読むことに慣れさせたいと考えている方は、お子さんに勧めてみてはいかがでしょう。

『ブリタニカ科学まんが図鑑』(ナツメ社)

宇宙、地球、天気、ロボット、人体など、科学のさまざまなテーマについて、子どもが親しみやすい漫画で解説しています。写真や図版も豊富に掲載されているのもポイントです。

『読解力と語彙力を鍛える! なぞ解きストーリードリル 小学理科』(ナツメ社)

ショートストーリーを読みながら、水溶液や星座などの理科の知識を楽しく身に付けられます。さらに、ストーリーに出てくることわざや四字熟語などの意味を尋ねる国語的な問題もあります。なぞ解きをしながら、読解力と語彙力を高められる一冊です。

『学校勝ち抜き戦 実験対決』(朝日新聞出版)

電気や磁石、生物や人体、水溶液や燃焼、惑星や地震など、理科のさまざまなテーマを扱った学習漫画でこれまで40巻まで刊行されています。科学好きの小学生がチームを結成して科学実験の大会に出場し、バトルを繰り広げるストーリーにハマる子どもも多いようです。

『春の数えかた』(新潮文庫)

文章に親しめるようになったら、理科的な事象について書かれた本もおすすめです。本書は動物行動学者の日高敏隆氏のエッセイ集で、鳥や虫や植物はどのように春を知るのかとう自然界の不思議を探る一冊です。日高氏の本は国語の入試問題でも定期的に取り上げられます。

読書以外に文章に親しむ方法は?

文章に親しむ方法としては、博物館や科学館などのホームページに載っている解説をプリントアウトして、子どもに読ませる方法もあります。また、本を一冊読むのが苦手なら、塾の国語の授業・テキストで扱われる説明文や論説文を読ませてみるのもいいでしょう。

問題は解かなくてもいいので、内容を把握して要点をまとめる訓練をしてみてください。読んで考える経験を積むのが肝心ですから、読書の量や速さにこだわる必要はありません。子どもが興味のありそうなテーマの文章が載っているものを、ぜひ親子一緒に探してみてほしいと思います。

また、理科に関する文章の理解という点では、問題集や模試の解答解説をきちんと読む習慣は必ずつけさせたいところです。

問題を解いた後の答え合わせで、自分の答えが合っているかどうかを確認するだけで、解説まできちんと読んでいる子は多くありません。

答えの正否にかかわらず、解説をきちんと読んで、解き方や内容を理解することは、解き方のポイントの確認と同時に文章を読む力もつくことになります。ですからご家庭で問題集に取り組む場合は、解説がしっかり書かれているものを選びましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

小川眞士
小川眞士 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。