植物と昆虫の関係を理解すると、生物はもっとオモシロイ|なるほどなっとく 中学受験理科
植物と昆虫(動物)は密接な関係があり、これまで共生しながら生き延びてきました。中学受験の生物の学習も、両者を関連づけて理解することで理科的思考が養われ、生物への理解も深まります。今回は、植物と昆虫の共生の例を少し紹介しましょう。
虫を寄せ付けない、植物の工夫
昆虫が餌とする特定の植物を「食草」と言います。カイコの幼虫は桑、アゲハチョウの幼虫の多くはミカン科の植物、モンシロチョウの幼虫はアブラナ科の植物といったように、食草が限られている昆虫はたくさんいます。それはなぜでしょうか?
じつは、植物はいろいろな昆虫に食べられてしまわないように「阻害物質」というものを出しています。もし「阻害物質」がなく、全ての昆虫が全ての植物を食べられるとしたら、植物は絶滅してしまうかもしれません。つまり食草が決まっているからこそ、植物が生き延びられると考えられます。では、食草はどのように決まるのでしょうか? ここでは、モンシロチョウとアブラナ科の植物を例に挙げて説明します。
モンシロチョウの幼虫(アオムシ)は、菜の花、キャベツ、大根、ブロッコリーなど、アブラナ科の植物の葉を食べます。しかし、アゲハチョウの幼虫はアブラナ科の植物を食べません。
アブラナ科の植物には「からし油配糖体」という成分が含まれています。アオムシは、この成分を分解する酵素を持っているので、アブラナ科の植物の葉を食べることができます。しかし、他の昆虫はこの酵素を持っていません。
つまり、アオムシはアブラナ科の植物を独り占めできるというわけです。アブラナ科の植物にとっては、アオムシに食べられることは不本意ではありますが、もしも「からし油配糖体」を含んでいなければ、他の昆虫にも食べられ放題になってしまうわけです。
モンシロチョウは、卵からふ化した幼虫がすぐに餌を食べられるように、アブラナ科の植物に卵を産み付けます。
では、モンシロチョウは、どのようにアブラナ科の植物を見分けるのでしょうか。
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