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冬休み・お正月に中学受験を意識する家庭でチャレンジしたいこと|低学年のための中学受験レッスン#4

専門家・プロ
2022年12月26日 宮本毅

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さて、冬休みです。

中学受験を目指すご家庭にとって長期のお休みは、たとえ低学年といえども将来の学習につながることをさせたいものですよね。

でも、いったい何をさせればよいのでしょうか。

こんなに早くからお勉強ばかりさせるのも、何だか子どもを追いこむようだし、高学年になったときに息切れしそうで怖いですよね。

今回は中学受験を考える上で、ぜひとも低学年の冬休みにやっておいてほしいことを、皆さんにお知らせしたいと思います。

中学受験を乗り越えるメンタルはどう養う?

中学受験を目指して本格的に勉強を始めると、大なり小なり「挫折」に向き合うときがきます。

目の前にある問題の解き方がわからないといったものから、このままでは志望校に受からないといったものまで、挫折の連続とも言えます。

ということは、裏を返せば、中学受験には「挫折を克服できる強いメンタル」を鍛えておけば、非常に有利です。

実際、挫折にめげない生徒は粘り強く考え抜き、難問にぶち当たっても挫けずトライすることができます。

宿題が多少多くても頑張れるので、着実に実力を高め、最終的に志望校にきちんと合格していきます。

メンタルが強いことは、中学受験を目指すうえで、そして人生を通してみても、その子の何物にも替えがたい財産となるでしょう。

子どもをスキーに連れてって!

では、メンタルを鍛えるのに一番よい方法とは、いったい何でしょうか。

スポーツはメンタルを鍛えるツールとしては非常に優秀ですが、その中でも私は圧倒的にスキー(スノボでも可)をおすすめしたいです。

実際に、中学受験で入学を目指す私立中学の多くは、学校行事としてスキースクールを採用しています。これもスキーに高い教育的価値を見出しているからこそでしょう。

スキーというスポーツは、ひとたびリフトに乗って上まで連れていかれてしまえば、もうどうやったって、下まで降りてくるほかはありません。

「つらい」状況を回避したくても、逃げることはほぼ不可能です。

多くの子どもたちにとって、たとえ転んで痛くても、寒くて凍えそうになっても、体力を消耗して動けなくなったとしても、自力でゲレンデを下りていく以外に道はないんだ、というような事態に直面する、はじめての体験となります。

のっぴきならない状況とは、まさにこのことです。

しかし、恐怖や痛みやつらさを全部克服しなければ生還することはできないとなると、不思議と人間は開き直れるものです。

スキーこそ、強メンタルを育てる「最大にして最強のスポーツ」であると私は考えます。

私の主催する塾では、毎年スキーツアーを開催しています。

ときにはまったくのスキー初心者も混ざることもありますが、私はわりとスパルタで、転んでもほぼ手助けをすることはありません。

ただ、そばに立って見守るだけです。

しかし、それでも子どもたちは、何度転んでも立ち上がり、身体の節々を痛めながらも徐々に滑れるようになっていくのです。

3日もあれば中級レベルの斜面はだいたい滑ってこられるようになります。

そうして、スキーを克服する過程を通じて、厳しい受験期を乗り越える粘り強さを身につけていくのです。

だまされたと思って、お子さんをぜひスキーに連れていってください! スノボでもOKです!

「最後までやり遂げる体験」が大切

まぁそうはいっても、スキーに連れていくのはなかなか大変ですよね。もうこの冬休みの予定も組み終わってしまっている人も多いでしょうし。

ですから「最後までやり遂げさせる体験」であれば何でもいいです。

ロープウェイなどのない山にハイキングに行くとか、ちょっと遠くまでお散歩に行くとかでも構いません。

2時間歩いたら2時間戻らねばならないので、スキーと同じ状況を作ることも、何とかできそうです。

教科書外の出題に対応するには?

近年の中学入試の問題は、学校教科書や塾用テキストには掲載されていないような、いわゆる「一般常識」的な出題が、増加傾向にあります。

「五節句」に関する話や「祝日の由来」、かつては「年越しそばで食べるきつねうどん」をテーマにした問題も出題されたこともあります。

日常、身近にあるものにきちんと目を向けて生活を送っていますか? 地に足をつけた日々を過ごしていますか? といったメッセージが込められているかのようですね。

季節の行事以外にも、たとえば、「学校給食の揚げパン」に関する問題や、「道路標識」に関する問題など、私立中学側は工夫を凝らして、実にさまざまな角度から問題を作ってきます。

出題範囲が広がる背景にあるもの

なぜこういった出題傾向にあるのか。

その要因のひとつとして、私自身も含めた塾と受験生たち(その保護者)の対応の早さが挙げられます。

たとえばある中学で「モガ(モダンガールのこと。大正時代にオシャレな服を着こなし社会で活躍する女性をこう呼んだ)」について出題されると、次の年の塾用テキストには「モガ」という言葉が載ります。

親たちも「ほら、こんな言葉が過去問で出てるよ、これはね……」と子どもたちに教えようとします。

学校側としては、本来ならば、子どもが知識を持っていない事柄について思考させたくて出題しているのです。

しかし、知識があればより合格に有利であると思えば、塾や親はそれを子どもに覚えさせようとする。

だから、私立中学側もまた新しい話題を探してこなければならない。

いたちごっこです。

うれしい! 楽しい! プラスの感情で「エピソード記憶」を強化して

そんなわけで、中学受験では、教科書に載っていないあらゆる事柄について問われる可能性があると考えてください。

でも、ありとあらゆることを知識として詰め込むには、限界がある。そこで活躍するのが「エピソード記憶」です。

人は、ただ覚えただけの「単純記憶」は非常に忘れやすいが、体験したことについては記憶が残りやすいもの。ですから、体験させてしまえばよいわけです。

このような記憶を「エピソード記憶」といいます。この記憶は、楽しかったり嬉しかったりすると、より強固になることが知られています。

ですから、お正月はおじいちゃん・おばあちゃんをはじめ、年の離れた親せきやふだんなかなか会えない知人に会い、その話に子どもと一緒に耳を傾けてみてください。

年末年始は自宅で過ごすというご家庭は、いっしょに正月飾りを飾ったり、おせちを食べながら由来を語ったりしてみましょう。昔ながらのお正月遊びに親しむのも良いですね。

きっと、価値ある「エピソード記憶」につながります。

こうした何気ないお正月の経験が、ふとしたときに役立つはずです。

まとめ

中学受験させたいからと言って、低学年のお正月から計算ドリルや漢字ドリルなどやる必要なんてありません。

むしろ、ふだんは難しい遠出や、なにげないお正月のような、お勉強からは得られない体験を、受験が迫ってくる前に、当たり前に経験させてあげてほしいと思います。

 

さて、今年もなかなか収束を見ないまま、コロナに振り回される一年でしたね。

どこへ行ってもマスクを強要され、閉塞感もMAXになりつつあります。

そういえば今年の漢字が「戦」になったそうですね。世界のそこかしこに戦争の火種があり、いつそれが大火となって世界を巻きこむかわかりません。

未来ある子どもたちが不安にさいなまれることのない、安心して眠れる世界を作ることこそ、私たち大人の使命であるのに、「おい大人たち!いったい何やっとんじゃ」と喝を入れたくなる毎日です。

しかし「止まない雨はない」。

いつか晴れ間が広がり、光に満ち溢れた世界がやってくることを信じて、新しい年を迎えたいと思います。

今年もありがとうございました。

※記事の内容は執筆時点のものです

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宮本毅
この記事の著者
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。YouTubeチャンネル「アテナチャンネル」を運営。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)