化学の計算問題で子どもが悩んでいたら? 保護者が教えて理科の苦手を克服させるコツ
理科の化学分野では計算問題がよく出ます。中学受験生が苦手とするだけでなく、保護者も「教えるのが難しい」と考えがちです。そんな化学の計算問題について、保護者が子どもに教えるときのコツを紹介します。
化学の計算問題の基礎
化学の計算問題にはいくつかの法則があります。それらをふまえて教えることが大切です。
定比例の法則
気体の発生や金属の燃焼では、「複数の物質が反応するとき、それぞれの物質の重さ(正確には「質量」)の比は一定である」という定比例の法則が成り立ちます。保護者は子どもに「物質の重さを求める問題は比例計算だよ」と教えましょう。
【問1】2.0gの銅粉を空気中で十分に加熱したら、2.5gの酸化銅ができました。同じように、3.2gの銅粉を空気中で十分に加熱したら、何gの酸化銅ができますか。
【問1】では「十分に加熱」とあるので、2.0gの銅粉が完全に酸化銅になったと考えられます。したがって、重さの比は銅:酸素:酸化銅=2.0g:0.5g:2.5g=4:1:5とわかりました。
【問1】では酸化銅の重さを求めるので、銅:酸化銅=4:5=3.2g:□gより、□=3.2×\(\frac{5}{4}\)=4.0(g)が答えです。
質量保存の法則
「ある物質が他の状態に変化したり、他の物質と反応したりしても、その重さ(質量)は変化しない」というのが質量保存の法則です。
子どもは計算問題になると質量保存の法則を忘れがちです。たとえば、次の【問2】のような問題で子どもが「わからない」と言ったら、保護者は質量保存の法則を思い出させましょう。
【問2】水素2gと酸素16gを混ぜた気体に点火すると激しく反応して、気体はすべて水になりました。次に、水素と酸素の量を変えて同じ実験をしたところ、気体はすべて54gの水になりました。このとき、水素と酸素はそれぞれ何gですか。
【問2】では、「水素2gと酸素16gを~」という文から、水素と酸素は2g:16g=1:8で過不足なく反応して水になることがわかります。水素2gと酸素16gならば、できる水は2+16=18(g)です。
「次に~」から、水素と酸素の重さの比を1:8の割合で反応させて54gの水ができると考えて、実験に使った水素は54×\(\frac{1}{1+8}\)=6(g)、酸素は54×\(\frac{8}{1+8}\)=48(g)とわかります。合計が54gになるように水素と酸素に分けるのがコツです。
濃度の求め方
理科の濃度計算では、食塩水だけでなく、ホウ酸や水酸化ナトリウムなど、さまざまな物質が溶けた水溶液の濃度に関する問題がよく出ます。水溶液の濃度(こさ)とは、水溶液の中に溶けている物質の割合です。水に何が溶けていようとも、「溶けている物質の重さ÷水溶液の重さ×100=濃度」が成り立ちます。
【問3】水酸化ナトリウム2gを30gの水に溶かしました。この水酸化ナトリウム水溶液の濃度は何%ですか。
水酸化ナトリウム水溶液の濃度も食塩水と同じ考え方です。子どもが「水酸化ナトリウム水溶液の濃度なんて知らない」と言う場合、保護者は「食塩水と同じだよ」と伝えましょう。
【問3】は、2÷32×100=6.25≒6.3(%)が答えです。
化学の計算問題の応用
化学の計算問題で厄介なのは、算数と違って、少し条件が変わると実験結果も変わることです。その変化の理由を保護者は子どもに教えましょう。
法則が成り立たないのはなぜ?
化学の実験では、最初は法則通りなのに、途中から法則が成り立たなくなることがあります。保護者はその理由を子どもに考えさせるとよいでしょう。
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