夏期講習は申し込むべき? │ 中学受験塾のトリセツ#15
もうすぐ夏休み。
子どもには夏期講習でしっかり勉強してほしいけど、せっかくの夏休みを塾で長い時間過ごさせることに抵抗もある。
親としては悩んでしまいますよね。
親としても塾講師としても、私の意見は「夏期講習は申し込むべき」です。
夏期講習は「平常授業の続き」という塾と「復習メイン」という塾がありますが、どちらもできるだけ参加したほうがいいと思っています。
「そりゃ塾講師はそう言うよね」と思われてしまうかもしれませんが、そうなんです。
この記事では、親としても塾講師としても、私が夏期講習は申し込むべきと考える理由をお話しします。
Contents
夏期講習は平常授業の続きであることも
塾によっては夏期講習の授業が平常授業の続きということがあります。
たとえばSAPIXでは、5年生の夏期講習で算数の重要単元である「比」を初めて勉強します。
今まで勉強した内容の復習や応用ではなく新単元を学ぶとなれば、夏期講習を受講しないと学習の遅れに繋がってしまう可能性も。
こういった塾の夏期講習は、「希望者が受講する」ではなく「基本は全員参加で、事情により受講できない人は抜ける」と考えてください。
夏休みの大半を帰省先で過ごすなど、受講が難しい理由がある場合を除き、できるだけ受講したいものですね。
復習メインの夏期講習なら行かなくてもいい?
復習がメインの夏期講習の場合、1学期から通塾しているなら、夏期講習は行かずに自宅学習にするという選択肢もなくはないです
3年生までなら授業内容もさほど難しくないため、夏期講習へ行かなくても2学期からの授業は問題ないでしょう。
しかし、4年生以降は授業の進みが早いため、よほど成績の良い子でない限り復習の時間はあったほうが良いです。
夏期講習を利用して1学期の苦手を克服しておけば、2学期以降の授業でつまずくことを防げるかもしれません。
また、2学期からの通塾を考えている場合も、復習メインの夏期講習はぜひ利用してほしいです。通えなかった1学期分の授業をおさらいしてくれますからね。
1学期の授業内容を見て、勉強が足りなさそうと思えば夏休み中に備えることもできます。クラスメイトと同じスタート地点に立って2学期を始められるチャンスです。
さらに、夏期講習は多くの場合、平常授業よりも早く帰宅できます。
いつもの平常授業では、学校から帰ってすぐ塾へ行き、帰宅したら食事や宿題を済ませ、翌日はまた学校へ行く、というのが基本。
通い始めてしばらくは生活もあわただしくなり、子どもにとってはもちろん親にとっても負担が大きく感じられるでしょう。
いっぽう、夏期講習であれば半日授業のため、残りの半日で勉強したり遊んだりと、ある程度は余裕をもって、スケジュールを組み立てられます。
子どもにとっても親にとっても、夏期講習は学習だけでなく通塾リズムを作るための入塾準備の時間にできるのです。
夏休みのだらだら防止にも夏期講習は有効
夏期講習は行かず、そのぶん自宅学習に充てるというのも悪い案ではないと思います。
しかし、夏休み期間に夏期講習に相当する量を自宅学習するのはとても大変です。
子ども自身がしっかりと家庭学習できるタイプなら良いのですが、学校がない夏休みはどうしても、遅くまで寝てだらだら遊ぶだけの期間になりがち。
夏期講習と同じくらいの勉強時間を自力で確保するのは、実際にはなかなか難しいんですよね。
これは学校がなく宿題の提出期限が遠いことで、気が緩んでしまうから起きる問題。
時間がないからできないのではなく、時間があるからこそできないのです。
夏期講習に参加することで忙しくなり、学校の宿題ができなくなるのでは、と不安に思われるかもしれませんが、実際は逆であることも多いのです。
夏期講習は子どもに、適度なストレスと目的意識を作ってくれます。
通塾のために「朝、起きなければ」という意識ができ、毎日増える宿題に「家でも勉強に手をつけなければ」と考えるようになるのです。
また、実は3年生までは夏期講習といっても通塾日数は少なく、進学塾の多くは10日前後のカリキュラムで、短いところでは1週間以内で終わってしまいます。
4年生は塾によって日数が大きく変わり、5年生では20日程度。
高学年になると忙しくはありますが、それでも生活にメリハリがつくメリットは大きいです。
「夏期講習で忙しくなる前に宿題を終わらせなければ!」というのも、宿題を済ませるひとつのモチベーションになりますしね。
夏期講習を使って生活リズムを整え、有意義な夏休みにつなげましょう。
6年生の夏期講習はぜひ受講したい
大学受験でよく聞く言葉に「夏は受験の天王山」というものがありますが、中学受験でも同じです。
進学塾では志望校別のクラス編成になるなど 、6年生の夏期講習は受験を強く意識したものになります。
平常授業よりも授業時間が長く雰囲気も引き締まるため、子どもたちの意識も自然と受験モードに。
勉強というのは気持ちに左右されるものなので、「なんとなく」より「やらねば」と思ったほうがたくさんのことを吸収できます。
「なかなか受験モードにならない」という子は、家で一人頑張るよりも、塾で受験モードの先生と仲間に囲まれたほうがうまく勉強を進められるでしょう。
夏休みの予定と夏期講習、どちらを優先するべき?
夏休みは帰省や旅行などの予定がある人もいると思います。
留学やサマーキャンプなど、貴重な体験ができる期間でもありますからね。
塾の夏期講習へ行かせたいと思いつつ、普段はできない体験もさせたい。
同じ親として私もよくわかります。
私が勤めていた塾では、「学校行事や家庭のイベントは優先する」という方針でした。
私はひとりの母親としても、塾講師としても、この方針は正し いと思っています。
もちろん6年生になったら受験を考えて勉強を優先してほしいと思いますが、数日程度の予定ならそれは優先させるべきです。
学校行事としての運動会や林間学校、修学旅行が夏休みに開催される学校もありますが、当然、行事に参加すべきものと考えています。
塾の授業は大切で夏期講習もぜひ受講してほしいですが、子どもにとって大切な何かを犠牲にしてまですべきことではありません。
子どもにはさまざまな経験をしてほしいですし、その経験は勉強にだって役立つはず。
たとえば帰省中に家庭学習を少し進めたり、行く前や帰ってきてから埋め合わせたりと、臨機応変に対応しながら良い夏休みを過ごしてほしいと思います。
夏期講習は有意義な夏の過ごし方のひとつ
進学塾の夏期講習は「平常授業の続き」と「復習メイン」の場合があります。
どちらの場合も受講できそうならぜひ検討してみてほしいです。
とくに自ら勉強する習慣がついていない子は、塾へ行くことで有意義な夏が過ごせる可能性があります。
ただし1~5年生は、勉強一辺倒の夏にする必要はありません。
親としても塾講師としても、子どもにはたくさんの経験をしてほしいと思っています。
有意義な夏の過ごし方のひとつとして考えてみてくださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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