成績アップにつながる夏のお出かけ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
夏休みが始まりましたね。
子どもはワクワクする一方で、親御さんたちは憂鬱になっている方も多いのではないでしょうか。
子どもが長時間家にいるので、学校の宿題や塾の宿題のことで揉めがちですよね。
そして、レジャーに連れて行ってもらうことを子どもとしては期待しますが、親としてはその負担も気が重いもの。
まして、この連載をご覧になっている意識の高い方たちは、「子どもの勉強になるお出かけにしなければ……!」というプレッシャーを感じていたりもすると思います。
しかし、勉強重視で子どもを博物館や科学館に連れて行っても、あまり楽しんでくれない子が多いんですよね。
結局何も覚えておらず、子どもの不満と自分の疲れだけがたまる。
そんな残念な結末に終わるご家庭も多いです。
せっかく頑張ってお子さんを連れてお出かけするのですから、つまらないうえに勉強にもならないなんて結果は避けたいものですよね。
そこで、今回の記事では、夏のお出かけをしっかり楽しくかつ有意義なものにするための3ステップをお伝えしようと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
夏のお出かけを楽しく有意義なものにする3ステップ
ステップ1:まずは楽しさ優先で行き先を決める
大事なことはまずここです。
楽しくなければお出かけの意味がありません!
そして、学校や塾の授業でも同じですが、つまらないことは子どもは覚えないので、勉強になるものであったとしても意味がありません。
まずは何をおいても「楽しい」と思えるものにすることが大切です。
「楽しい」気持ちは伝染しますから、あなた自身が楽しめる行き先を選ぶと良いでしょう。
そうすればお子さんにそれが伝わります。
ステップ2:勉強に結び付ける
体験したことについて、後から学校や塾で習って「そうだったのか」と納得したり、知識として覚えたりしても良いのですが、どうせだったらその場で理解して覚えてしまった方が良いですよね。
ですから、ちょっと一手間をかけて、体験することを勉強を結び付けて教えてあげましょう。
私自身の体験を少しお話しすると、私は保育園~小学校低学年にかけて、保育園の仲間たちと毎年奥多摩の方へ1泊でキャンプに行っていたのですが、中学受験にも出てくる学びの宝庫でした。
例えば、川遊びでは、曲がっている川の内側は河原になっていて外側は崖になっていることも自分の目で見て学びました。
崖から川に飛び込む遊びがとても楽しかったです。
また、川の外側は流れが速く、内側は流れが遅いこともそのときに知りました。
ニジマスのつかみ取りも体験しました。
捕まえた魚は、その場で内臓を取って焼いて食べました。
魚のえらやうき袋といった内臓の作りや、ひれの場所や数も、何度も見て自然と覚えました。
ご飯はカレーが定番でした。
火をおこしてカレーを煮ました。
火を強くするためにはうちわであおいだり、竹筒で息をふきかけたりすると良いこともこのときに知りました。
家には仏壇があったのですが、そちらのろうそくは息をふきかけると消えるのに、薪を燃やすときには息をふきかけると炎が強くなることは不思議でした。
その理由を周囲のおじさんたちが教えてくれました。
これらは全て中学受験の理科の勉強で習うことで、入試にも出題されます。
生きた知識として自然と知っていたので、塾で習ったときにもすぐに理解して覚えられました。
そして、もし今自分が子どもをキャンプに連れて行くなら、あわせてこんなことも教えます。
まずは星座。キャンプ場はだいたい星がきれいです。
私は小学生の頃星座が苦手で、覚えるのにとても苦労しました。
キャンプに行ったときに、星空観察をして星座と星の名前を覚えることができていたら良かったのにと思います。
また、あわせて月も観察できたら良いですね。
食材についても学びがたくさんあります。
植物の体の作りは重要単元ですが、食材でかなり学べますよね。
例えば、タマネギや長ネギは、観察すれば根が「ひげ根」であることがわかります。
それに対して、ニンジン・ゴボウ・ダイコンといった根菜は、「主根」を食べます。
観察すると、細くて小さな「側根」がついていることにも気づくかも。
キャンプでカレーを作るなら、具材にするタマネギとニンジンをぜひ観察しておきましょう。
茎の作りも、双子葉類には「形成層」というわっかがある事を習いますが、実は形成層は根にもあります。
ニンジンやゴボウを切ると、断面にわっかが見えますよね。
料理をしながら「『形成層』って言うんだよー」と一声かけてあげたいですね。
葉っぱの作りも大切です。
双子葉類はもう状脈、単子葉類は平行脈と覚えなければいけませんが、これも何度も見るうちに自然と覚えてしまっておきたいですね。
ほうれん草などの食べる緑の葉っぱはもう状脈が多いです。
それに対して、平行脈といえばトウモロコシやイネ(お米)などがイメージしやすいですね。
夏といえばトウモロコシが美味しい季節。
食べるときにあわせて葉っぱの観察もしてみてはいかがでしょうか。
と、自分の思い出にあわせてキャンプで学べる中学受験知識を様々挙げましたが、他のお出かけ先でもちょっと調べればいくらでも理科・社会の知識とつなげられます。
旅行でどこかに行くのであれば、野菜・くだもの・魚介などの地理で習う特産品を現地で見て食べておきましょう。
また、輪島塗・南部鉄器などなどの伝統工芸品も、各都道府県ごとになにかしら必ずあります。
ぜひ見ておいてください。
実際に自分で作ってみる体験ができるところも多いのでおすすめです。
私は沖縄に旅行に行ったときに、妻と琉球ガラスの工場でペアグラスを作りました。
とても良い思い出になっています。
また、小学生の頃に、京都に引っ越した友達を訪ねて泊まりに行ったときには、金閣・銀閣を見に連れて行ってもらえました。
旅行のついでに各地にある史跡を見てみるのも良いのではないかと思います。
旅行に行くときにはみなさん下調べをするものですよね。
その下調べを親がすべてやってしまうのはもったいない。
地理的・歴史的視点を交えて親子で一緒に下調べをすると、楽しくて学びになるのでおすすめです。
ということで、夏休みにどこかに出かけるのであれば、ぜひ事前に受験勉強とのつながりをリサーチして、結び付けてあげてください。
ステップ3:忘れられてもがっかりせず繰り返す
人間は忘れる生き物です。
多くの親御さんが、「いろいろ連れまわしたのに全然覚えてない」としょんぼりしがちですが、それは普通のことなので気にしないことです!
何度も何度も塗り重ねる輪島塗のように、知識を何層にも塗り重ねていくイメージでくり返していきましょう。
何度もやるうちに徐々に知識が増えていきます。
また、旅行で1回しか行かない場所は、ときどき写真を見返して、親子で思い出を話したりするのも良いのではないでしょうか。
ただし、覚えさせよう!という気合は逆効果になりがち。
そうやって親が変に力むと、子どもにとってお出かけがつまらないものになってしまうかもしれません。
あくまで楽しさ優先で、「思い出話」も楽しい会話の材料とすることを心がけてくださいね。
まとめ
夏のお出かけで子どもの成績を上げるコツは
- 楽しさ優先で行き先を決める
- 勉強に結び付ける
- 忘れられてもがっかりせず繰り返す
の3つです。
また、こうしたお出かけも「やらなきゃいけない」とプレッシャーを感じすぎないようにお気をつけを。
ただ、忙しい現代の親御さんたちですから、どうせお出かけするなら子どもを楽しませつつ成績を上げて、一石二鳥な感じでいけたら、時間の有効活用になって良いですよね。
そのためにほんの少し、プラスアルファの手間をかけてみてくださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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