連載 中学受験は親と子の協同作業

中学受験を始めると子供の生活リズムはどうなるの?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.2

専門家・プロ
2018年7月05日 石渡真由美

中学受験をするなら、塾通いは不可欠。多くの場合、小学3年生の2月から、中学受験専門の勉強を教える大手進学塾に通うことになります。

では、塾通いが始まると、子供の生活リズムはどのように変わるのでしょうか? 首都圏の四大受験塾を参考に見ていきましょう。

変化する生活リズム。受験勉強は学年が上がるごとにハードになる

下の表は、首都圏の四大受験塾、SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミーの4年生から6年生までの時間割です。こうしてみると、各塾の授業時間数はあまり差がないように見えます。おおむね、授業は夕方5時前後から始まり、4~5年生であれば夜8時前後、6年生になると夜9時頃まであります。学年が上がるごとに授業時間が増えていくのは、どこも共通しています。

だたし塾によって、お弁当が必要なところと必要のないところがあります。お弁当がない塾は、塾へ行く前に家で軽食を食べておくことをおすすめします。なぜなら、子供は空腹だと勉強に集中できないからです。

では、学年ごとに詳しく説明していきましょう。

比較的スケジュールに余裕のある4年生こそ、さまざまな体験をさせて

受験勉強のスタート学年である4年生の時間割は、平日の通塾は週2日だけと比較的余裕があります。電車に乗って通塾したり、学校の宿題以外に塾の宿題があったりと、塾の勉強に慣れるまでは、生活リズムが整わない家庭もあるかと思いますが、夏前には落ち着くことでしょう。

夏休みには夏期講習がありますが、4年生のうちはまだそれほど拘束されません。塾のない時は家族で旅行に出かけることもできます。いえ、むしろ4年生のうちは、自然遊びや博物館巡りなどさまざまな体験をさせてあげてください。それがのちの学習理解へとつながっていきます。

5年生になると、学習時間は4年生の1.5倍になる

5年生になると通塾は3日になり、忙しくなってきます。塾がある日は帰りが遅いし、塾がない日は宿題をやらなければならず、毎日の学習が欠かせなくなります。時間的なハードさに加えて、授業の内容もグッと難しくなります。4年生では、いわゆる基礎作りを重視する授業が行われますが、5年生になると4年生からの基礎の積み重ねに加え、応用学習に入り、判断力や思考力が求められるようになります。

また、大手塾では、5年生の間に受験に必要な全分野の範囲を終わらせるため、通塾が増えるだけでなく、宿題の量やテストの回数も増えていきます。そのため、4年生の約1.5倍の学習量をこなさなければならなくなります。それは小学生の子供には大きな負担となります。勉強についていけなくなったり、体力的についていけなくなったりする子が続出します。そうならないためには、4年生の冬から少しずつ勉強量を増やしたり、習い事を整理したりするなど子供の生活リズムを整えていく必要があります。

6年生の直前期は受験勉強を最優先して

6年生になると、通塾は4~5日になります。そして、5年生までに習った内容やその発展問題をひたすら演習します。9月からは志望校の入試対策を行う志望校特訓が始まり、土日も塾に通うことになります。塾がない日は宿題もありますし、模試対策や志望校の過去問にも取り組まなければならず、毎日受験勉強をしなければなりません。

中学受験をする子が多い地域では、年明けから小学校を休み、塾で受験勉強をする子も出てきます。直前期に学校を休んで受験勉強をすることに対しては賛否両論ですが、小学生の子供の場合、最後の最後で伸びる子もいます。ただし、子供が学校へ行くことで生活リズムがうまくいくようであれば、できるだけ学校へ行かせてあげてください。

子供の頭が働く生活リズムに! 理想の1週間の過ごし方を知ろう

さて、ここまで4年生~6年生の受験生の生活についてお伝えしてきました。4年生のうちは通塾も週2日なので、「これならうちもできそう!」と思った親御さんも多いでしょう。でも、中学受験は学年が上がるごとにどんどんハードになっていくことを知っておいて欲しいと思います。

受験勉強をするにあたっての理想的な1週間とは、1週間を終えた時に、その前の週よりも知識が増え、理解が深まっている状態になっていることです。そのためには、まずはしっかり睡眠を取ること。頭がちゃんと働く生活リズムにしておかなければ、いくらたくさん勉強をしても空回りしてしまうだけ。

また、頭がちゃんと働いている上に、気持ちが乗っていないと効果が出ません。気持ちが乗っているというのは、楽しくてやる気がある状態のことです。

小学生に必要なのは「十分な睡眠」と「楽しい気持ち」

受験勉強で生活リズムが変わっても、小学生の子供にとって大事なのは「十分な睡眠」と「楽しい気持ち」。親はそれを忘れずに、「勉強をやらせすぎない」「ムリやりやらせない」ことです。頭が冴えた状態で楽しく勉強ができれば、毎日の学習が良い結果へとつながっていくことでしょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。