受験直前期の保護者の心構え ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
この記事が公開されるのは12月20日を予定しています。
東京・神奈川の入試本番を迎える2月1日まで残り43日。
他のエリアの学校を志望している子は、もっと早く本番を迎えます。
正に中学受験の直前期。
そこで、今回の記事では、この時期の6年生の親御さんに、大事な大事な直前期を乗り越えるための心構えについてお伝えしようと思います。
1.受験直前、短期的結果と長期的成長の間で迷うとき
中学受験を通じて、成長してほしい。自ら学習し、伸びる子になってほしい。
私は、常日頃からそう願って生徒の指導にあたっています。
長期的な成長のために、本人に考えてもらう場面・任せる場面を増やし、自分で試行錯誤しながらより良く学べる人になるための経験を、子どもにさせることを心がけています。
これは一朝一夕で効果が現れるものではありません。
しかし、中学受験を通じて自主性・計画性・自己コントロール力などを身に付け、中学校進学後に「伸学会で学んでいて良かった」と思ってもらえることを目指しています。
一方で、受験はもう目前にあります。
短期的な、「行きたい学校に合格したい」という目標もとても重要です。
「受験そのものの目的が、憧れの学校に進学することにある」というのも事実ですし、合格を勝ち取ってこそ、自信を持ってその先の進路を歩めるということもあるでしょう。
合格のためには、子ども本人の試行錯誤による成長を待つのではなく、大人が最適な行動を考えて、子どもにはそれを実行してもらうほうが良いのではないか……?
この「長い目で見た成長」と「目の前の合格のための行動」のどちらをとるべきだろうか、という葛藤は、毎年生じるものです。
保護者の皆さんが葛藤するように、我々指導者も毎年葛藤しています。
実際のところ、どちらか一方を選択し、100%そちらに振り切るというような話ではなく、割合の問題だろうとは思います。
そして、最後まで一貫して変わらないご家庭もあるかもしれませんが、70%対30%だったものが、50%対50%、30%対70%というように、時期によって優先度が変化していくご家庭が多いのではないでしょうか。
私自身がそうです。
もしあなたも私と同じように、この葛藤の中で、直前期ゆえに「目の前の合格のため」という短期的な目標に比重を移していくのであれば。
管理を強めて「こうしたほうがいいんじゃない?」という介入を増やしていくのであれば。
こうした方が良いというアドバイスがあります。
2.小言を言う役割は誰が担うべきか?
私たち受験指導者は、受験が近づくにつれ、「長期的成長重視」から「目の前の合格」へと意識を少しずつ傾けていきます。
通常の指導においては、過去の生徒を念頭に置き、「それをやった生徒が合格した/ 不合格だった」という点も含めて生徒に考えるための情報を与えることが中心となるような関わり方をしています。
そうした情報から考えて、自分の行動計画を生徒に自分で決めさせるようにしています。
それが直前期になると、あえて最初から結論に近いものを提示したり、やるべきことを具体的に指示したり、学習スタイルをより厳しく管理していく場面が増えていきます。
あくまで長期的成長は諦めず、ある程度生徒に裁量を持たせて、自分で考えて学習してもらうことを大事にしますが、こちらからの介入や働きかけを強めていきます。
わかりやすく言うと、口うるさくなっていきます。
細かなフィードバック(小言)が増えます。
もし、この「小言を言う役割」が我々でなく保護者の方だったらどうでしょう?
子どもたちは、家で細かな指摘と指示出しをされて神経をすり減らし、塾に来て憩いと癒やしを求めます。
結果、塾では人とのつながり・会話を求め、集中できなくなったりします。
塾と家が逆転してゆくのです。
もちろん、塾も家も厳しく管理していく、という選択肢もあります。
しかし、それこそ子どもたちは行き場の無いストレスを溜め込み、受験本番までに破裂しないことを祈るばかりとなるでしょう。
いつ爆発するかわからない時限爆弾を抱え込むギャンブルをこの時期にしたいとは、保護者の皆様も思わないのではないでしょうか。
この時期はどこの塾でも、最後の追い込み!とばかりに「管理」を強めると思います。
我々指導者が厳しく口うるさくなるからこそ、「管理」をする憎まれ役は指導者に任せ、保護者の方は一歩引いておくのがバランスとして良いと思います。
気になることがあれば、子どもに直接言わず、まずは塾に相談して、指導者から言わせるようにしてください。
3.直前期こそ、保護者の方には大きく構えてほしい
では、保護者の方の直前期の姿とはどうあればよいのでしょうか。
それは一言で言えば「大きく構えること」です。
模試の結果に一喜一憂してはいけないと、これまで様々なところで言われ続けてきたことでしょう。
引き続き、過去問の結果にも、1月受験の結果にも、入試本番の結果にも一喜一憂せず、ありのままのお子さんを受け止めるように心がけましょう。
正直これが一番難しいことだとは、私も思います。
しかし、お子さんの成長のため、中学受験を良い経験にして将来の成功につなげるためには、これが一番重要なことです。
直前期こそ、保護者の方は子どもの長期的成長を強く意識すべきなのです。
子どもが困難なチャレンジをするのですから、我々大人も一緒に困難なチャレンジをし、成功したいものですね。
4.開き直るために知っておくと良い受験の真実
一喜一憂しないという大人にとっての困難なチャレンジを成功させるために、最後に1つ良いことをあなたにお伝えします。
最近の教育経済学の研究結果は第1志望に進学した子よりも、第2志望に進学した子の方が、将来成功する確率が高いことを示しています。
これは決して、第1志望に受からない方が良いから手を抜け、という意味ではありません。
中学受験の真の価値は、どこに進学するかにはないということを確認しているだけです。
中学受験の真の価値は、合格を目指して頑張ってきたこれまでの道のりの中にこそあります。
伸学会を例にすると、中学受験本科コースの生徒は、4年生で週に5時間、5・6年生は週に10時間の授業があります。
季節講習や特別講座も入れれば、塾の授業だけで1500時間ほどの時間になります。
それと同等以上に家庭学習の時間もありますから、全て合わせれば少なくとも3000時間以上の勉強時間になるでしょう。
多い子だと5000時間以上になります。
塾によって多少の差はあるでしょうが、中学受験をする子どもたちはみんな、多かれ少なかれ小学生として「異常」なほど勉強をしています。
あらためて考えてみてください。
これだけの努力をした場合としなかった場合とで、あなたのお子さんの成長にはどれだけの差ができているでしょうか?
あなたとお子さんはすでに大きな価値を手に入れています。
第1志望に不合格になったところで、学んで身に付けた知識も思考力も消えません。
それらは必ずあなたのお子さんの将来に役立ちます。
中学受験は最後まで完走できたらそれだけで大成功です。
そのことを念頭に置き、子どもの習い事の試合の勝利を応援するような気持ちで、受験の合格を応援していただくと良いと思います。
万全の態勢でお子さんが本番に臨めるように、ご家庭は安心感を与えられるようにしていってくださいね。
それでは。
※記事の内容は執筆時点のものです
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