中学入学後につまずきやすいポイント・科目別の傾向と対策(英語・数学以外の科目編)|合格から入学までにすべきこと#4
厳しい中学受験戦線をくぐり抜け、4月からは憧れの中高一貫校生!でも、子どもはスムーズに新生活へ移行できるかな? 親ができるサポートってどんなこと? そんな風にちょっと不安を感じる6年生保護者さんへ向けて、合格後の塾生を中学準備講座という形でサポートされている「アテナ進学塾」代表の宮本毅先生がアドバイスします。
さて当連載も4回目となりました。
4回目のテーマはずばり「英語・数学以外の科目編」です。
メイン5教科のうちの「社会」「理科」「国語」を、順番に見ていくことにしましょう。
社会は「世界」が入ってくる
「社会」「理科」「国語」の中で、小学校とは最も様相が違っているのが「社会」です。
中学受験では主に「日本のこと」が中心で、時事問題がらみや貿易の学習くらいでしか「世界地理」は学びませんが、中学の社会のテキストには世界地図がバンバン出てきます。
むしろ日本国内のことの方が少ないくらいの印象です。
平成29年に中学校の学習指導要領が改訂されましたが、文部科学省が発表した「解説」によると、地理的分野における改訂の要点は、次の5点だそうです。
ア 世界と日本の地域構成に関わる内容構成の見直し
イ 地域調査に関わる内容構成の見直し
ウ 世界の諸地域学習における地球的課題の視点の導入
エ 日本の諸地域学習における考察の仕方の柔軟化
オ 日本の様々な地域の学習における防災学習の重視
ア~ウの3点は明らかに世界の中の日本を意識しています。
「日本」という国の輪郭については小学校で充分学んだろうから、その焼き直しの学習をするのではなく、中学生になったらより「世界との関係性」を意識させたい、という国の思惑が見て取れます。
世界地理が前面に押し出された教科書構成は、このあらわれなのでしょう。
それゆえ「2科目受験」など、社会なしの入試で合格した生徒は、より一層注意が必要です。
日本地理は「既習である」ことが前提で進んでいきますので、3月中に小学校教科書レベルの地理はしっかり復習しておきましょう。
特に行政区分や都道府県名・県庁所在地名は必ず頭に入れておきましょう。
また、中学社会で一番最初につまずく「壁」が「時差の問題」です。
中学受験で一度習っているはずの単元ですが、残念ながら理解できていなかった人も多いのではないでしょうか。
「時差の問題」の解き方についてはYouTubeでもたくさん動画が上がっていますので、是非とも予習(復習)をしておいてくださいね!
理科はそれほど大きな内容変更はない
続いて理科についてです。
新しく配られた理科の教科書をペラペラとめくってみるとすぐに気づくと思うのですが、社会に比べて「あ、これやった!」感が強いと思います。
中1の理科は内容がほぼほぼ中学受験で習ったことばかりなので、まごつく場面は少ないでしょう。
大きく異なる点といえば、「力学」の単元で「N(ニュートン)」という新たな単位が出て来ることくらいです。
中学受験生は「ニュートン」を使わずに物理単元の問題を解いていましたので、最初はこの単位を煩わしく思うことでしょう。
ですので「ニュートン」という単位について、YouTube動画などで予習しておくことをおススメします。
理科は中学の学習内容が中学受験で学んだことと大きく異なることはありませんし、社会でも中学受験で学んだことと重なる部分は多くあります。
中学受験時に使用していた暗記本や豆本は古本屋に売ったり捨ててしまったりせず、取っておくようにしましょう!
大学受験まで使えるものもあると思いますよ!
使い慣れたものにどんどん書き足して、自分だけのオリジナル暗記本を作ってしまうのも良いアイデアだと思います。
国語はとにかく本を読もう!
この記事が公開される3月というのは、小学校の方も卒業式を残すのみとなり、新しい中学生活についても制服の採寸や入学説明会も終わってひと段落ついているころでしょ。
すでに学校から宿題を出されているにしても、エアポケットのように「やることがあまりない期間」というケースも多いと思います。
今こそ、是非ともたくさん本を読んでください。
「受験も終わったし我慢していたマンガを読むぞ!」という生徒もいるとは思いますが、メジャーリーガーの大谷翔平さんも将棋棋士の藤井聡太さんも、マイクロソフトのビル・ゲイツもFacebookのマーク・ザッカーバーグもテスラのイーロン・マスクもみな読書家で有名です。
マンガがダメということはありません。
しかし、世界で活躍する多くの著名人が読書を推奨しているわけですから、やはり読書には何かしらのパワーがあるのでしょう。
「新しいアイデアを創出するのも、バックグラウンドに膨大な知識量があればこそ、です。
読書は「人生を豊かにする」ものであり、読書をする時間が無駄ということは絶対にありません。
読書量が増えると中学校生活でもいいことが起こります。
国語の勉強を特段しなくても、国語の成績が勝手に上がっていきます。
国語の学力とは、小学校でも中学校でも高校でも大学でもどこでも同じで、「どれだけ言葉を知っているか(語彙力)」と「どれだけ文章を読んできたか(読解力)」に裏打ちされますので、読書をしていれば勝手にできるようになってしまうわけです。
では、どんな本を読んだらよいのか。
先に挙げた有名人たちがおススメする本を読んでみてもいいですし、好きな作家の小説を読み漁ってもいいでしょう。
ジャンルは何だって構いません。
ビジネス書でも自己啓発本でも社会学の本でもいいんです。
好きなアニメがあるなら、その小説版を読んでみてもいいのではないでしょうか。
私が中学入学を控えた子どもたちにおススメする本を挙げておきますね。
- メンタリストDaiGoさん著の『自分を操る超集中力』(かんき出版)
- 新井紀子さん著の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
- 加谷珪一さん著の『日本はもはや「後進国」』
少し難しい本もありますが、今の子ども達がこれからの日本や世界を生き抜いていく上でとても重要な内容が書かれていますので、今は読めなくてもいつか読めるようになろうと、机にならべておくとよいでしょう。
まとめ
中学受験が終わり、2月は少しのんびりしたと思いますので、次なるステージ中学校生活へ向けて、スタートダッシュを切ってください。
皆さんの新生活はすでに始まっています。
乗り遅れぬよう頑張っていきましょうね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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