学習 算数

速さ・時間・距離の関係を理解しよう! 3公式や「きはじ」に頼らないで問題を解く

2024年6月05日 みみずく

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速さの問題を「速さの3公式」や「きはじ(みはじ・はじき)」の図を使って解いている中学受験生がいるかもしれません。しかし、公式や図に頼っていると、少しひねった問題に全く対応できなくなる可能性があります。そうならないように、速さ・時間・距離の関係を正しく理解しましょう。

速さ・時間・距離の関係はどうなっている?

速さとは、単位時間当たりの距離です。単位時間は、1秒、1分、1時間など、1の時間を意味します。したがって、時速60kmならば「1時間に60km進む」を、秒速5cmならば「1秒間に5cm進む」をそれぞれ意味します。

速さを求める場合、1にあたる大きさを出すので、距離を時間で割ればよいことがわかるでしょう。「10個のあめ玉を5人で分けるとき、1人何個もらえますか。」という問題なら、10÷5=2と計算するはずです。速さもこれと同じです。

逆に、速さに時間をかければ距離になることも理解できるでしょう。「1人に2個ずつあめ玉を配るとき、5人に配るには何個のあめ玉が必要ですか。」という問題で、2×5=10と計算するのと同じです。

さらに、距離を速さで割れば時間を求められるのも、「1人に2個ずつあめ玉を配るとき、10個のあめ玉を何人に配れますか。」という問題を10÷2=5と計算するのと同じです。

速さ・時間・距離の関係で混乱しがちな問題3選

速さ・時間・距離の関係を考える問題の中には、多くの中学受験生が混乱しがちなものがあります。これらの解き方を解説します。

単位がそろっていない問題

【問題1】36秒で540m走る車の速さは時速何kmですか。

中学受験生がつまずきやすいのは、単位がそろっていない問題です。【問題1】も、与えられた時間の単位が「秒」、距離の単位が「m」なのに、速さを「時速●km」の単位で答えなければなりません。

540÷36=15を計算して秒速15mを求めてから、これを時速●kmに変換する解き方が考えられます。しかし、秒速を時速に変換するときに混乱しがちなので、あまりおすすめしません。(速さの単位換算はこの後で解説します)

簡単なのは、与えられた時間と速さを先に単位変換する解き方です。36秒の単位を「時間」にする場合、1時間が3600秒であることから、36÷3600=\(\frac{1}{100}\)より\(\frac{1}{100}\)時間です。また、540mの単位を「km」にする場合、1kmが1000mであることから、540÷1000=0.54より0.54kmです。したがって、「距離÷時間=速さ」から0.54÷\(\frac{1}{100}\)=0.54×100=54となり、答えは時速54kmです。

速さの単位換算

【問題2】時速48kmは分速何mですか。

「時速を分速にするときは60で割る」などと暗記している受験生もいるでしょう。しかし、速さの単位換算の問題は、速さの意味から考えるようにした方が間違いを防げます。

【問題2】では、まず「時速48km」を「1時間で48km進む」と言い換えます。次に、1時間は60分に、1kmが1000mであることから48kmを48000mにそれぞれ変換して「60分で48000m進む」とします。最後に、「分速●m」は「1分間で●m進む」という意味なので、60分で48000m進む場合、1分間で進む距離は48000÷60=800(m)とわかります。したがって、答えは分速800mです。

速さと比

【問題3】100mを太郎くんは20秒で、次郎くんは25秒で走ります。太郎くんがゴールしたとき、次郎くんはゴールの手前何mのところにいますか。

【問題3】は「速さと比」の単元に出てくる典型問題です。問題文に比があるわけではありませんが、比を使って解くのが一般的です。

速さと比の問題は、次の3つを使いこなしながら解きます。

  1. 距離が一定のとき、速さと時間は逆比になる。
  2. 速さが一定のとき、時間の比と距離の比が等しい。
  3. 時間が一定のとき、速さの比と距離の比が等しい。

これらは、丸暗記するよりも、イメージを掴んで理解した方がよいでしょう。たとえば、「同じ距離を2人で進むなら、速く進む人が遅く進む人より短い時間で到着する」というのが1の意味です。ただ、このイメージがなかなかわかないのなら、1の場合だけ「逆比」だと覚えておけば、2と3をわざわざ覚える必要はありません。

さて、【問題3】は、1文目と2文目を分けて考えます。1文目は、太郎くんと次郎くんが同じ距離を走っているので、距離が一定であるとわかります。したがって、2人の速さの比は時間の比の逆比で、太郎くんの速さ:次郎くんの速さ=25:20=5:4です。

一方、2文目は、太郎くんと次郎くんが同じ時間で走っているので、時間が一定であるとわかります。したがって、2人の距離の比は速さの比に等しく、太郎くんの距離:次郎くんの距離=5:4です。

太郎くんがゴールしたとき、太郎くんは100m走ったことになります。このとき、次郎くんが走った距離を□mとすると、100:□=5:4で□=80です。したがって、100-80=20より20mが答えです。

速さ・時間・距離の関係を普段から意識させる

速さの問題に苦手意識のある中学受験生の多くは、速さの3公式や「きはじ」に当てはめるだけで、「速さとは何か?」を理解していません。このような受験生には、速さ・時間・距離の関係を普段から意識させることが大切です。たとえば、家族でドライブするとき、保護者は子どもに「今は時速40kmで走っているけれど、この速さで30分走り続けたら、何km走れるかな?」と聞いてみるとよいでしょう。親子の会話が苦手克服の第一歩です。

※記事の内容は執筆時点のものです

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