中学受験ノウハウ 連載 桜井信一の中学受験相談室

小6息子が今になって「中学受験したい」と言い出した! 止めるべき……?|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

専門家・プロ
2024年6月27日 桜井信一

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『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は、小6の息子さんが突然「中学受験したい」と言い出したというお母様からのご相談です。現実は厳しそうだけど、本人が「やる」と言っているものを親が「やめろ」というのも……と悩む相談者さんへ、桜井さんの率直なアドバイスです。

今回の相談

小6の息子は低学年の頃から習い事を中心とした生活で、学校の成績はいたって普通です。

これまで近所のゆるい学習塾に通う程度で、親としては地元中学に行くものとタカを括っていたのですが、6年生になって突然「オレ、中学受験したい」と!……冗談と言って(涙)

ひとまず、通っている塾の先生に相談してみたものの、苦笑いされるばかりで、いたたまれなくなり退散してきました。

息子には志望校があるわけではなく、「中学受験というものにチャレンジしてみたい気持ち」が今回の行動の背景のようです。

結局、ネットを読み漁り、私立中ではなく公立中高一貫校を目指すこと。そして今の時期から初心者を受け入れてくれる中学受験塾はなさそうなので、塾ナシでチャレンジすることを決めました。

とはいえ学習スケジュールをやりきれない日も多く、なかなかスムーズに勉強が進みません。

両親共に中学受験の経験がなく、教えているとイライラしてしまう時もあって、「良い伴走者」とは言えない状況です。

合格はほぼ無理だろうというこの状況下、親子ゲンカをしてまで受験勉強する意味は本当にあるのかな?と思ってしまう自分もいます。習い事もまだやめられておらず、なんだか中途半端。

でも息子がやりたいと言ったことだし、親が「やめろ」というのは違う気がするし……桜井さんはどう思われますか?

相談者:イマイチな伴走者
お子さまの学年:小6


桜井さんの回答

伴走者さん、こんにちは。

私は基本的に『ぬるい中学受験』に反対なのです。小学生が挑戦するこの貴重な機会をそんな甘いことで終わらせるともったいないと思うからです。

しかし、それは当初の目標と大きく乖離し、結局ぬるくなってしまった場合の話。例えば小4で入塾したときは難関中学に入ろうと親子でこぶしを天に突き上げたのに、伸びない日が続いたことでそのこぶしをおろす。これは自己肯定感を得ることなく中学受験を終えると思うのです。

今回の場合はどうやら様子が違うようですね。今から中学受験をしようと情報収集、さらに合否が読めない公立一貫校ということですから初めからチャレンジ要素が大きいようです。これは私の考える『ぬるい中学受験』ではありません。

お子さんはお友達の影響でも受けたのでしょうか。学校でそんな話があったのか、塾でそんな話があったのか。そこで一気に火が付いたのかもしれません。

ここでまず親がやるべきことは、地元の高校受験の情報収集です。

ご存じのように公立高校は内申書が合否に大きく影響しますし、部活も頑張らなければいけない。定期テストは毎月のようにある。副教科の勉強も放置できません。実は中学受験より器用な子が有利なのです。そこをよく考えた上で、お子さんを通わせたいと考える高校に合格できそうでしょうか。ここが重要なのです。

私なら中学受験は止めずに、こっそり中学か高校かのどちらかに的を絞ります。

もし、高校受験が現実的だとすると、今の勉強が高校受験に活きてこなければいけませんよね。中学受験の勉強がガチャガチャになって毎日ただやるだけになる。整理し順序立てて勉強するという習慣をつけることなく中学受験を終えてしまうと、その続きにある中学での定期テストは悲惨な結果になる可能性が高い。公立高校にいる文武両道くんは相当やりますよ。効率的に塾と部活と学校行事をこなしてきます。英単語をためることなく毎週きっちり仕上げてくるでしょう。手ごわいですよ。それは私なんかより伴走者さんの方がよくご存じだと思います。

日々の勉強の目的がどこにあるのかを見失わないようにして、その目的に合う勉強をしてほしいと思います。中学受験はガチャガチャでも仕方ないんですよ。高校受験に備えるなら逆効果になりませんかというお話しでした。

※記事の内容は執筆時点のものです

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