子どもの決断力の育て方―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
最近少しずつ、勉強や習い事で親が無理やりやらせると子どもの学力はかえって低くなるという事が認知されてきましたね。
子どもの意見・考えを聞き、自己決定を尊重し、やりたいことを後押ししようとする親御さんが増えて来てとても良いことだと思っています。
その結果最近よく聞くようになってきたお悩みが、「子どもがどっちでも良いと言うんですが、どうしたら良いでしょうか?」というご相談です(笑)
やりたいならやりたい、やりたくないならやりたくない、はっきりしてくれればいいのに、どっちでも良いって一番困りますよね!
私も晩ごはんを作るときに、妻に「○○か××どっちが良い?」と聞いて、「どっちでも良い」と言われるのが一番嫌です!
ということで、今回は、子どもの「どっちでも良い」への対処法についてお話をしようと思います。
1.「どっちでも良い」の本音を探る
子どもが「どっちでも良い」と言うとき、まずはその背後にある本音を理解することが大切です。
もしかすると、失敗を恐れているからやりたいと言えないのかもしれません。
これまでに失敗をして友達の前で恥ずかしい思いをしたことがあったり、お父さん・お母さんに叱られたりガッカリした反応をされたりして嫌な思いをしたことがあったりして、自信が持てなくなってしまっていたりしないでしょうか。
また、決めるのが怖いから、決断を避けているのかもしれません。
人間は自分で決めたことでも、なかなかやりとおすのは難しいもの。
私もジョギングをしようと決意をして三日坊主になった経験はたくさんあります。
ジムに入会したのにあまり通わずに会費を無駄にしたこともありました。
あなたにもそうした経験はありますよね?
子どもだったらなおさらそんなことは日常茶飯事です。
「そんなもんだよね」と思って笑って許して、次にやりたいことを探せばいいだけのことです。
しかし、ここで親御さんが「月謝を出しているのにもったいない」という怒りを感じ、「自分でやりたいって言ったくせに!」と子どもを叱ったらどうなるでしょうか?
子どもにとって「自分でやりたいと言ったら、やりたくなくなったときに後になって責められる」という嫌な体験をすることになります。
そういう体験をした子は、体験から学習し、もう自分からやると決めることはしなくなるでしょう。
「うちの子にそんな体験をさせてしまったことは無かったかな?」と振り返ってみましょう。
また、本当はやりたくないけれど、やりたくないと言えないのかもしれません。
子どもは空気を読み、親の気持ちを忖度するものです。
本当はやりたくないのに、「中学受験をしたい」と言わされている子どもも私はたくさん見てきました。
こちらの画像は、あるとき5年生の子どもたちに「受験する理由」について書いてもらったものです。
筆跡で誰が書いたかわからないようにぼかしてあるので、小さな文字は読めないかと思いますが、左上の方は十分読めますよね。
「親が決めた」「親がきめた」「親の都合」「親がきめた」「お父さんとかにいけといわれたから」「みんなやってるからっておやにいわれた」
などなど、本人の意志ではなく親によって塾に通わされていると言っている子がかなりたくさんいることがお分かりいただけると思います。
「『楽しい』といわないとおせっきょう2時間くらい!最悪」
と書いた子もいます。
2時間のお説教が真実かどうかはさておき、この子が「本当は言いたくないセリフを無理矢理言わされている」ということは間違いなさそうです。
子どもの自己選択を大事にしようと思うのであれば、子どもが「やりたい」と言ったときにも、「果たして私は『やりたい』と言わせていないか?」と、子どもが「どっちでも良い」と言ったときには、「『やりたくない』と言えないのではないか?」と、考えてみるのは大事なことです。
いろいろな可能性を考えて、子どもの本音をさぐってみましょう。
もし本音が分からなかったとしても、そうやって子どもの本音を考えようとする姿勢を持つことそのものが、子どもに安心感を与え、本音を言いやすくする土壌になります。
2.少しずつ選択力を養う
本音が言えていないのではなく、本当に心から「どっちでも良い」と言う場合ももちろんあります。
子ども自身の気持ちが自分でもはっきりしていない状態です。
実際のところ、妻に「○○か××どっちが食べたい?」と聞いている私自身が、どっちでも良くて決められないから妻に聞いているという側面はあります(笑)
(妻が食べたいものを作ってあげたいという気持ちもありますよ!)
「どっちでも良い」ときの対応について考え方はいろいろありますが、私は正にどっちでも「良い」、どちらを選んでも「正解」であれば、そこで決断を下すこと自体に価値があると思います。
慎重に決断をした方が良い場面はもちろんありますが、多くの場合人は決断をすることの方が慎重に考えるよりも苦手で、そして決断を先延ばしにする事によってチャンスを逃すものです。
ですから、「どちらを選ぶのも正解で、選択を先延ばしにしたり人任せにしたりするのは不正解」というルールで、選択をする練習の機会にしてみるのも良いのではないでしょうか。
子どもに「失敗してもやり直せるよ、自分で決めることにチャレンジしてみよう」などと前向きな言葉をかけて、決断を促してみましょう。
私も経営者としての決断力を養うために、日頃から「どちらでも良いもの」に関しては即断即決を心がけて練習しています。
3.体験の機会にする
子どもが本心から「どっちでも良い」と思っている場合には、選択の練習の機会にする以外にも、親御さんの方で「じゃあ一度体験してみよう!」と後押しして、体験の機会にしてみるのも良いかもしれません。
初めはそこまで乗り気でなかったことに対して、やっていくうちに面白さに気付いてハマっていくことはあるものです。
私も時給が良いからという軽い気持ちではじめた塾講師の仕事に、こんなにハマって一生の仕事にするとは思っていませんでした。
子どもたちも、習い事や塾に一度通ってみることで、楽しさに気付いたり、逆につまらないと気づいたり、気持ちがはっきりすることもあります。
しばらくやってみた後で、やっぱりやりたくないとなったら、その時には潔く撤退しましょう。
また、「『どっちでも良い』が続いた場合にはそのまま続ける」、「〇ヶ月経っても『どっちでも良い』が続いた場合にはやめる」といったことを事前に決めておくのもアリです。
具体的な期限を決めると、子どもが意思を固めるきっかけにしやすいですよ。
4.無理に決断を急がない
子どもの性格によっては、無理に決断の練習の機会にしない方が良いこともあります。
慎重な性格の子どもは、選択を急がせることでストレスを与えるよりも、安心して考えられる環境を提供することが大切です。
習い事や塾選びは、長期的に続けるかどうかが重要です。
もし子どもがまだ決められない場合、無理にすぐに結論を出させる必要はありません。
「今は決めなくても大丈夫だから、もう少し考えてみようか」と声をかけ、考える時間を与えましょう。
そして、そういう慎重な性格のお子さんは、決断力を養うトレーニングは、習い事や塾通いをやるかどうかといった一大決心ではなく、ごはんのメニューを選ぶみたいな日常のささいな選択から練習していきましょう。
スモールステップで少しずつ選択をする事になれさせてあげるといいですよ。
まとめ
「どっちでも良い」と子どもが言った場合、親御さんはその言葉の背後にある気持ちや本音を汲み取ることが大切です。
無理に決めさせず、子どもの意思を尊重しながらも、親がサポートする形で選択を促すことが理想です。
そして、子どもが自分で決める力を少しずつ身につけられるように、小さな成功体験を積ませてあげましょう。
親が焦らずサポートすることで、子どもは自信を持って次のステップに進めるようになりますよ。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
お気に入り機能は
会員の方のみご利用できます
会員登録のうえログインすると
お気に入り保存できるようになります。
お気に入りのコンテンツは、
マイページから確認できます