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葉脈の意味と働きとは? 植物全体の構造と合わせて理解しましょう!

2018年6月12日 東荘一

葉の組織である葉脈の働きは、「葉のすみずみに水を運ぶ(道管)」「光合成で作られた栄養を運び出す(師管)」「葉をささえる」という主に3つがあります。

葉脈の意味については「葉の維管束」「葉の表側が道管で、裏側が師管」「双子葉植物は網状脈で、単子葉植物は平行脈」といった知識を暗記してオシマイ、という子供がほとんどではないでしょうか。

葉脈の意味や働きを「単なる知識」から「記憶に残る理解」へと深めるために、「葉脈」と「植物全体の構造」との関係を解説します。

葉脈の意味と働き~葉脈と維管束の違い

単語は知識ですから、点数を取るためには覚えるしか方法はありません。「葉脈」「道管」「師管」「維管束」という単語と、「根」「茎」「葉」における働きとの関係は正確に把握しておきたいものです。

人体における「血管」と同じで、体の一部分の名前だけ(例えば「肺動脈」など)を覚えても意味がないことは理解できると思います。植物の場合も、体全体の構造を理解しながら、覚えるべき単語はとにかくしっかり覚えてしまうことが重要です。

葉脈の意味と働き~葉脈と維管束の違いとは?

道管と師管の束を維管束といい、根と茎の部分に別称はありませんが、葉にある維管束のことは「葉脈」と呼びます。つまり、葉脈の中には道管と師管が通っているという意味で、言い方が異なるだけで中身は維管束と同じです。

道管の中は水、師管の中は栄養が移動します。水は土から吸い上げられ、栄養は光合成によって作られます。葉脈の部分だけを見るのではなく、水と栄養の流れを植物全体の構造として把握しましょう。

葉脈の意味と働き~水の流れ

植物は土から吸い上げた水のほとんどを、蒸散作用によって葉の気孔から放出しています。光合成の材料の1つは水ですが、蒸散量と比べればごくわずかといえます。

植物全体の構造から見ると水は、土 → 根毛 → 根の道管 → 茎の道管 → 葉(脈)の道管 → 気孔 → 空気中に放出 という経路をたどります。

蒸散には体の水分量や体温を調節することに加えて、根からの水分の吸収を助けるという重要な働きがあります。樹高が最大で100mを超えるヒノキ科のセコイアが、その先端まで水を運ぶことができるのは、蒸散作用によって水を吸い上げるポンプの働きを果たしているからです。

葉脈の意味と働き~栄養の流れ

光合成によってつくられた栄養は、葉が生きるために必要なエネルギー源であるとともに、大部分は芽・花・新しい葉・根の先など成長がさかんな部分に運ばれます。

もちろん栄養は師管を通るのですが、水溶液を学習した人は1つだけ不思議に思うことがあると思います。小麦粉の成分は大部分がデンプンで、小麦粉は水に溶けない物質です。それならばデンプンは師管を通ることができないのではないか、という疑問です。

実は正確にいうと、光合成で作られるのも細胞が生きるためのエネルギー源も、ブドウ糖です。デンプンは、保存するために作り変えられた物質なのです。光合成によって葉で作られたブドウ糖はすぐに保存用のデンプンに変換されるので、光合成実験ではデンプンが検出されます。

デンプンは、いったん水に溶けやすい糖(ショ糖など)に作り変えられ、水に溶けた状態で師管を通って他の部分に運ばれ、再びブドウ糖に変換してエネルギー源となります。根・茎・果実でエネルギー源を保存する場合は、再びデンプンに作り変えます。

葉脈の意味と働き~道管と師管の配置、網状脈と平行脈

「葉の表側に道管、裏側に師管」「双子葉類は茎の内側に道管、外側に師管」「双子葉類の網状脈、単子葉類の平行脈」は、完全に覚えておく必要があります。これらの知識に関して、補足説明を加えます。

葉脈の意味と働き~道管と師管の配置を水の通りやすさから考えると?

生きるために必要な物質(酸素と栄養)を作り出す光合成は、工場である葉緑体を動かすために光エネルギーを必要とします。葉緑体が茎よりも葉の裏、葉の裏よりも葉の表に多いことは、緑色の濃さを見れば明らかですし、光を最もあびるのが葉の表だということを考えてもわかります。

工場である葉緑体が葉の表に多いのであれば、材料である水を葉の表側に運びやすくしたいと考えるのが自然でしょう。水の供給は下方の根ですから、根から葉までなぞったときに師管と交わりにくくするためには、道管を茎の内側から葉の表側に通すのが素直な設計と考えられます。

さらに葉の表側は葉緑体を多く詰め込む「さく状組織」、裏側は蒸散作用のため気体が通りやすい「海綿状組織」とするのもうなずけます。

葉脈の意味と働き~網状脈と平行脈の共通点とは?

「双子葉類の網状脈」「単子葉類の平行脈」は、一目瞭然なので絵を見れば印象に残ると思います。一見すると平行脈は葉脈が少ないように感じますが、水や栄養の通りが悪くても問題ないのでしょうか。

網状脈と平行脈は一見すると全く異なるように見えますが、双方ともに細かな葉脈(細脈)が張り巡らされています。人体が毛細血管で全身に血液が届くのと同じようなものです。したがって水・栄養の通りやすさや蒸散量に関して、網状脈と平行脈とで機能的な違いはありません。

まとめ

◎ 道管と師管の束を維管束と言い、葉の維管束が「葉脈」です。

◎ 水は根・茎・葉の道管を通って、気孔から空気中に放出されます。

◎ 水の通り道(道管)は、茎の内側から葉の表側へと向かいます。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

京都大学工学部、東京大学大学院(工学)、世界最大の外資系コンサルティング会社の共同経営者(パートナー)を経て、教育業務を開始。業界最大手の中学受験塾で、小学3~6年生3000名以上の理科を担当し、習熟度に応じて幅広い学習指導を行いました。学習方法や各テーマの解説をおこなう、小学生向けサイト(偏差値アップの勉強法)を運営しています。以下のリンクからご覧ください。

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