連載 プラスにする中学受験

【連載第1回】「プラスにする中学受験」~現状はけわしくてもいい受験はできる~

2016年2月26日 杉山 由美子

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『はじめに』

受験のあと、こんなふうに思えたらその親子にとってすばらしいことではないでしょうか。
「子どもにとっていい経験だった。親も理想的とは言えないまでも子どもの成長を見守ってあげられてよかった」

私はフリーランスライターとして長年にわたり私立中学校、塾、受験した親子を取材してきました。そして中学受験は親も子も過酷だと痛感しました。

それでも受ける親子は年々増えつづけています。今年は東京、千葉、神奈川、埼玉の6年生の16パーセント近くの子どもが受けました。もともと関西は灘や神戸女学院など有数の受験校があります。名古屋はじめ地方都市にも広がり、もはや首都圏の一部だけではありません。東京の郊外では渋谷幕張はじめ共学中学の躍進が目立ちます。

多くの学校が定員を増やし、学校を増設したり、女子校は共学にしたり(男子校のほうが少なかった)して、合格総数をあげてきたのです。これにより、かつてよりチャンスは増えてきた、はずでした。

ところが少子化にもかかわらず激戦は続き、どの子も塾に通い、塾のクラスの昇降に保護者は一喜一憂しています。塾通いは小学校低学年からがふつうになりはじめています。

受験総数は増え、さらにトップ校の麻布、開成、武蔵、女子学院、桜蔭などになるほど倍率は高い傾向があります。一方、倍率は限りなく1倍かそれ以下で応募総数に満たない学校もあるのです。昔はどの学校も受からない子や、志望校のみ受験という子もいたのですが、今は何校も受けて「どこかに受かる」受験が一般的です。

12歳の受験生はどの塾でもよりすぐりの子どもが集まります。12歳という前思春期の繊細な子どもには本番にケアレスミスもあれば、体調のくずれもあります。毎年どの塾でもトップクラスの子にまさかの敗退もあります。逆に「本番に強い」子もいます。

まさに誰が受かるのかわからない予測不可能な荒波のなかでどうしたら「いい受験」にもっていくことができるのか、親も子も試される中学受験。子どもにとってその後の人生の「糧」にするにはどうしたらいいか、ごいっしょに考えていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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