連載 プラスにする中学受験

【連載第15回】「プラスにする中学受験」~お母さんも読書をしましょう~

2016年9月09日 杉山 由美子

「情緒豊かな子に育てるには」

私立中学には早熟な子どものほうが有利とかまことしやかに噂されていますが、あながちウソとも言い切れません。遅咲きの子は要注意です。とくに国語の文章題は難関校では10代の思春期前期の揺れ動く心理が描かれることが多いので、幼い子には手ごわいのです。

淡い憧れや羨望、不安やさみしさ、母親に対する言いようのない怒りやさみしさ、などなど、これまで味わったことのない疎外感や距離感など、大人になりかかった少年の心理を救い上げたのです。でも小学校高学年になったばかりの、お母さんに甘えている少年には手にあまる問題です。しかし、問題に慣れておくことはできます。実際、こういう問題は「ありふれている」といえるほどよく出題されています。

女の子でも、年上の少年に対する憧れ、淡い嫉妬、などもよくでますが、思春期前期の少女が一度は味わう普遍的な感情です。そういうありふれた、誰でも味わう感情のことは、学習することができます。

それが読書の力ですが、映画やテレビ、漫画などでもよく取り上げられています。少し子どもも感情に鋭敏であれば、幼い時から子どもには怒りや悲しみ、さみしさ、喜びなどさまざまな感情にいろどられていること、その感情に気づいてあげることで、子どもも自分の感情に気づけるようになるでしょう。

子どもの繊細さに気づく親は、よいお母さんです。幼い子どもにいろんな絵本を読み聞かせしてきたお母さんならとっくに気がついているでしょう。今からでも遅くありません。お母さん自身も本を読むことをおすすめします。情緒豊かな子は、算数や社会、理科にだって強いです。

プラスにする中学受験の本当の意味は中学受験を経験することで、小学校時代を豊かにしてほしいということです。勉強というと狭く考えてしまいます。問題集を一冊解いた、難題過去問をしあげたというだけでなく、12歳の子どもたちの世界は豊かです。

いろいろなことを経験させ、いろんなことに喜び、感動させてあげてください。
それが大人になったとき豊かな実りをもたらすでしょう。
12歳の子に過剰な期待をかけてしまうこともあるでしょう。
でも親が将来の子どもにどんな大人になってほしいか冷静に考えれば答えは導き出されます。

日本の子どもがつらいのは受験勉強だけというアメリカ人教師がいました。確かにそうなのです。はっとしました。たしかに世界にはもっとつらい体験をしている子は多くいます。もちろんだから過酷でいいとは思えませんが、どの子にも必要な試練はあります。

どの程度まで鍛えるべきか何を課すべきか考えてしまいました。

 

※記事の内容は執筆時点のものです

杉山 由美子
この記事の著者

出版社勤務をへて、フリーランスライターに。おもに教育、女性が働くことについて取材、執筆をしている。著書に『長男が危ない』(草思社文庫)『中学受験SAPIXの授業』(学研新書)『お金をかけずに「できる子」を育てる』(岩崎書店)など多数。

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