学習 連載 プロが教える受験生の作文教室

プロが教える受験生の作文教室(3)「考えない訓練を受けてきた子どもたちに「考える力」を取り戻してもらうには?」

2015年7月24日 桐生玲子

0

当コラムの一回目に、お子さんの書く力は、「考える力」のことだと書きました。これは、論文を書くときに必要とされる「論理的思考力」のことを、わかりやすく表現しただけです。

では、考える力ってなんでしょうか。私は、「自信を持って自分で決めることができる力」だと考えています。現代は、考えようとする力を積極的に表現できるお子さんはとても少ないです。とても従順で、与えられたものをこなすのがとても得意です。従順でないやんちゃなお子さんの場合でも、いざ課題を与えると「どうやるの??ねえ、ねえ、どうするの?」と質問攻めで、なかなか自分でやることができません。

そこで、私がよく教室で使う言葉は「別に間違ってもいいじゃん。とにかくまずは自分で問題をよんでやってごらん! それが勉強だよ~」。お子さんたちは、みんな自信がないんですね。間違うと怒られるので初めから聞いてしまうんですね。自戒もこめて書きますが、お子さんたちから考える力を奪っているのは身近にいる私たち大人です。「ああしろ、こうしろ」と命令ばかりしていませんか?

「どうするの!?」と口では聞きながら大人の都合のいいように答えさせていないでしょうか。それでは、考える力は育ちません。日頃、考えるチャンスを与えていないからです。だから、作文のようにまるっきり自由な課題が出ると、「どうしたらいいの?」とお子さんは困ってしまうのです。

私の教室では、まず、考える力を取り戻すための訓練というつもりで、パズル的要素のプリントや言葉遊びのものを行っています。ときには、手先を使ったアクティビティーなど、頭を柔らかくするためのものをたくさん取り入れます。加えて、私の無駄話と説教(笑)。これが意外と大事だったりします。ああ、この大人の前なら間違ってもいいし、自由でいいんだな、とお子さんに感じてもらうことが重要です。

また、そういう時間に、正解出来たかどうかはあまり大事じゃない、とお子さんに伝えます。子どもたちは、とてもまじめでルールや大人の言動に縛られているので、出来なきゃいけないと思っているのです。

子どもなのに、すごーーーーく頭が硬い。学校では、社会性を身に付けるためにルールを守る訓練ばかりしますので、心にも頭にも遊びがない。それでやり方を教えてもらうまで待っている、指示を与えられるまで動かない。そういう感じになりますね。すから遠回りのようですが、まずは意識して「自分で決める、自分で考える」ことをお子さまに問いかけてくださいね。それこそが作文を書けるようにするコツです。ここまでが作文を書く準備のようなものです。

次回、いろいろ書き方の練習方法をお伝えします。

※記事の内容は執筆時点のものです

0