連載 ホメ夫先生のやる気引き出し術

大きな望遠鏡が、標高の高いところに作られるのはなぜ?|全力珍回答! ホメ夫先生のやる気引き出し術(2)

専門家・プロ
2015年8月11日 辻義夫

こんにちは。辻・E・ホメ夫です。第2回となる今回も、受験生たちのナイス珍回答をご紹介し、思い切りホメちぎっちゃいます。

今回は小6男子、身の回りの科学に興味が旺盛な子です。

今回彼が解いた問題は「大きな望遠鏡が、標高の高いところに作られることが多いのはなぜですか。」という問題。

子どもの発想はとんちんかん?

大人なら、標高が高い=都市部の光が届きにくくて空気が澄んでいる、と連想します。

でも、彼の答えは

「宇宙に近いから」

でした。

科学好きの彼は、ハッブル宇宙望遠鏡のことを連想し、できるだけそれに近い位置に望遠鏡を設置するのがいいのではと考えたのです。

ある意味正しい……!でも。

「おいおい、山の高さなんて、天体までの距離とくらべたら、話にならないくらいの距離じゃん。」と、大人の常識に照らせば、「とんちんかん」と感じる答えですが、とても子どもらしくて正直な答えです。

確かに近い。少しですが。

同じように「太陽に近いので、高い山の方が平地より暖かい」と考えて「あれっ?夏休みに行った藁科高原は夏なのに涼しかったぞ?」などと間違いに気づくお子さんもいます。

お子さんの珍回答から思考が広がるように説明してあげてください

さて、この「宇宙に近いから」という答え。あながちとんちんかんでもないんです。大人である我々も、子どもから「どこからが宇宙なの?」と聞かれたら返答に困るのではと思うのですが、一般に地表から約100kmより高いところからが「宇宙」と呼ばれています。

でも、大気のおよそ90%は地表から10kmくらいまで(対流圏といいます)に存在しているんです。

一方、世界最高地点の天文台、チリの東京大学アタカマ天文台の標高は5640m。その上空に存在する空気の量は地表の約半分しかありません。

大気そのもの(含まれる塵など)が観測の邪魔になることを考えると、彼の言う「宇宙への近さ=高度」が重要な要素なんですね。

彼が「宇宙に近い」と考えたもうひとつの理由は、おじいちゃんから聞かされた、「コンコルド」搭乗の思い出でした。

フランスの超音速旅客機「コンコルド」は、事故が原因で今は運用されなくなりましたが、通常の旅客機よりも高い高度を飛んでいたため、空の色が「宇宙の色」に見えたというのです。

その上空に大気が少ないから、そう見えたんだろうね、と話してあげると、憧れるような目をした彼の中で、大気と望遠鏡による観測の関係がどんどん整理されていきました。

このように順序立てて伝えてあげると、どんどん理解が進んでいくのが、彼のように柔軟な感性を持ったお子さんの素晴らしいところです。

「模範解答と違う→×」で終わらせず、そこから思考が広がるようにお子さんの「珍回答」を活用したいですね。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです

辻義夫
この記事の著者
辻義夫 専門家・プロ

中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

つじ よしお大手進学塾での指導経験を経て、中学受験専門プロ個別指導SS−1創設メンバーとして副代表、現在は顧問を務める。「わくわく系中学受験理科」と称される指導法、勉強法は「楽しく学べて理科系科目が知らない間に好きになってしまう」と好評。子どもの良いところをほめまくることから「辻・アインシュタイン・ホメ夫」の異名を持つ。「カレーライスの法則」「ステッカー法」など子どもが直感的に理解できて腑に落ちる解法を編み出す名人でもある。著書に『頭がよくなる 謎解き理科ドリル』(かんき出版)『中学受験 見るだけでわかる理科のツボ』(青春出版社)『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』(実務教育出版)などがある。

中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

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