連載 ホメ夫先生のやる気引き出し術

NASAが打ち上げたカタカナ4文字の天体望遠鏡って?|全力珍回答! ホメ夫先生のやる気引き出し術(3)

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2015年8月26日 辻義夫

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こんにちは。辻・E・ホメ夫です。

もう夏も終わり、受験生たちはいよいよ追い込みの時期に入っていきますね。今回も、受験生たちのナイスな珍回答を紹介し、思い切りホメちぎっちゃいます。

NASAが打ち上げたカタカナ4文字の天体望遠鏡って?

さて、今回は比較的遅くに受験勉強を始めた小6女子の話です。

理科の学習のしかたを今ひとつ掴めていないということで、みんなが過去問の演習を始める、ちょうど今くらいの時期、9月になってから私が担当するようになったお子さんです。

あるとき彼女が質問に持ってきた問題は「アメリカ航空宇宙局(NASA)が、より遠くにある天体を鮮明に観測するために、宇宙空間に打ち上げて使用している大型天体望遠鏡の名前を、カタカナ4文字で答えなさい。」という問題でした。

その問題に対する彼女の答えは「ガリレオ」。

(正解はハッブルです。)

確かにガリレオ式望遠鏡と呼ばれるものもあるけど……。

と彼女に言いかけて、ハッと思いだしたんです。そして私は彼女にこういいました。

「先週、ガリレオの話題が出てきたよね!? だからガリレオって答えたんだ!」

そう言うと、彼女はちょっと嬉しそうにコクっと頷きました。

そもそもハッブルという名前を知らなければ、正解を思い出すには、『カタカナ4文字』という条件が正解への唯一の手がかりということになります。

たとえばお子さんが「日没時に鳴く中型のセミの名前をカタカナ4文字で」という問いに対して「カワセミ」のように「苦し紛れ」で答えることがあるように、彼女の答えも似たものに見えたのですが、実は前の回の授業で、ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡で木星を観察したという話題が出てきたのです。

つまり彼女は、「NASAのすごい望遠鏡」→「大昔に自分で望遠鏡を作った偉い人の名前をつけたのでは?」と推理したんですね。

間違っていても筋が通った解答かどうかを見てあげてください

……すばらしい推理です!お母さんたちにお願いなのですが、「苦し紛れに、何書いてんのよ!」と感じたときにこそ、お子さんがなぜ(ある意味とんちんかんに見える)その答えを書いたかを考えてみてほしいんです。このお子さんの場合、前回の授業で習ったことをちゃんと覚えていた訳です。

前に習ったことを、筋道の通る形で次の学習に反映していく、という学習の流れを築きつつある段階だったんですね。「合格点まであと十点」だった過去問演習はやがて合格点に達するようになり、みごと第一志望校に合格しました!

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです

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辻義夫

辻義夫

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中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

つじ よしお大手進学塾での指導経験を経て、中学受験専門プロ個別指導SS−1創設メンバーとして副代表、現在は顧問を務める。「わくわく系中学受験理科」と称される指導法、勉強法は「楽しく学べて理科系科目が知らない間に好きになってしまう」と好評。子どもの良いところをほめまくることから「辻・アインシュタイン・ホメ夫」の異名を持つ。「カレーライスの法則」「ステッカー法」など子どもが直感的に理解できて腑に落ちる解法を編み出す名人でもある。著書に『頭がよくなる 謎解き理科ドリル』(かんき出版)『中学受験 見るだけでわかる理科のツボ』(青春出版社)『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』(実務教育出版)などがある。

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