連載 ホメ夫先生のやる気引き出し術

中学受験の入試過去問で漢字のミス。こんな時どうしますか?|全力珍回答! ホメ夫先生のやる気引き出し術(1)

専門家・プロ
2015年7月28日 辻義夫

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こんにちは。辻・アインシュタイン・ホメ夫と申します。中学受験専門の個別指導教室、SS-1(エスエスワン)の副代表をつとめております。この連載では、私たちが授業の中で遭遇する、子どもたちのナイスな珍回答をご紹介していきたいと思います。

子どもたちはときに、我々が吹き出してしまうような「珍回答」を授業の中で答えることがあります。でも多くの場合、彼らはいたって真剣で、よくよくその訳を聞いてみると、それなりにちゃんとつじつまが合っていたり、思いもよらない機転や発想が隠されていたりするのです。

ともすれば笑い飛ばされたり、叱られたりで終わってしまいがちな子どもたちの発想や発見に、この連載ではスポットを当てていきます。

解答は漢字にすべき? ひらがなにすべき?

記念すべき連載の第1回目は、小6女子の珍回答です。とても真面目で活発なお子さんです。受験も迫る12月、一緒に入試過去問の答え合わせをしていた時のこと。

「ヒトが運動した時などに、体温調節のために皮膚の表面から出すものを答えなさい」

という問いに対して彼女の答えは、

「汁」

(ん? 合ってる?)

と一瞬思ったのですが、なんか字が変です。

「汁……? 汗じゃなくて汁になってるじゃん。さすがにありえないよ~」

と2人で大爆笑。

彼女は普段からできるだけ答えを漢字で書くように心がけていたのですが、どうやらそれが裏目に出た形です。

「あせ」とひらがなで答えていれば、正解だったわけですね。

お母さんがこの子の答案を見たら、「どうしてひらがなで書かなかったのよ!?」と言いたくなるかもしれません。塾の先生のなかにも、「漢字指定がなければひらがなで解答しましょう」と指導する方もいるようですから、「点を稼ぐ」という意味では「ひらがなでの解答」は実質的かもしれません。

でも、ちょっと待ってください。

ものの名前を漢字で覚えると、知識が定着しやすい

実は理想的な記憶という意味では、むしろ漢字で暗記することを心がけるべきなのです。なぜなら、「名は体を表す」という例は多く、ものの名前を漢字で覚えることで、名前だけでなくその性質なども一緒に覚えることができ、結果として「忘れにくい知識」として定着させられるからです。

たとえば「オオバコ」という植物があります。

「オオバコ」は漢字だと「大葉子」と書くのですが、漢字で覚えることで、田のあぜ道などに大きな葉(ロゼット葉)を広げている姿とともに暗記することができ、忘れにくく思い出しやすくなるというメリットがあるのです。

お父さん、お母さん、漢字で覚え、漢字で答えるお子さん、応援してあげてくださいね!

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです

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辻義夫

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中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

つじ よしお大手進学塾での指導経験を経て、中学受験専門プロ個別指導SS−1創設メンバーとして副代表、現在は顧問を務める。「わくわく系中学受験理科」と称される指導法、勉強法は「楽しく学べて理科系科目が知らない間に好きになってしまう」と好評。子どもの良いところをほめまくることから「辻・アインシュタイン・ホメ夫」の異名を持つ。「カレーライスの法則」「ステッカー法」など子どもが直感的に理解できて腑に落ちる解法を編み出す名人でもある。著書に『頭がよくなる 謎解き理科ドリル』(かんき出版)『中学受験 見るだけでわかる理科のツボ』(青春出版社)『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』(実務教育出版)などがある。

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