声の高低にメリハリをつければ、集中力をコントロールできる 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の集中力アップの秘策!(6)
高い声なのか、低い声なのか。声の高さを変えるだけで、集中力が変化することがアメリカの大学で行なわれた実験で明らかになりました。
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人間は低い声に注意を向ける
研究者が用意した原稿を学生に、高い声と低い声でそれぞれ音読もらい、どれだけ記憶に残ったか、後からテストをして比較したのです。その結果、低い声で音読したときのほうが、点数は良くなる傾向にあることがわかったのです。つまり、低い声で音読したほうが勉強の集中力がアップするということです。
実は、人間の脳にこうした性質が発達したのは偶然ではなく、明確な理由があったためです。幼い頃から、内容に自信がない不確かなことを話すときは、ノドに自然に力が入るため、声が上ずってしまいます。そんなときは、集中力を高めて記憶しても、本当は間違っている情報かもしれないので、努力がムダになるかもしれません。だったら、集中力を低下させておいたほうが合理的です。
一方、内容の正しさに確信が持てていて、しかも重要だと判断できることを話すときは、ドスの効いた低い声になるものです。そんな場合は、集中力を高めて確実に記憶にとどめる値打ちがあります。こうして私たちは、声の高さと集中力を連動させることにより、無意識のうちに効率よく脳を活用していたわけです。
高い声と低い声のメリハリが大事
このような傾向は、本人が音読するときだけでなく、先生や親など周囲の人が教えてあげるときにも成り立つことが、受験医学研究所で行った実験で明らかになっています。まだ習っていない社会科の教科書を高い声と低い声で読み分け、それを聞いた子供がどれだけ記憶に留めるか調べました。
その結果を要点だけ簡単にお伝えしておきましょう。
1、高い声より低い声で伝えた方が子供の記憶に残りやすい。
2、この効果は、低い声を続けると弱まり、やがて効果は出なくなる。
3、もう一度、高い声を聞かせると、低い声の効果がよみがえる。
4、ただし、子供の年齢や性格によって、効果の出方やタイミングは異なる。
詳細なテクニックは別の機会に解説しますが、大雑把に言うと、低い声の一辺倒では脳が慣れてしまうのでダメだということです。重要ではない部分はわざと高い声で教え、重要な部分だけ低い声に切り替えるというメリハリが、子供の集中力を高めるうえで最も理想的だと言えます。
※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。
吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)
灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。
本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/
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