連載 脳を育てる勉強法|ドクター吉田

中学受験、合格の秘訣は頭の良さより実体験! 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の脳を育てる勉強法(2)


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開成中学や桜蔭中学、それに私の母校の灘中学など有名中学には、頭が良くないと合格できないと思い込んでいる父母が大半でしょう。確かに、頭が良ければ入試で有利になるのは事実です。しかし、私自身も含め、平凡な頭脳でも合格している人はたくさんいます。

実体験で脳を育ててください

では、どうすれば普通の子でも有名中学に合格できるのか、私が主宰を務める「中学受験・お母さん塾」では、脳機能に基づく分析を行っています。その結果、明らかになった答えの一つが、入試問題に沿って実体験を積ませるべきだということです。

たとえば、灘中学の入試(2016年・算数)では、立方体を複雑に切断し、体積を求める問題が出題されました。おそらく、数学が得意な大人であっても制限時間内で解ける人は少ない難しい問題です。実際、母親塾の受講者に挑戦してもらったら、親子そろって全滅でした。体積を求めるどころか、そもそも、どんな形の立体かもわからないという方が大半だったのです。

しかし、ある遊びをご家庭で行ってもらったところ、知能指数が平凡なお子さんでも、こうした問題が解けるようになりました。それが、実体験で脳を育てるということです。

具体的には、身の回りにあるものを使って実際に立方体を作り、さまざまな断面で切ってみる遊びをさせます。そのとき、断面はどんな形なのか、各辺の長さは何センチになっているのか、親が上手に誘導してあげると、ただの遊びではなく、立体図形の認識能力が発達します。

幼少期からの実体験の積み重ねが、有名中学に合格させる最良の方法

もちろん、受験を控えた小6の時期に、こんな悠長な遊びをさせるわけにはいきません。小学校のできるだけ早い学年から行うのが秘訣です。幼いほど脳が柔軟に発達するので、効果もそのほうが大きいのです。実際、母親塾で指導し、小5までにこうした遊びを繰り返し行なった家庭では、先ほど示した灘中学の問題についても、少なくとも形がイメージできないということはありませんでした。

このように、頭の中で考えるだけ、あるいは紙と鉛筆だけで答えを出そうとするのではなく、実体験を通して子供の脳機能を育むことが、有名中学に合格させる最良の方法です。このことは、算数に限ったことではなく、国語も理科も社会もすべて同じです。中学受験は実体験が一番! 頭の良さは二の次だと心得てください。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


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※記事の内容は執筆時点のものです

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