連載 脳を育てる勉強法|ドクター吉田

逆転劇から学ぶ受験の極意! 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の脳を育てる勉強法 (6)

2016年9月02日 中学受験ナビ 編集部

2016年のリオ五輪 卓球の男子団体の決勝では、水谷隼がマッチポイントを握られてから5連続でポイントを取って逆転勝利。このほかにも、レスリングの登坂・伊調、バドミントンの高松・松友ペアなど、試合終了の間際に奇跡の逆転劇が相次ぎました。

高校野球は9回に逆転が起きやすい。バスケットボールで終了のブザーと同時に逆転のシュートが決まった。五輪に限らず、スポーツの世界では、試合の最後に逆転が起きやすいことはよく知られています。

なぜそんなことが起きるのか、理由を知っておくと、受験でも役立てられます。メカニズムをわかりやすく解説しましょう。

チャレンジ精神が試合終了間際の逆転をもたらす

試合終了間際の逆転劇は、チャレンジ精神についての研究結果から説明がつきます。AT&T(米国電話電信会社)が1980年代に独占権を剥奪され、従業員は自由競争にさらされることになり、うつ病が急増しました。しかし、逆境にもめげず、根気よく努力し続けられた従業員もいました。その違いをストレスの研究者が分析したところ、チャレンジ精神があれば脳がストレスに負けにくくなることを突き止めたのです。

「勝てる!」と思うと身体が固くなりますが、これもチャレンジ精神が消えることで起きる現象です。

「自分は、たぶん勝てる。でも、ひょっとしたら負けるかもしれない……。」

こうした不確実性は、脳内に大きなストレスを生み出します。これによって身体が固くなり、作戦面でも消極的なプレーに終始してしまうのです。実際、リオ五輪の卓球でもレスリングでも、相手選手が守りに入ろうとして付け入るスキができたと専門家は指摘しています。

一方、追う立場の選手は失うものはなく、ひょっとして逆転できたら儲けもの。このため、不確実性が味方になるというチャレンジ精神が発揮され、のびのびとしたプレーで逆転劇をもたらしてくれたわけです。

「全力でチャレンジしなさい」が正しい子供の励まし方

チャレンジ精神が勝利をもたらすのは、受験もまったく同じです。試験が終了するまで粘り強く頑張り続けるには、「自分は挑戦者だ」と思っていたほうが得です。逆に、「受かるのが当たり前だ」と決めつけてかかると、試験でも守りに入り、特に応用問題が解けなくなってしまいます。

子供に自信をつけさせようと、安易に「必ず受かる!」と励ます親が多いようですが、これは逆効果です。「結果を考えず、全力でチャレンジしなさい!」というのが正しい声のかけ方です。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


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