連載 脳を育てる勉強法|ドクター吉田

試験で頭が真っ白になるのは親が原因? 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の脳を育てる勉強法(15)

2017年1月06日 中学受験ナビ 編集部

「試験場で頭の中が真っ白になり、問題文を読み取ることさえできなくなってしまった……」

「緊張のあまり、文字が変な記号のように見えてきて、問題が解けなくなった……」

入試の本番を迎えると、このような症状に苦しむ受験生が後を絶たちません。

こうした症状は、心療内科や精神科で「Exam Phobia」と呼ばれているもので、日本語に訳すと「試験恐怖症」となります。すでに原因や治療法の解明が進んでおり、医学的に適切な対処をすれば、ほとんどのケースで予防が可能です。

とくに、親自身が原因を作っていることを示す研究も発表されています。ぜひ、予防の仕方を知ってください。

頭が真っ白になる試験恐怖症とは?

試験恐怖症は、脳にある「扁桃体」と呼ばれる部分の暴走によって起こります。これについては、高所恐怖症や閉所恐怖症など、他の恐怖症と同じです。

ただし、試験恐怖症が特徴的なのは、対人関係のストレスが発症に深く関わっていることです。イギリスのエッジヒル大学のグループが、試験に対する恐怖の原因を分析したところ、親の期待が大きな要因になっていることが明らかになりました。

注意が必要なのは、親が口に出して合格を強要しなければいいというわけではないことです。親が心の奥底で子供の合格を渇望すると、表情や仕草を通して無意識のうちに子供に伝わります。子供は、合格しないと親に見捨てられると本能的に判断します。その結果、脳内の扁桃体が暴走し、試験恐怖を生み出すのです。

扁桃体は、脳が生命を守るために発達させたもので、高所や閉所に恐怖を感じるのは命を落とす危険があるためです。これに対し、試験は、不合格になっても死ぬことはありません。ですから、本来は恐怖症を起こしにくいはずなのですが、親の庇護を失うと命が脅かされる哺乳類特有の弱点があるため、症状が現れるわけです。

試験恐怖症を防ぐためには

試験恐怖症を防ぐには、子供の前で、親が「合格を強要しない」と何度も心の中で繰り返すことです。そうすれば、子供に伝わるプレッシャーを軽減できます。

「頑張れ」など励ましの言葉は、合格への強要そのものなので、入試の直前はNGワードです。子供に自信を持たせようと「お前は受かる」と声をかける親も多いのですが、これも暗に合格を強要していると受け取られるため逆効果です。

もちろん、症状が重い場合は、親の対処だけでは防げません。この場合は、抗うつ薬や磁気刺激治療で改善できるので、心療内科医などにご相談ください。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


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