連載 脳を育てる勉強法|ドクター吉田

ご褒美で釣ると子供の脳は勉強嫌いになる!? 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の脳を育てる勉強法(16)

2017年1月19日 中学受験ナビ 編集部

「宿題をしたら、マンガを買ってあげる!」

「問題集をやり終えたら、ゲームを買ってあげる!」

このように、ご褒美で釣ることで子供に勉強させている親御さまは、現実には少なくないでしょう。実際、多くの子供は、ご褒美が目当てなら勉強してくれます。

しかし、ご褒美で釣ると子供の脳は勉強嫌いになってしまうことをご存知ですか?

ご褒美で勉強させると、子供の脳は勉強嫌いになる

私は、脳機能を専門とする心療内科医として、こうしたご褒美の出し方は、絶対にやめていただきたいと、声を大にして訴えたいです。これは、単なる精神論や説教話ではありません。ご褒美で勉強をさせると、子供の脳は勉強嫌いになってしまうという研究データが発表されているからです。

米国ロチェスター大学のエドワード・デシ教授は、被験者に図形の問題を解かせる実験を行い、ご褒美を出すと脳はヤル気を低下させる性質を持っていることを世界で初めて証明しました。さらに、成長段階にある子供に関して同様の研究が行われ、勉強に対して興味を持たない脳に育ってしまう深刻な弊害があることもわかりました。

もともと、子供の脳には勉強に興味を持つ性質が、ある程度は備わっています。しかし、苦痛がそれを上回ったり、遊びたい気持ちが強かったりして、勉強をしてくれないわけです。

ところが、ご褒美を出すと、子供の脳は勉強を対価としての報酬をもらう労役だと認識します。その結果、興味を生み出す中枢が麻痺してしまうのです。

だから、その場は勉強してくれても、脳自体が勉強に興味を持てない性質に変わってしまいます。このため、長い目で見れば、子供の将来に禍根を残すことになるわけです。たとえ目先の成績が上がっても、これでは本末転倒です。

チャレンジ精神を促すご褒美はプラスに働く

ただし、ご褒美を出すことが子供のプラスになる場合もあります。それは、チャレンジ精神を促すご褒美の出し方です。

「○○中学に合格したら、旅行に連れて行ってあげよう!」

「模擬テストで◯◯位以内に入ったら、ゲームを買ってあげる!」

こうしたご褒美の出し方だと、子供の脳は、勉強という労役に対する報酬ではなく、チャレンジ精神を高める賞金だと認識します。

あなたは、錦織圭選手が、賞金目当てにテニスを嫌々していると思いますか? そんなことはありえないですね。それは、賞金が、労役の対価ではなく、チャレンジ精神を高める効果を持つためです。

勉強のご褒美は、ぜひチャレンジ精神につながる出し方だけにしてください。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


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