連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

何色のお花畑なのかを感じましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(6)

専門家・プロ
2016年7月14日 鳥居りんこ

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前回の「花が咲きそうな場所に置きなさい」では、わが子が伸びていきそうな学校を選ぶことが大事だよって話をしました。

では、具体的にはどうやって選びましょう?

私立中高一貫校にはそれぞれに個性がある

私立中高一貫校にはそれぞれに強烈な臭いがあってですね、アタクシはそれを「発酵臭」と呼んでおりますが、この発酵臭が強ければ強いほど「伸びている学校」と言い切れます。

まあ、それぞれにヨーグルト臭かったり、納豆臭かったりするんですが、その臭いをまずは見極めないといけません。

納豆が大嫌いなのに、納豆まみれで6年間、あらま不思議と卒業するときには納豆大好き!ってケースはかなりレアなんです。最初から「納豆好き」が納豆臭のする学校に行くべきなんです。

昨日ですね、カトリック系の女子校のご重鎮の先生方とプライベートで飲んでおりまして「学校を何色で表現するか?」って話になりました。

A校の先生はご自身の学校を「オレンジ」と評され、B校の先生は「ピンクというよりもほわっとした桜色」って言われたんですね。

「キリスト教」ってことで言えば「みんな、同じ仲間」に見えがちですが、やはりアタクシから見ても、両校は全然、違う色をしているんです。

つまり「キリスト教学校に入れよう」と思ったとしても「オレンジ」で教育されるのか「桜色」で教育されるのかの違いが出て参ります。

わが子にあった学校を選びましょう

これは好みの問題ですので、その匂いやら色を感じ取り「好ましい」と思えなければあわないということで、志望校から外すという決断が必要になります。

この「好ましい」は「わが子の性格やら特性に合う」かどうかという意味での「好ましい」なので、母の好みを押し付けてはいけないのですが、これがとても難しいんですよね。

ひとつ例を挙げましょう。

ウチの娘のことで恐縮ですが、娘は小さいころから、洋服やらデザインやらにやたらうるさくて、母であるアタクシは非常に迷惑しておりました。

制服で選んだ都会幼稚園から田舎幼稚園に引っ越しした4歳のとき、田舎幼稚園のダッサイ制服は着られないと言って、職員室で40分間号泣したこともございました(遠い目)。

そんなこんなで長じて、学区公立中学の通学服がジャージということに気が付いた娘は「この色の取り合わせは有り得ない!」といい、中学受験を本気で目指す強烈な動機になったのであります。

まあ、小学生の動機なんてこんなもんです。

※ちなみにウチの息子は「塾に行ったらお菓子を買ってもらえる(正確には、母がお菓子で釣った)」が動機でした……。

そして、娘は制服に一目惚れした学校にどうしても通いたくて、そこしか考えていなかった節があります。

そして運良く入学できた学校でこういうことが起こりました。

娘にはどうも物に対する黄金比があるようで、スカート丈にもその黄金比が(娘によって勝手に)採用されていたらしいです。

つまり、スカートを「巻き巻き」して校内をうろついていたんですね。

その時、学年主任の先生とすれ違いそうになったので、慌てて、娘はスカート丈を伸ばそうと格闘したようです。

すれ違いざま、当然、先生は呼び止めます。

「鳥居さん、そのスカート」

娘は親の呼び出しも覚悟したようですが、先生はこうおっしゃったそうです。

「前と後ろの長さが違いますね。丈が短いことよりも、そちらの方が問題です。なにをやるにもセンスが大事です。品良くおやりなさい」

それだけを言い残して去って行った先生に娘はこう思ったと母に報告しました。

「やられた。先生はすごい…」

いろんな考え方、導き方があるとは思いますが、娘にとってはその叱責がしっくりくるものだったんだと思います。

娘のスカート丈の黄金比は卒業まで変わらなかったのですが、娘は校長の毎朝のご挨拶(毎朝、校長&理事長のセットがエントランスで生徒を迎えている学校なんです)=「鳥居さん、スカート!」という声が遠ざかる(娘が全力で逃げているから)ことを「お母さん、これぞドップラー効果!」と笑っておりました。

娘にとってはこの生温かさが居心地良かったのだと思います。次回は逆のケースを見てみましょう。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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