連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

街の匂いを感じるために出かけましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(16)

専門家・プロ
2016年9月26日 鳥居りんこ

良い私学の特徴として「発酵臭」があります。

多くの熱狂的ファンを抱えている私学は必ずと言っていいほど、強烈な芳香を放っているのですが、この「匂い」を嗅ぎ分けられるかが、勝負のポイントとなります。

「納豆臭い」または「ヨーグルト臭い」あるいは「漬物臭い」というような独特な「発酵臭」を嗅ぎ分けることは難しく、場数を踏まないと「学校ソムリエ」にはなれないのですが、中学受験初心者の母の皆さんにはまず、次の方法を伝授しましょう。

通学ルートをたどり、街そのものを五感で感じてみてください

学校に出かける際には是非、車ではなく、電車で行ってみてください。実際にお子さんが通うであろうルートを辿って学校見学に行くことが大切です。

学校見学は最寄り駅に着いた瞬間から始まります。駅舎の感じ、街並みの雰囲気、そこに行き交う人々の様子、吹き抜ける風とその空気感。そういう見るもの、聞くものすべてに五感をフル稼働させてください。

なぜなら、学校はその街のなかにあり、その街オリジナルの文化のなかで育まれている面が大きいからです。

教育は「文化的生活」を送るために、子供たちに授ける義務も担っています。その教育の主戦場になる「学校」の文化度を測るために「街」を見ることは大事なことなのです。

もし、駅舎を降りて「この街、なんとなく好きだなぁ」という印象を持ったならば、それはあなたのご家庭の教育方針に合致する第一歩になるはずです。

これも私事で大変恐縮ですが、先週アタクシはひとりで海辺の街の隠れ家のような映画館に行っていました。

そこはウチの息子が中高の6年間を過ごした街で、映画館は息子の母校のそばでしたので、アタクシは雨に煙る街並みを見ながら、ブラブラと学校まで歩いて行きました。

正門の写真を撮って、息子(26歳)に「懐かしいでしょ?」とLINEしようと思っていたのです。

そのとき偶然だったのですが、道端で旧知の先生とバッタリと出会い、そのままお話をさせて頂きながら、学校のグラウンドまで一緒に行きました。

ちょうど、野球部の子供たちが練習をしているところでした。

知らないオバさん(アタクシ)を見つけた部員さんたちは口々に「こんにちは!」と声をかけてきました。

見慣れた制服に、懐かしい校舎、聞き覚えのある先生の声。まるで10年前にタイムスリップしたかのような感覚になりました。

そのまま駅まで通い慣れたルートを辿って、戻って行ったのですが、アタクシは雨粒を感じながら、こう思ったんです。

「この街の匂い本当に好きだったなぁ……」と。

その街が醸し出す「文化の匂い」に敏感になってください。

「言葉にならない」感覚が意外と大切

あなたが学校見学に出かけたとき、学校があるその街に「憧れ」のような、あるいは「懐かしさ」のような感覚を持ったならば、それは街全体があなたに「WELCOME」と微笑んでいるのでしょう。

そういう「言葉にならない」感覚が意外と大切なのです。

「この街なんとなく好きだなぁ……」っていう気持ちになったならば、今度は真剣に学校そのものを吟味していかなければなりません。

その第一歩として「駅から学校見学は始まる」ということを念頭に置いて、積極的に出向くということが必要となります。

秋から本格化する学校説明会。面倒がらずに是非いろんな街に出かけてみてくださいね。

 

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

鳥居りんこ
この記事の著者
鳥居りんこ 専門家・プロ

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー&介護アドバイザー。「偏差値30からの中学受験」シリーズ(学研)などの著者。受験から子育てまでの講演・執筆活動多数。ブログでは、中学受験、大学受験、子どもと自分の就職、子育て、夫婦問題、老人介護問題、その他あらゆる女性が抱える難しくも、素敵な日々を綴っています。

ブログ「湘南オバちゃんクラブ」
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