連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

学校独自の文化を感じてみましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(17)

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2016年10月06日 鳥居りんこ

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第16回では学校見学に行く際、「学校だけでなく、その街の匂いを確かめましょう」ということをお話ししました。

学校の文化度は学校があるその街にも影響を受けているからです。

街の空気をなんとなく感じたら、今度は学校そのものの文化度を知る必要が出てきます。いろいろな方法がありますが、まずはその学校が大切にしている行事、授業に着目してみてください。

これは今、発売中のプレジデントファミリー秋号の特集記事ですが、「注目一貫校13『実はスゴイ』面白授業」(情報提供 本間勇人氏、おおたとしまさ氏、鳥居りんこ)というものがあります。

とても13校では語りきれないのですが(これは紙面の都合だと思います)「私立はこういう授業をやっているよ」という紹介記事ですね。

恵泉は園芸を大事にしている学校

例えば、恵泉は園芸をとても大事にしている学校で有名ですが、都内にある学校なのに、実際に土に触り、作物を育てながら収穫までおこなうということが伝統になっています。

苺ジャムをつくったり、綿花で糸を紡いだり、花壇の設計などもやっています。つまり多感な女子集団が虫とも数多く接し、畑を耕し、収穫まで経験することで、机上ではわからない、さまざまなことを学ぶという体験をさせているわけです。

日大藤沢は土に触れることを大切にしている

ほかにも日大藤沢などは、土に触れることを大切にしている学校です。お隣が日大生物資源科学部なので、中高大連携授業がしやすい環境なんですね。ここは中2で牛の世話をし、フランクフルトをつくったりしています。

やらなければ一生やらないであろうことを、しかも若い時期に体験させてもらえるということは、下世話な言い方をすると、学費の元を十分取っているということにもなりますよね~。

ほかにもいろいろな分野で生徒の文化吸収率を上昇させるために、様々な刺激を与えようと驚きの授業展開をしている学校は沢山あります。

早稲田中学はピアノが必修

例えば、早稲田中学はピアノ必修なので、音楽の授業ではひとり一台の電子ピアノが与えられます。

「最小限の努力で高いレベル」との教え方があるらしく、中3で誰でもモーツアルトの小曲あたりは弾けるようになるそうです。

その話を在校生の母から自慢気に(笑)聞かされたときは「え?ロンバケの瀬名?素敵!」(注:木村拓哉・山口智子主演の「ロングバケーション」という永遠の名作)と答えたまでは良かったのですが、その後「頭良しの上に、ピアノも弾けるんかい!? ずるい!」とアタクシが言い放ったもんですから、その母から「勝った感」満載の弾を浴びたことを思い出します(笑)。

音楽つながりで言えば、上野学園も「ひとりひとつの楽器が弾けると人生楽しいよね」みたいなことで、フルートやらトランペットやらから選んで、中学の3年間でアンサンブルができるようにするという授業展開を行っています。

音楽に力を入れている学校はとても多いです。

やはり音を楽しむことは人生を楽しむことに直結するという意識が私学にはあるのだと解釈しております。

藤嶺藤沢には週1回の茶道必修授業がある

第15回で藤嶺藤沢の校長先生の話をしました。藤嶺藤沢は中高一貫に踏み切ったときに、改革を実施した学校で、いろいろなことにチャレンジしていますが、そのなかに6年間の週1回の茶道必修授業があって、最後のお手前では生徒が保護者にお茶を点てます。

この最後の授業。母にとってはわが子の生まれた瞬間(男児なのでサル時代が延々続いている)から18歳(どうにか人間に進化)まで成長した歴史を走馬灯のように噛みしめるひとときになり、アタクシはどれだけここの在校生母たちから「美しい涙」の話を聞かされたかわかりません(笑)。

うらやましいの一言ですが、個人的にはこちらのお茶の授業で出てくるお菓子は目にも舌にも喜ばしいものであったと付け加えておきます。

その学校のオリジナル文化を感じてみてください

このように私学の授業を見てみるだけでも、その学校が「人生にとって何が必要か」を明確に示しているものになるので、ご自分のご家庭の教育方針と合うなぁというすり合わせもしやすくなります。

オープンスクールのときに実際に授業を見せてくれる学校も沢山あるので、塾からの情報、各学校HPの情報からキャッチして、その学校のオリジナル文化を感じてみてください。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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