連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

建学の精神に触れてみましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(23)

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2016年11月10日 鳥居りんこ

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文部科学省のHPによると現在、わが国における私立中学の数は758校、中等教育学校は16校、合計で774校となっております。文部科学省は「私立学校の果たす重要な役割」として私立学校はわが国の学校教育の発展に大きく貢献しています。

また、近年ますます国際化・高度情報化する社会の中で、各私立学校には、多様化する国民のニーズ(需要)に応じた特色ある教育研究の推進が求められており、それぞれが「建学の精神」に基づく個性豊かな活動を積極的に展開しています。

このように、「私立学校は、わが国の学校教育の発展にとって、質・量両面にわたり重要な役割を果たしています」 というように私学を語るわけですが、やはり公教育と違うことは「建学の精神」に溢れるということになります。

私学の幹とも言える「建学の精神」

古くは明治時代に遡り(それよりも以前に開校の流れを汲むところもあります)宣教師だったり、企業家であったり、指導者であったりが私立学校を立ち上げていくのですが、その方たちが最後に行き着く先、つまり自分の人生を賭けて集大成でやるべきもののミッションが「教育」だったのだと思う次第です。

次代を創る子供たちを育てることに限りないロマンを抱いての建学だったと想像できるわけです。この「建学の精神」は、大抵の学校が漢文であったり、難しい言葉であったりするので、なかなかスッとは心に入ってこないものがあるのですが、これを学校長以下、学校全体でどのように解釈し、子供たちを指導しようとしているのかを理解することはとても大事なことです。

「建学の精神」をいかに解釈し、教育方針に落とし込んでいるか

学校説明会では校長先生の話はとても大切だということをこのコラムの第11回でもお話ししましたが、校長先生がこの学校理念をいかに語っているかは是非、注目してみてください。

学校の理念は私学の幹です。理念なしには立っておりません。理念にプラスして、教育方針という現在の時代のスピードに合わせた羅針盤がないと、大海原を迷走することになりますので、このふたつを学校トップが来場している受験生の親に対して、平易な言葉で、どれだけ深く熱く語っているかをきちんと見なければいけません。

私立も生き残りを賭けて、必死だということは良い方向に繋がっているとも言えますが、そのまた一方で安易に流行に乗ろうとしているかのように教育方針が数年でコロコロ変わっているかのような印象を受ける学校もあります。

理念は幹なので、本来不動のものです。偏差値よりも、大学合格実績よりも遥かに大切なことは「預かった子をどのような意志のもとで育て、社会に送り出すのか」という根幹の部分です。文部科学省に言われるまでもなく、これに共鳴できなければ、私学に行く意味がないとも言えるでしょう。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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