連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

ただブームに乗っているだけではないか? を見極めましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(25)

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2016年11月24日 鳥居りんこ

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私立中学一貫校にはブームがあるのですが、一昔前から他校がこれで成功した(ここで述べる成功という意味は受験者数が増えたという単純なものです)と見るや、急にそれを取り入れる学校がたくさん出てきました。

それが本当に良いもので、その学校が性根を据えて取り組むのであれば全く問題ないのですが、哀しいかな、ハリボテ感が半端ないところもあります。

教育方針の実現を外注先に丸投げという学校も……

一例を挙げるならば「キャリア教育」になると思います。ある学校で「キャリア教育を始めたから、見に来い」と言われ、出向いたところすべてが外注。「なんたらキャリア株式会社」に丸投げという実態が見えてきました。その会社に所属の講師先生が校内に来て「夢を実現するために」というようなレクチャーをし、中学生に夢を書かせるというものでした。

  • そのとき未来予想図が持てない子にはどう対応するのか?
  • 「世の中の経済活動がどうなっているのか」の知識も曖昧だと想像される中学生にどうアプローチするのか?
  • 今ある仕事がないという10年後に持つべきキャリアの意味は何か?

と私は矢継ぎ早に質問したのですが、学校側から納得いく説明は何も聞けませんでした。

さらに驚くべきことが起こりました。説明役の偉い先生が「なんという名前の会社を使っているのか?」と問うた私に「えっと、なんだったかな……。講師の先生はその道では有名みたいですよ」と平然とおっしゃったのです。

いくら著名な講師を呼ぼうとも、キャリア教育も含め、一日やそこらのレクチャーでどうなるものではありません。学校全体が「この教育を授けることがこの子たちの未来に役立つ」という信念を持っての6年間でなければ意味がないのです。

突っ込んだ質問をし、信念のある学校かどうかを見極めましょう

流行りだからという「乗り遅れまい」あるいは「これをやっておけば人気が出る」というような胸算用が私学にあるのは経営面から言えば当然ではあるのですが、やはり、そこに魂がこもっているかを丁寧に見ていく努力は必要です。

学校はさまざまなアピールポイントをあげて「おいで、おいで」と誘いますが、そのポイントが一日の体験教室なのか、それとも6年間という長い時間をかけて生徒に授けたいと願っている「教育」なのかを見極めてください。

それには多少、突っ込んで、学校側に質問をすることが重要です。学校側からの回答に「なるほど感」がなければ、志望校からは外れることになりますし、逆に「リスペクト」できる教育方針だと納得できるのであれば、大切なわが子を託すことが出来る学校と言えるでしょう。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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