中学受験ノウハウ 連載 しあわせな中学受験

やればできると思える子は成績もいい|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2019年11月28日 中曽根陽子

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子どもが勉強しないという悩みを抱える親御さんは多いでしょう。子どもの学習意欲を高めるために、親になにかできることはあるのでしょか? 親の関わり方が子どもの学習意欲に与える影響について調べたレポートを読み解きながら、子どもの学習意欲を高めるために、何ができるのかを考えてみましょう。

やればできると思う子は学習への意欲が高い

やればできるという自己効力感がある子どもは学習への意欲も高いという調査結果があります(※1)。この調査では、小学生の成績上位者の 87.0%が自己効力感を持っているのに対して、成績下位者で自己効力感を持っているのは 74.2%で、10%以上低いことがわかりました。中学生でも同じような結果が出ています。さらに、やればできると思える子は、難しい問題をじっくりと考えることが得意だということも明らかになっています。

やればできると思えるから、難しい問題に取り組む。そして、小さな成功や、壁を乗り越えた体験を重ねることで、結果として「得意だ」と感じられるようになるのかもしれません。

やればできると思えるかどうか。親の声かけが影響

では、やればできるという気持ちはどこから生まれるのでしょうか。そのひとつの可能性を示している別の研究があります。アメリカのスタンフォード大学の心理学者キャロル・S・ドウェック教授らの研究で、教授によると人は次の2つのタイプに分類できるそうです。

1.才能や頭の良さは生まれつき決まっていると考えるタイプ
2.能力は、一生懸命がんばれば身につけることができると考えるタイプ

新しいことに挑戦するのを避ける子どもは、1の傾向があり、学ぶことが大好きで何にでも挑戦しようとする子どもは、2の傾向があるといいます。

この研究では思春期初期の子どもたち数百人を対象に、知能検査のかなり難しい問題を10問解いてもらいました。ほとんどの生徒が同じような成績でしたが、問題を解き終わったあとで生徒を2つのグループに分け、かける言葉をかえたのです。

一方のグループには、「こんな良い成績がとれるなんて、本当に頭がいいのね」と能力をほめ、もう一方のグループでは、「こんな良い成績がとれるなんて、一生懸命に勉強していたからね」とそのプロセスをほめました。すると、結果に大きな違いがでました。結果ではなくプロセスをほめられてきた子どものほうが、「自分はがんばればもっとできるようになる!」と信じられ、より難しいことにもチャレンジし、結果的に能力が伸びたのです。

つまり、2つのタイプの違いは生まれもった性格ではなく、マインドセット(心構えや、思考様式のこと)が影響していて、幼少期からの親の関わり方が深く関わっているということが長年の研究でわかっています。

参考:『マインドセット』キャロル・S・ドウェック 著

努力を認める声かけで、子どもの学習意欲も育つ

みなさんのお子さんは、できるかどうかわからないことにチャレンジすることになったとき、ワクワクしますか? それとも、うまくいくかどうか心配になって尻込みしますか?

わたしたち親は、子どもに意欲的に学んでほしいと願って、いろいろな言葉をかけますが、その結果、知らず知らずのうちに子どもの限界をつくってしまっているとしたら、それは残念ですよね。

最初に紹介した日本の調査でも、自己効力感が高い子どもは、親が子どもに対して「やればできる」と励ましている割合が高いという結果がでています。日ごろから「やればできるよ」と声を掛けられ、努力を認められることで、自分のことを信頼してくれるという自己肯定感が育ち、それが子どもの自己効力感を高めるのでしょう。ぜひ、お子さんの努力を認める声かけを心がけてみてください。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

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