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算数の合格者最低点|桜井信一コラム「下剋上受験」

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2014年11月24日 桜井信一

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桜井信一ブログ『父娘の記念受験』で過去に掲載されていた記事から、一部を編集して掲載しています。この記事の内容は 書かれたものです。

今夜は、「算数の合格者最低点」がテーマです。よろしくお願いします。

ある難関中学の算数の合格者最低点が100点満点で68点とします。150点満点だと、ざっと100点くらいになりますね。

6年生はいま過去問の真っ最中というタイミングですが、なかなかこのあたりがとれない受験生もいると思うのですね。

ぶっちゃけ、68点を目指しているうちは安定してこえてこないと思うのです。

このとき、8割、9割を目指して結果的に6割8分と考えがちですが、逆のような気がします。

「もう50点でいいや、他の3科で稼がないと仕方ないや」となると、比較的早い段階で半分を連発すると思います。

このとき、半分のまま続行すると不思議なことが起きると思うのです。

なぜか半分を連発したあとなら上乗せが可能になるのです。

 

この感覚なんだろうと思ったのですが、全然出来ないときって全体的に靄がかかった感じなんですね。

そんなときに68点なんて、とてもとれないわけです。

ところが、半分を連発すると少し見通しがよくなるんです。

「まあここまではいつも解ける」

そう思い始めると、上乗せ分の問題に取り組む余裕がでてきます。

算数って、できるか、できないかだと思うので、そもそも75点くらい狙える子は相当わかっていると思うんです。

解いた後にかなりできたような手ごたえなんです。
なんだかんだで25点を失っているだけなんですね。

それに比べて68点を狙う段階は、やっぱりまだまだできないレベルなんです。

ここを抜けるために多くの受験生がもがくわけですが、合格者の人数分だけは68点以上になるように問題が作られているわけですから、さすがに難しい問題が50点もあるはずがないんですね。

でも靄がかかっているときってそこが見えないものですから、何となく半分くらいは難しそうなんです。

ここは一旦引くんです。

まず半分を連発するわけです。

もちろん個人差があるでしょうけれど、私の場合は5回か6回くらい連発すると、半分は簡単な問題だと気づくようになりました。

そこからあと半分を見ると、まだもうちょっと解けそうな問題がちゃんと存在することに気づくわけです。

「やっぱりダメだあ~」と半分しか解けない状態を繰り返す娘に、「いや、半分でよしとしよう」なんて言っていると、比較的簡単に半分をとるんです。

首都圏の場合は2月1日がスタート。

年内は半分連発でいいと思うのです。ただし、1回や2回ではなく連発です。

やきもきするし、不安で仕方ないですが、乱高下する方が怪しいと思うんですね。

半分を連発する方がよほど安心です。このラインは確実なわけですから。

その状態を固めると、本人が気づくと思います。

もうちょっと解ける問題が存在することに…。

私の場合は教えていたのではなくて自分も解いていましたので、はっきりと捉えています。

半分を確実に解けるようになってから見える風景を。

すっと軽くなるんです。

半分という土台の上に乗っかって取りかかる残り半分は、そこまで手強いことはないんです。

しかしこれが最初は見えない。

問題集も同じで、半分解ければいいんです。

2分の1の確率で解けるというのは結構いい感じ。

できないときって、どれもこれもできないものですから、かなり見通しが悪いんです。

しかし、半分できるようになると、残り半分のうち、いくつかはできるようになる。

これは口でいくら言ってもわからないと思うんです。

自分が半分を解けるようになり、その半分が確実になってからでないと、その先を考えにくいんですね。

結果的には、ほとんど難しい問題がないことに気づき始めます。

結構みんな穴だらけなんですね。

半分って大したことないように見えますけれど、半数を不合格にする入学試験問題で、半分正解するってことはいい線まで辿り着いていると思います。

一旦そこを足踏みするとその先が見えてきます。

実はあと何個かあるんです。自分でも解ける問題が。

そこが、68点という合格者最低点だと私は思います。

2014.11.24 am 0:00

桜井信一

※記事の内容は執筆時点のものです

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