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国際連合の常任理事国とは? 中学入試では時事問題とセットで出題される

2019年2月14日 ゆずぱ

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中学入試の過去問題に取り組んでいると、だんだんと難しくなっていると感じるのが時事問題です。大人に負けない視点でニュースを見ていないと解けないようなレベルの問題まで出題されています。

国際連合の安全保障理事会の常任理事国はアメリカ、中国、イギリス、ロシア、フランスの5カ国ですが、単なる知識ではなく時事ニュースと絡めた深い知識が求められます。今回は近年の中学入試の出題傾向から見えてきた国際連合に関連するポイントをまとめます!

常任理事国とは? まずは国際連合のしくみを理解する

常任理事国とは何かを知るためには、国際連合のしくみを知ることからはじめなくてはなりません。世界でもトップクラスの経済大国である日本もドイツも安全保障理事会の常任理事国ではありません。なぜでしょうか? それでは国際連合の基本からみてみましょう。

国際連合設立のきっかけは第二次世界大戦

国際連合が設立するきっかけとなったのは第二次世界大戦です。1945年の終戦後、世界の平和維持と経済や文化の国際協力などのために設立されました。国際連合の設立で中心となった国は、第二次世界大戦の戦勝国である連合国の国々です。

連合国といえばアメリカ、イギリス、ロシア(当時はソ連)、中国、フランスなど。これって、現在の安全保障理事会の常任理事国そのものです。敗戦国の日本やドイツが常任理事国に入っていない背景は、国際連合設立の経緯にあるといえますね。

【国際連合の主要6機関】特に重要なのは安全保障理事会

国際連合には主要な6つの機関があります。そのなかで特に重要な役割を果たすのが安全保障理事会です。平和を維持するための活動をするのが主な仕事ですが、軍隊を動かす力も持っていることから、非常に重要な役割があるといえます。

安全保障理事会は、常任理事国5カ国と非常任理事国10カ国を合わせた15カ国で構成され、この15カ国で多数決をとり、9カ国以上の賛成で決議が採択されます。つまり常任理事国5カ国は常に決議に関わることができるわけです。

さらにこの常任理事国5カ国には「拒否権」という強力な権限があります。5カ国のうち1カ国でも「拒否権」を用いて決議に反対すれば、仮に9カ国以上の賛成があったとしても決議されません。この強力な権限があるため、新しい国の常任理事国入りは難しくなっているといわれています。

安全保障理事会のほかには、すべての加盟国が参加して議論する「総会」、国際的なもめごとを国際法で解決する「国際司法裁判所」などがあります。主要な6つの機関は確実におさえましょう。

ノーベル賞やオリンピックは国際連合とは関係ない

国際連合の傘下には多くの関連機関があります。その中でも中学入試によく出題される6つの関連機関をおさえましょう。気をつけなければならないのが、国際連合の傘下ではないのに国際連合の傘下にあると勘違いしやすい機関です。正誤問題などでひっかけとして出題される可能性があるので要注意です!

たとえば世界遺産の選定は国際連合のUNESCOが選定していますが、ノーベル賞やオリンピックは国際連合とは関連のない機関により運営されています。ノーベル賞はスウェーデンの機関が運営し、オリンピックは国際オリンピック委員会が運営しています。

国連に関するよく出題される5つの基本知識

国際連合の設立経緯や重要な機関である安全保障理事会の概要がわかったところで、中学入試によく出題される国際連合に関する基本知識を紹介します。桜蔭中、青山学院中、芝中、慶応中等部など実際の中学入試問題に出題された問題からリストアップしています。

基本1:安全保障理事会の常任理事国は5カ国で非常任理事国は10カ国

まずは安全保障理事会の常任理事国と非常任理事国についてです。それぞれの国の数は当然ですが、決定を行うには9カ国以上の賛成が必要であること、非常任理事国の任期は2年であり連続再選がないことなどが問われます。ちなみに非常任理事国に最も多く選ばれている国は日本です。

基本2:日本が国連に加入したきっかけは「サンフランシスコ講和条約」ではない!

日本が国際連合に加入したきっかけに関してもよく出題されています。「サンフランシスコ講和条約」はひっかけですのでご注意を!日本が国際連合に加入するきっかけとなった出来事は1956年の「日ソ共同宣言」です。日本の国連加盟に反対していた社会主義国のソ連との国交が回復したことが背景にあります。

基本3:国連本部の場所を 国際連盟の本部と混同しないようにする

国際連合の本部はアメリカのニューヨークです。本部の建物の写真が示される問題もよく出ていますので確認することをお勧めします。国際連盟の本部であるスイスのジュネーブと混同しないように注意が必要です。ほかには国際連合の主要機関である国際司法裁判所の本部がオランダのハーグにあるという問題もよく出ますね。

基本4:国連の分担金を日本は世界で2番目に多く支払っていた

国際連合の運営費用は、加盟国の経済力などによって決まる「分担金」によって賄われています。2018年時点で、トップはアメリカの約22%、そして2位は約9%の日本、3位は約8%の中国でした。

ただし、2018年12月22日の国連総会で、2019年〜2021年の分担金額で中国が2位に浮上し、日本は3位となることがわかりました。2020年度の中学入試における時事問題で狙われそうです!

基本5:国際連合の加盟国数は原加盟国数もおさえる

国際連合の2018年12月時点での加盟国数は193カ国、最も新しい加盟国は2011年に加盟した南スーダンです。そしてけっこう聞かれるのが「原加盟国数」です。「原加盟国数」とは1945年の国際連合設立時点の加盟国のことで、第二次世界大戦の連合国を中心とした51カ国のことを指します。

中学入試には時事ニュースに絡めて出されることが多い

国際連合に関する知識がそのまま出題されることも当然ありますが、時事ニュースに絡めたかたちで出題されることも多々あります。ここでは2017年時事ニュースから国際連合に関連するものを3つピックアップしました。参考にしながら日々のニュースをチェックしましょう!

2017年5月 南スーダンの自衛隊が活動を終了

安全保障理事会の主要な仕事のひとつがPKO(国連平和維持活動)です。日本の自衛隊は2012年1月から南スーダンにおいて国連施設の整備や道路補修などの活動をしてきました。そして2017年5月に自衛隊はPKO活動を終了し全隊員が帰国しましたね。安全保障理事会の知識と共に出題されるかもしれません。

なお、南スーダンは長い内戦を経て2011年に独立した新しい国です。以下の記事もご参照ください。

2017年7月 「核兵器禁止条約」の採択に日本は不参加

2017年7月に国連で採択された、核兵器を違法とする「核兵器禁止条約」ですが、世界で唯一の被爆国である日本は不参加でした。青山学院中の入試問題でも問われましたね。不参加となったのは核保有国とされる9カ国に加え、アメリカの「核の傘」に依存する日本や韓国、ドイツ、イタリアなどです。

ちなみに核保有国は、 常任理事国5カ国に、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの4カ国を加えた9カ国です。

2017年12月 日本は非常任理事国の任期を終えた

非常任理事国には最多の選出となる日本ですが、2017年12月をもって2年間の任期を終えています。これで日本は通算22年間、非常任理事国を務めたことになります。そして非常任理事国は連続再選がないため、2019年の非常任理事国に日本は選ばれていません。 

まとめ

中学入試における時事ニュースの問題は難易度が上がっています。なかでも国際連合を中心とした国際的な動きは、大人でも意識してニュースを把握していないと解けないレベルの問題です。基本知識をおさえ、日頃から時事ニュースを意識しましょう!

■参考リンク
キッズ外務省

※記事の内容は執筆時点のものです

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