連載 中学受験は親と子の協同作業

[ケアレスミス対策]読み取りミス・計算ミスを防ぐには|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.30

専門家・プロ
2019年3月28日 石渡真由美

授業ではちゃんと理解していたのに、テストや模試でケアレスミスをしてしまい得点を落としてしまう。これほど、悔しいことはありません。何かよい対策はあるのでしょうか?

「読み取りミス」対策に効く音読のススメ

ケアレスミスは大きく分けると、「読み取りミス」と「計算ミス」の2つのタイプがあります。「読み取りミス」は、問題文や設問をきちんと読んでいないために起こるミスです。

例えば、国語の物語文では、登場人物の気持ちを聞く問題が多いですが、なかには「主人公の気持ちの変化に答えなさい」と、“気持ち”ではなく、“気持ちの変化”を聞いてくる問題もあります。

ところが、設問をきちんと読んでいない子は、“気持ち”という文字を見ただけで、「主人公の気持ちを書けばいいのだな」と早とちりしてしまうのです。

「読み取りミス」をする子は、速く読もうと焦ってしまい、文章を飛ばし飛ばしで読んでいることが多いのです。しかし、中学受験の国語入試は細かいところまで聞いてきますので、文章を正確に読む必要があります。

そこでおすすめしたいのが音読です。音読をすれば一字一字読み飛ばすことなく、丁寧に読む練習ができます。また、慣れてくると、どこで区切って読めばいいのか、意識しながら文章を追えるようになります。

実際のテストで音読をするわけにはいきませんから、音読するように黙読できるレベルまで上げていきましょう。近年の中学入試は、国語に限らず、理科、社会の入試問題も非常に文章が長くなっています。限られた時間内で問題を解くには、素早く正確に読む力をつけることが必須です。

複雑な算数の問題は条件整理をする

算数入試でも長文問題を出す学校があります。例えば速さの問題なら、複数の登場人物が出発時間をずらして目的地に向かい、途中どこで合流するかなどの問題が出題されます。すると、時間や距離、時速などで複数の数字が出てきます。「読み取りミス」の多い子は、それらが頭の中でごちゃごちゃになってしまい、とりあえず公式に数字を当てはめて、答えを出そうとします。

そういう子は、頭の中だけで考えようとせず、条件を書き出して整理するようにしましょう。書き出しの方法としては、表にしたり、線分図にしてみたり、図の中に書いてみたりなどいろいろあります。

塾でも「この単元のこの問題の場合は、こういう条件整理をして考えた方がよい」と指導しますので、まずはその方法でやってみてください。面倒くさがり屋の子は、条件整理するのを嫌がる傾向がありますが、算数はそうやって整理して解くものだということを根気強く伝えていきましょう。

15、25…の倍数、1/8、3/8…の小数などは暗記してしまう

ケアレスミスでもうひとつ起こりやすいのは、「計算ミス」です。特に字が雑な子に多いですね。筆算で縦をきっちりそろえず、間違って計算をしてしまうケースはよくあります。

こうしたミスを防ぐには、字を丁寧に書くことはもちろんですが、ある程度の暗算ができるようになっているとリスクを抑えられます。

例えば、15、25、35…の倍数など頻出する計算は、その場で解くのではなく、九九のように暗算してしまうことをおすすめします。また、1/8=0.125、3/8=0.375といった分数・小数もよく出るものは覚えてしまうといいでしょう。

ただし、暗算が招いてしまうミスもあります。これは塾の上位クラスの子に多いのですが、暗算の2つ重ねで計算ミスをしてしまうケースです。例えば、28×5×12という計算をするときに、暗算ができる子は28×5=140とすばやく頭の中で計算ができます。ところが、それを12と掛ける時に、140という数字の記憶が曖昧になり、別の数字を掛けてしまうことがあります。つまり、頭の中に置いておくだけでは記憶は不十分で、一度書き出すことが大事だということです。このように、お子さんの計算レベルによって、対策は変わってきます。

子どもにケアレスミスを指摘するときは、感情的にならず笑顔で

宿題ではきちんと解けているのに、テストや模試など「ここぞ!」というときに限ってケアレスミスをしてしまう……。端で見ている親御さんからすれば、「なんでこんなところで、こんなつまらないミスをするのよ!」と子どもを叱りたくなりますよね。しかし、ここで感情的になってしまうのは逆効果です。

この年頃の子どもは、親にガミガミ言われたり、嫌味を言われたりすると、そのときの嫌な気持ちだけが印象に残り、素直に聞こうとはしません。子どもに大事なことを伝えたいときは、親は感情的にならず、おだやかな口調で伝えるようにしましょう。できれば笑顔がいいですね。大切なのは子どもを責めるのではなく、“子どもに気づかせる”ことです。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。