学習 連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

理科実験教室の意外な盲点|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2019年5月09日 石渡真由美

1

近年、子ども達の理科離れが危惧され、その歯止めをかけようと大手進学塾や企業などが理科実験教室を実施しています。子どもに“体験させる”のは良いことです。しかし、やり方によっては子どもの好奇心を奪うことにもなり兼ねません。なぜでしょうか?

近年増加している理科実験教室。体験学習は大事だけれど

近頃、理科実験教室に通わせているご家庭が増えています。少子化で、子ども一人にお金がかけられる今は、少しでも早い段階から習い事や幼児教室に通わせて、わが子の可能性を伸ばしてあげたいと考える親御さんが多いようです。そのなかに、最近は理科実験教室も含まれるようになりました。

理科実験教室では、紫キャベツを使って水溶液の性質と反応色の関係を調べたり、電流の仕組みを知るためにリモコンカーを作ったりするなど、子ども達が楽しめるプログラムが用意されています。

こうした体験をすること自体はいいと思いますが、限られた時間で行われるため、先生が実験するのをただ見ていたり、あらかじめ用意されたキットを組み立てたりするだけで終わってしまうこともあります。

擬似的に発見体験はできたとしても、「あ〜、色が変わった!」「あ〜リモコンカーが動いた!」と自分の目で確認しただけでおしまい。

私は、それでは“理科好き”になるきっかけにはならないと感じています。むしろ、理科を学ぶうえで必要な“ワクワク”を奪ってしまうのではないかと危惧しています。

続きは会員の方のみご覧いただけます

1
宮本毅

宮本毅

  • 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。YouTubeチャンネル「アテナチャンネル」を運営。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

石渡真由美

  • この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。