連載

中学受験 親の上手なほめ方・残念なほめ方|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.37

専門家・プロ
2019年7月11日 石渡真由美

子どもはほめて伸ばす。近ごろ、書店の子育て本コーナーには、「ほめる」をテーマにした本がたくさん並んでいます。大人でもそうですが、人にほめられるのは嬉しいものです。そして、「ほめられたいからもっと頑張ろう」という気持ちになります。けれども、親御さんがよかれと思って渡した「ほめ言葉」が、子どものプレッシャーになってしまうこともあるのです。

ほめポイントは結果ではなくプロセス

「○○ちゃん、100点を取ってえらいわね」

「偏差値が10も上がってスゴイ!」

「クラスアップできてよかったね」

どこのご家庭でも言ってしまいがちな言葉ですよね。子どもは100点が取れ、偏差値やクラスが上がったら確かに嬉しいでしょう。毎日献身的なサポートをしている親御さんにとっても、嬉しいことと思います。しかし、中学受験でいつも成績が順調な子などほとんどいません。多くの子が上がったり下がったりします。

ですから、こうした結果に対するほめ言葉を渡してしまうと、うまくいかなかったときに「お母さんがとてもがっかりしている」「クラスが下がってしまった私はダメな子なんだ……」とマイナスに捉えてしまう場合があります。また、「常によい成績を取り続けなければ、親が認めてくれない」と思い込み、過度なプレッシャーを感じてしまうこともあります。

では、このような場合にどのようにほめるのがよいかといえば、よくできた結果ではなく、がんばったプロセスをほめてあげるのです。それには、お子さんの日々のがんばりを見てあげることが大切です。この目を持っていると、どんな結果が出たとしても、その子なりのがんばりをほめてあげることができます。

ほめるときはざっくりではなく具体的にほめる

そのときに意識してほしいことがあります。お子さんのがんばりをほめるときは、具体的にほめるということです。というのも、近ごろは「ほめて育てる」というのが主流になっていて、子どももほめられ慣れてしまっているのです。

結果ではなくプロセスをほめるのがいいと言うと、「近ごろ、がんばっているね」とざっくりほめる親御さんがいます。そういう言葉を日々言われ続けると、子どもは「お母さん、また僕をおだてようとしているなー」と、親の下心を勘ぐるようになります。これではせっかくのほめ言葉が台無しですよね。

がんばったプロセスをほめるときは、より具体的にほめることがポイントです。

「最近、ノートを丁寧に書いているね。わかりやすく書いているから復習がしやすくなってよかったね」

「お母さん、あなたが毎日自分から勉強をやり始めるのを知っているよ。4年生のときは、お母さんが声をかけないとやれなかったのに、自分からできるようになってえらいね」

このように、その子なりのがんばりに目を向け、そこを具体的にほめてあげるのです。そうすると、「お母さんはちゃんと見ていてくれているんだ」「そうか、ノートを丁寧に書くと、こういういいことがあるんだな」と自分の行動を肯定的に受け止めることができます。そして、「よし、じゃあこの調子でがんばろう」と前向きな気持ちになります。

このように、その子だけのほめポイントを伝えるのは、日頃からお子さんをよく見てあげることが大事です。もちろん、つきっきりでなくていいのです。でも、ほんの少しでもよくなった、がんばっている努力が感じられたら、ぜひそれを言葉にして伝えてあげてください。

「早くできたね」「たくさん読めたね」は要注意!

最後にひとつ、お子さんをほめるうえで気をつけてほしいことをお伝えします。それは、「早さ」や「量」に目を向けすぎないことです。

「たくさんドリルのページをやってえらいね」

「○○ちゃんは本を読むのが早くて、すごいね」

こうしたほめ方をされると、子どもはお母さんを喜ばせたくて、「もっとたくさんやろう」、「もっと早く読もう」という気持ちに向かいます。しかし、そこに気持ちが行きすぎてしまうと、問題を解くのが雑になったり、文章題をじっくり読まずにナナメ読みになってしまったりと、よくない方向へ行ってしまうことがあります。

本をたくさん読めるのはよいことですが、国語の読解は文章を読み、味わうことが大事です。また、算数はたくさん解くことよりも、じっくり考えることが求められる問題もあります。ですから、「早さ」や「量」をほめポイントにしないほうがいいでしょう。

【中学受験 ほめ方のポイント】

  1. 結果ではなくがんばったプロセスをほめる
  2. ほめるときはよいと思ったことを具体的にほめる
  3. 「早さ」や「量」をほめポイントにしない

これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

合わせて読みたい