連載 中学受験は親と子の協同作業

第一志望校はいつまでに決めればいいの? 併願校は?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.45

専門家・プロ
2019年11月11日 石渡真由美

11月に入り、東京・神奈川の入試の山場である2月1日まで3カ月を切りました。受験生は、過去問に取り組んでいることでしょう。受験予定の学校の過去問を解きながら、入試問題との相性を見ていく時期ですが、第一志望をはじめとする受験校はいつまでに決めればいいのでしょうか?

受験校は12月末までに決めておく

私立中学受験は高校受験のように内申点が考慮されることはなく、本番の入試の結果で合否が決まります。小学4年生から3年間、受験のための準備をしてきた結果が、たった1回の試験で決まってしまうと思うと、心穏やかにはいられない親御さんも多いことでしょう。

中学受験で第一志望に合格し、進学できる子というのは、受験生全体の3割にすぎないといわれています。つまり、現実としては第二志望校や第三志望校に進学する子が多いということです。ということは、「もしかして通うかもしれない」併願校選びが重要になります。

では、第一志望校のレベルをもう少し下げたほうがいいのでしょうか。

これにはいろいろな考え方があると思いますが、私はよほど学力がかけ離れていない限り、やや高めの憧れの学校に挑戦していいと思っています。直前1カ月の本気のがんばりで合格を勝ち取った子どもを何人も見てきたからです。また、ここで第一志望校を変えてしまうと、お子さんの勉強に対するモチベーションが下がってしまうことも理由です。それとともに、「もしかしたら通うかもしれない」第二志望校以降の学校については、じっくり検討する必要があります。

今の時代、首都圏の受験校の数は、一人あたり平均5〜6校といわれています。例えば2月1日に第一志望校の入試がある場合、1月の千葉・埼玉入試で1〜2校、2月1日の午前に第一志望校、午後に第二、または第三志望校を受験し、2月3日〜4日までスケジュールを組むご家庭が一般的です。

入試直前期の勉強に過去問対策は欠かせません。過去問は第一志望校であれば過去5年分(麻布中や武蔵中など問題傾向が変わらない学校は10年分やっておくのが理想です)、第二〜第四志望校は3年分、“安全校”や“肩馴らし校”は1〜2年分やっておくことをおすすめします。併願校の過去問については、合格点に達しているかも大事ですが、問題傾向や問題の難易レベルの確認を意識してください。そして、12月末にはすべての受験校を決めておきましょう。

併願校は2月1日の合否によって2パターン用意しておく

東京・神奈川の入試は、2月1日〜3日が本番となります。多くの場合は2月1日が第一志望校の入試で、そこで合格できれば、その時点で中学受験は終了です。しかし、そこで合格が取れないと、2日目、3日目と続いていきます。ときには4日目、5日目にずれ込むこともあります。さて、併願校の選択ですが、私は2パターン考えておくことをおすすめしています。

ひとつは2月1日に第一志望校、または現時点で進学する可能性が高いと思われる第二志望校に合格している場合です。1日午前に受けた第一志望校に合格していれば、そこでめでたく受験終了となりますが、1日午前の本命は不合格だったけれど、午後の第二志望、または第三志望校で合格を手に入れた場合は、すでに “安心”を手に入れているのですから、2日目、3日目は第一志望校の2回目、3回目入試に再チャレンジできるように出願しておくのです。

受験日が後になるほど、募集人数が減り、受験倍率は上がってしまいますが、最後まであきらめずに挑戦し続けるのもいいと思います。実際に1回目、2回目がダメで、偏差値が10近く上昇する3回目に合格した子どもを何人も見てきました。

一方、1日午前、午後の2つの入試で不合格だった場合を考えて、その後の出願校は慎重に設定しておく必要があります。思い切って出願校の偏差値レベルを大きく下げて、ここで合格を勝ち取っておいて、再度3回目の試験に挑戦するという方法もあります。

1日目の試験の結果によって、翌日の受験校を柔軟に変更できるように複数の学校に出願する家庭が増えています。その結果、受験校の偏差値は15くらい幅を持つことになります。例えば本命校の偏差値が55なら、チャレンジ校は偏差値60、安全校は偏差値45まで検討しておくということです。

今はほとんどの学校で入試当日に合否がわかります。結果を知った後に翌日の受験校を変えることに抵抗を感じる親御さんもいるかもしれませんが、できることなら“全落ち”は避けたいものです。1日の結果がわかってから慌てて受験校を探すといったことがないように、あらかじめ合否に合わせて複数パターンの受験校を用意しておきましょう。

併願校は問題傾向が似ている学校を選ぶ

ただし、ここで気をつけて欲しいことがあります。受験校選びに偏差値は重要ですが、偏差値で見ると“安全校”の学校でも、入試問題の傾向が違うと解けないこともあります。併願校を選ぶ際には、第一志望校や第二志望校と入試傾向が似ている学校を選ぶようにしましょう。また “安全校” であれ、“肩馴らし校”であれ、受験する予定の学校に必ず一度は本人を連れて行き、学校の雰囲気を体感させ、その学校の良さを知っておきましょう。第二志望校も第三志望校も、「家族で納得して選んだ学校」であることが大事です。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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