連載 中学受験は親と子の協同作業

重要単元が続出! 5年生をどう乗り切ればいい?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.44

専門家・プロ
2019年10月24日 石渡真由美

中学受験の勉強は、4年生から6年生までの3年間をかけて準備を進めていきます。学年が上がるにつれて学習内容が難しくなり、勉強量も増えていきますが、実は5年生で習う内容が中学受験ではとても重要なのです。

割合、比、速さ 受験算数の重要単元が次々に登場する

現在5年生で、4年生から塾通いをしている子であれば、1年半が過ぎたことになります。受験生活にはだいぶ慣れてきたかもしれません。しかし5年生になった途端、「勉強が急に難しくなった……」と感じるお子さんが多くいます。

4年生のうちは塾の授業もまだ基本的な内容のため、それほど難しくはありません。反復演習と丸暗記でも対応は可能です。ところが5年生になると、4年生で学習した基礎知識をベースに、応用問題へと発展していきます。

例えば算数なら、4年生では分数を学習します。これが5年生になると、発展的な内容として「割合」「比」「速さ」といった新しい単元で登場します。これらの単元は、中学入試では必ず出題される重要単元です。ここでしっかり理解をしておかないと、6年生になって入試本番レベルの発展的な問題を解くことは難しいでしょう。

しかし、塾の授業はハイスピードで進められていきます。宿題の量も増えます。授業の内容が難しくなるうえに、宿題の量も増える。こうなってくると、4年生までの何度もくり返して覚えるというやり方が通用しなくなってきます。つまり、これまでのやり方を変えていく必要があるということです。

まず、授業の受け方を変えていきます。4年生のときは漫然と授業を受けていたと思いますが、5年生になったら、「このタイプの問題を解くためのポイントはここだ!」という意識を持って授業に取り組むようにしましょう。

また、授業で公式が出てきたときは、ただその公式を丸暗記するのではなく、「なぜそうなのか?」を「なるほど!」という気持ちとともに、理解・納得して覚えることが大事です。きちんと納得して覚えたかどうかは、お子さんに授業の内容を説明してもらうとわかります。理解と納得がなく、ただ量をこなす勉強ばかりをしていると、この先で必ず伸び悩みます。

5年生で理科4分野の知識の7割を終える

理科の授業もハイスピードで進められていきます。中学入試には生物・地学・物理・化学の4分野がまんべんなく出題されますが、5年生の終わりで7割の学習が終了します。残りの3割は6年生で計算系の問題を学習します。つまり、5年生のうちに覚えるべき知識の大半を学習し終えるというわけです。

理科は基本、暗記科目です。しかし中学入試で求められる暗記量は膨大ですし、知識同士のつながりを理解しておかないと、テストで利用できません。おすすめは図にして覚えることです。例えば生物分野の植物や動物の特徴は、テキストの文章で覚えるよりも、特徴ごとに図で分類をするほうが、子どもの記憶に残りやすくなります。マインドマップの形にまとめ直す方法もおすすめです。

また、理科の暗記に一問一答形式の問題集を使っているご家庭が多いのですが、子どもがそれに慣れてしまうと、単に答えを覚えるだけになってしまいます。入試で一問一答型の問題が出るとは限りません。同じ知識を問うているのに、少し質問の仕方を変えただけで答えがわからなくなってしまうようでは、本当に覚えたことにはなりません。知識は単体で覚えるのではなく、つながりで覚えることが大事。つまり、周辺の情報まで知っておく必要があるということです。

「大変ね」という声かけはNG。家庭では「おもしろそう!」という雰囲気づくりを

算数では新しい重要単元を次々と習い、受験に必要な単元の基礎は5年生でほぼ全て終了します。理科では中学受験に必要な知識のうちの7割を学習し終えます。こうして見ると、5年生の勉強が重要でハードなことがわかります。

となると、「何がなんでも頑張らせなければ!」と肩に力が入ってしまう親御さんがいますが、過度にプレッシャーを与えるのは禁物です。家庭で子どもに声をかけるときに、「頑張れ!」や「大変ね!」と親御さんが言い過ぎると、子どもに「勉強はつらいものだ」というイメージを与えてしまいます。

そうではなく、「へぇ~、なかなかおもしろいことを勉強しているね」、「これって中学生で習う勉強だよ。先にできるなんてうらやましい」など、ポジティブな声かけをしてあげられるといいですね。そうやって周りが「おもしろそう」「楽しそう」という雰囲気をつくってあげると、「難しいけれど、解けると楽しいな」と前向きに取り組めるようになります。

しかし5年生になってからも、暗記だけの勉強から抜け出せず伸び悩んでしまうお子さんが出てくるのも事実です。そういう場合は、「あとで何とかなるだろう」と楽観視せず、できるだけ早めに対策を取ることをおすすめします。中学受験で家庭教師をつける場合、多くは6年生の切羽詰まったときに集中しますが、6年生から立て直していくよりも、もっと早い段階でお子さんのつまずきに気づき、勉強のやり方を修正していくほうが、お子さんの負担を減らすことができます。

成績が伸び悩んでいる場合、その原因が必ずあります。5年生は中学受験の準備期間で中間地点です。5年生のうちに伸び悩みの原因を見つけ出し、修正すれば6年生の1年間を有効に使えるようになります。6年生になるまでに、正しい勉強のやり方をぜひ身につけてください。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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