連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

受験は総力戦! 周囲のサポートが成功のカギ ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年12月05日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

受験は“孤独な戦い”といわれますが、実は受験は“総力戦”です。とくに小学生の子が挑戦する中学受験は、周囲のサポートが成功のカギを握るといっても過言ではありません。今回は中学受験を乗り越えるときに必要となる、親、塾の先生のサポート、友だちの存在の大切さについてお話します。

子どもが伸びる親の関わり方

「わが子が第一志望校に受かってほしい」と思うのは、親であれば当然の願いです。しかし、その願いが強すぎるあまり、過干渉になってしまう親御さんもいます。子どものやる気を削ぐことなく、子どもの気持ちを奮い立たせられる親でいるためには、何を心がければよいのでしょうか。

親は子どものやる気を奮い立たせる存在

子ども自身が前向きに中学受験に臨むためには、「どんな環境を用意すればいいか」「どう接したらいいか」をまずは考えましょう。その前提となるのが、親が笑顔を絶やさないことです。子どもにとっては親の笑顔が一番の助けとなり、受験に向かう力になるんですね。そして親は、どんなときでも「子どものメンタルトレーナー」であるべきです。プロレスやボクシングのセコンドのような存在ですね。子どもがくじけていたり、不安な時間を過ごしていたりするときには、まずはやる気を奮い立たせるような言葉をかけてあげましょう。

親のサポートは、一歩間違えると「過干渉」になることも

親がお尻を叩くことで、合格を勝ち取る子もいます。ただ、それでは子ども自身で頑張ったことにはなりません。また、偏差値がなかなか上がらなかったり、勉強に身が入っていなかったりすると、子どもを必要以上に叱ってしまう親御さんもいます。こうした親御さんに多いのが、大人の事情や感情を子どもに押し付けてしまっていることです。

「○○さんのお家には負けたくない」
「これだけやらせたのに落ちたら恥ずかしい、情けない」

こうした気持ちが強くなると、親が子どもの様子を気にかけ過ぎてしまいます。子どもの勉強に対して口酸っぱくものを言ってしまう、といったことが起きるんですね。成績が上がらない原因を究明しようと、お父さんが表計算ソフトを使って模試の成績を分析する家庭もありますが、これも見方によっては過干渉の一例です。ちなみに、子どもは自分の弱点や課題はわかっているものです。データをもとにして「○○が弱点なんだから、もっと勉強しなさい!」と言ってしまうと、子どもは必要以上にプレッシャーを感じてしまいます。

中学受験において、志望校に受かることはもちろん大切です。そのために、親のサポートが欠かせないことは言うまでもありません。一方で、私は中学受験を「子どもが自立するための教育の一環」であるとも考えています。長いこと塾で教えていますが、そのなかで感じるのは、子どもなりに悪戦苦闘しつつ、授業や自習の時間で本当に一生懸命頑張っていることです。子どもの様子につい口を出してしまいそうなときもあると思いますが、「それは子どもの成長を本当に助けるものか?」を、一度冷静になって考えてみるとよいですね。

塾のサポートを最大限活用する

塾は、授業やテストを受けるだけの場所ではありません。先生や塾のスタッフたちは、子どもたちの日ごろの学習態度やテストの成績の推移、表情など、多くの‟情報“を持っています。塾のサポートを最大限に活用することも、中学受験のポイントのひとつです。

苦手科目の克服は塾の力を借りる

塾の先生には、普段の授業で面倒を見てもらうだけでなく、苦手科目の対策を任せましょう。苦手科目は、子どもひとりで勉強しようとすると「どこがわからないのかわからない状態」になりがちです。勉強中にすぐに手が止まってしまう子も少なくありません。

こうした状況にならないためにも、塾の先生のそばや、塾の自習室で勉強するなど、いつでも先生に質問ができるような環境で勉強することが大切です。子どもが自分ひとりで勉強できるくらいに自信がつくまでは、丁寧にレクチャーしてくれる先生がそばにいるとよいですね。ちなみに私は、親御さんが苦手科目を教えるのは控えたほうがよいと思っています。子どもは基礎的な内容がわかっていないことも多いです。そのため、「どうしてこんなこともわからないの!?」と親御さんがイライラして、子どもとぶつかってしまうことがあるんですね。

また、家庭で学習している子どもの姿に「やる気が感じられないな」と感じたときも、塾の先生に相談してみてください。塾の授業や学習の様子を踏まえて、子どもの状況に適した言葉の掛け方を一緒に考えてくれるでしょう。

塾の友だちは、受験直前期の心強い存在に

「勉強はひとりでするものだから、塾で友だちをつくる必要はない」と考える親御さんもいるかもしれません。なれ合いになると受験に向けて緊張感が生まれない、という点においては一理あります。しかし塾でできる友だちというのは、とくに受験直前期で心強い存在になるのです。

友達の存在が勉強のモチベーションにつながる

私は、中学受験は親と子、先生と生徒の関係性だけでなく、塾の友だちも巻き込んだ“総力戦”だと考えています。私の塾(桜学舎)には個別指導と集団指導のクラスがありますが、小学6年生の個別指導の生徒たちは、少しずつ集団指導のクラスに参加させています。集団クラスの授業だと子ども同士が顔なじみになり、「今度の模試、一緒に行こう!」「一緒の学校を受験するんだね。一緒に頑張ろう!」といった会話が生まれることがあるんですね。また、落ちこんでいる子がいるときは生徒同士で励まし合ったり、「○○ちゃんが元気がないんです」と先生に報告してくれたりする姿も見られます。

家でひとりで勉強していると、うまくリフレッシュする方法が分からず、ストレスをためてしまう子も少なくありません。一方で、友だちが一緒に自習しているスペースなら勉強できるというお子さんはたくさんいます。子ども同士だからこそ育まれる助け合いの精神や、「合格」という同じ目標を共有する仲間がいることは、とくに受験直前の6年生にとっては心強い存在になるんですね。

総力戦で受験を乗り越えよう

親、塾の先生、そして塾の友だち。そのほかにも、たくさんの力が合わさって「合格」をつかみ取ることができます。中学受験は、子どもだけでなく、親御さんも孤独な戦いになりがちです。うまく周りを巻き込み、サポート体制を築きあげ、総力戦で受験に挑めるとよいですね。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。